「避難させない」方針 川内原発再稼働絶対阻止だ 反原発の怒りを11・2集会へ

週刊『前進』06頁(2652号04面01)(2014/10/13)


「避難させない」方針
 川内原発再稼働絶対阻止だ
 反原発の怒りを11・2集会へ

 九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の再稼働攻撃に対し、地元を先頭に反対運動が激しく燃え広がっている。とりわけ、机上の空論でしかなく実際は被曝を強制する「避難計画」への怒りが大きくなり、再稼働策動を破綻に追い込む勢いだ。安倍はこの労働者人民の力に追いつめられ、これまでのように自治体が避難計画を作成するあり方から、国が直接関与するあり方へと大転換した。安倍が再稼働攻撃の前面に引きずり出されたのだ。

現実離れの避難計画に労働者人民の怒り噴出

 避難計画作りは、原子力災害対策特別措置法などで自治体の業務と定められている。原発事故の避難計画を作ることは不可能と分かっていたため、国が自治体に丸投げしたのだ。それゆえ