全学連大会に大結集しよう 武田君奪還の勝利バネに全国で学生自治会建設を 全学連委員長 斎藤郁真

週刊『前進』06頁(2645号05面01)(2014/08/25)


全学連大会に大結集しよう
 武田君奪還の勝利バネに全国で学生自治会建設を
 全学連委員長 斎藤郁真

首都圏で学生運動が拡大

 日本帝国主義「敗戦」から69年の8月15日、全学連は多くの学生とともに法政大学文化連盟委員長・武田雄飛丸君を奪還した。5月13日の不当逮捕から3カ月。これまでの法大闘争裁判の「常識」を覆し、第1回公判を終えた直後の「スピード奪還」だ。この歴史的勝利は、ただちに2日後の8・17安倍打倒大集会の高揚となって結実した。
 武田君にかけられた弾圧は、8月13日の第1回公判の冒頭意見陳述で武田君が鮮明に述べたとおり、安倍政権の「7・1閣議決定」情勢下での「戦時下弾圧」そのものだった。1925年の「京都学連事件」をはじめ、帝国主義戦争体制の構築は常に大学への言論弾圧の激化過程と一体だった。それは同時に、革命的労働者党の存在を絶対に許さないという帝国主義国家権力・警察権力とのせん滅戦だった。私たちはこの勝利をもって「戦前」を完全に突破した。
 勝利の核心は、一方での、武田雄飛丸君という不抜の革命家の存在だ。武田君は第1回公判で「戦争か革命か」と時代を喝破し、弾圧の本質は武田君という国家権力との非和解的対決を貫く革命的リーダーに恐怖する日帝・安倍政権からの「反革命」であったことを明らかにした。しかし、支配階級は、自ら弾圧に手を染めておきながら、武田君の闘いと生き方に圧倒され、ぶざまに保釈を認めざるをえなかった。
 そして他方での、奪還運動と首都圏学生運動の拡大だ。獄中において意気軒高と闘い続ける武田君を中心に闘う団結が首都圏―全国に拡大し、武田君に続く新たな学生がどんどん登場した。7月29日付「武田君奪還アピール」の呼びかけ人には首都圏大学の新入生が多数名を連ね、闘いは弾圧で分断されるどころか、武田君のように闘おうと決意する学生を生み出していった。国家権力は、法大闘争の地平が爆発的に全国大学に広まっていく可能性に恐怖した。
 この地平から、全学連は今秋決戦で安倍政権を打倒する決意だ。全国学友は9月全学連大会に集まり、ともに法大闘争勝利と全国大学での学生自治会建設をかちとろう!

「安倍倒せ」は全人民の声

 闘えば勝てる。
 3・11福島原発事故以来、命より金もうけを優先し、「1%」の利益のために「99%」を犠牲にするこの国の本当の姿が明らかになった。怒りは社会に満ちあふれている。7・1閣議決定に対し、首相官邸前は5万人とも言われる労働者・学生の怒りに包まれ、青年・学生が増えるほどに怒りは「安倍倒せ!」のスローガンに集約された。
 安倍政権は、特定秘密保護法制定で都合の悪いことをすべて隠し、ウソとペテンを弄する以外に自らの「正当性」を主張できず、労働者民衆を説得できない。安倍の「悲願」であった明文改憲は破産し、7・1閣議決定に至ったが、これを受けての「想定問答集」では、「解釈改憲ではない」と言い逃れようとした。日本の労働者民衆が戦後積み重ねてきた戦争絶対反対の思いと行動は、70年を経ても安倍政権に立ちはだかっている。
 凶暴に見える安倍政権は、実はとてももろい。安倍を支えるのは、激しい弾圧でつくられる「リスク」「あきらめの空気」という、人間の弱さに依拠した薄っぺらい「常識」だ。人生をかけて決起する「決定的な一人=革命家」がキャンパスに現れ、団結を訴えて行動する時、現実は必ず動かせる。
 法大闘争8年半を闘ってきた全学連は、福島原発事故で突き出された大学・学問の腐敗に激しく怒り、キャンパス支配権を経営協議会などの「1%」から奪い返すため、学生自治会の復権を目指して闘ってきた。
 この3年間で、京都大・広島大・沖縄大で自治会再建をかちとり、闘いは前進している。東北大学学生自治会も若き新執行部を形成し、明善寮廃寮阻止決戦に挑戦している。のべ126人もの逮捕攻撃をすべてはね返してきた法大闘争は、全国学生運動の勝利の展望へと成長している。武田君奪還の勝利と首都圏大学での新たな闘いの始まりは、国家権力・大学当局やスターリン主義によって学生の怒りや団結がつぶされてきた歴史を大きく塗り替える挑戦が始まったことを示している。
 社会変革の大チャンスが到来した。安倍を打倒し、大学と社会を「1%」から取り戻すことはできる!

支配の危機に陥る安倍政権

 安倍政権は破綻している。今年上半期の貿易収支の赤字は過去最大の7兆5984億円。経常収支は5075億円の赤字で、前年同期の3兆3131億円の黒字からの転落だ。日帝は国際争闘戦で壊滅的敗北を喫している。その敗勢を巻き返すために、7・1閣議決定と一体で6月24日に閣議決定された「新成長戦略2014」では、「稼ぐ力」を叫んで労働規制の徹底緩和、原発や鉄道などのインフラ・パッケージ輸出、武器輸出を柱に据え、その「担い手を生み出す」として「グローバル人材の育成」「女性の力の活用」を位置づけている。
 安倍にとって戦争は二重の意味で重要だ。第一に、経済成長のために武器輸出=戦争が必要であり、その圧力で原発・鉄道輸出を成功させるためだ。第二に、コスト削減、すなわち労働者への搾取の強化への怒りの増大を他国に差し向けるためだ。イラク、シリア、ガザ、ウクライナですでに戦争は始まっている。安倍は三菱重工がミサイル部品を米軍需産業に輸出することを許可し、中東の石油権益のための自衛隊派遣を狙っている。
 この経済戦略の担い手である「グローバル人材」とはどこから生まれるのか? 新成長戦略は「大学改革のいっそうの推進」を位置づけている。つまり、「グローバル人材」とは私たち学生の未来の姿なのだ。
 キャンパスの日常的な「教育」の本質はここにある。「防衛省による東京大学への軍事研究要請」はその象徴だ。「学費・就活・奨学金の三重苦」「単位」「規制強化」とは、学生を戦争政治に引きずり込むための支配の鎖なのだ。
 しかし、安倍のビジョンは破綻している。どの国も戦争と搾取強化に活路を求める中、民衆の生活は破壊され、全世界で労働者民衆の怒りは火を噴いている。韓国では、パククネ政権打倒のゼネストが闘われている。帝国主義ブルジョアジーが凶暴に戦争政治を強めるほど、労働者民衆は国境をこえて一つになる。動労千葉の「戦争協力拒否宣言」(2003年)から始まった日米韓の国際連帯の発展がその証明だ。武田君奪還と学生運動の前進は、世界中の闘う人びとに希望を与えている。

戦争を止めるのは革命だ

 戦争を担うのは誰か? 戦場で戦い、軍需物資を生産・輸送し、基地を建設するのは誰か? ベトナム戦争時、ベトナム人民の不屈の闘いと連帯し、帝国主義足下で反戦運動が高まった。アメリカの学生は徴兵カードを焼き捨て、全学連は空前の70年安保・沖縄闘争の実力的発展の先頭で闘い、沖縄・全軍労牧港支部など基地労働者をはじめ労働者がストライキに立ち上がった。「革命の現実性」が突きつけられる中でアメリカ帝国主義は敗北した。戦争を担うのも止めるのも、労働者階級なのだ。
 田中優子法大総長らが呼びかける「戦争をさせない1000人委員会」などのあり方は、もはや打ち倒されなければならない。一方では、安倍の「凶暴さ」に「市民の大同団結」を対置しながら、他方では、「グローバル人材育成」の名のもとに学生自治を破壊し、武田君を国家権力に売り渡す。こんな「平和運動」に戦争を止めることなどできない。むしろ戦争のお先棒担ぎだ。
 田中優子は、労働者・学生をおとなしく知識人の権威に従う「弱い存在」としてしか見ていない。安倍政権の反動的突出は、労働現場・キャンパスをバラバラに分断・制圧し、労働者民衆の本来の強さを抑え込んでいることに基づいている。既成の体制内労働運動幹部や田中優子らは、日常的分断と抑圧を黙認し、加担してさえいる! そして「国民が声を上げないから」と国家権力との対決を控え、「バランスをとる」などと詭弁(きべん)を弄して民衆の思いを裏切っていく。一切が、既成の支配と秩序を根底的に破壊し、階級的団結によって新たな社会を建設していくプロレタリア革命への恐怖に貫かれている。
 今年の8・6ヒロシマ―8・9ナガサキで、既存の運動指導者たちは安倍の前で沈黙した。階級的労働運動とともに行動してきた城臺美彌子さんが、被爆者代表として安倍を真っ向から批判した勇気を見よ! それがどれほど多くの人びとの勇気と力を引き出したか! 戦争なしには生きられない資本主義・帝国主義の打倒しよう! 戦争には革命を!
 9月全学連大会は、学生自治会再建のための「決定的な一人」として、武田君のように闘う学生=革命家を大量に生み出す場だ。その力で、全学連は「10・21国際反戦デー」の復権をかちとる決意だ。安倍政権に怒りを燃やし、社会を変えたいすべての学生は、自分の大学の仲間を連れて大結集してほしい。全国に学生自治会をよみがえらせよう!

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全学連第75回定期全国大会

9月3日(水)~4日(木)
東京・浜町区民館(中央区日本橋浜町3-37)
※参加費1000円(宿泊費は除く)

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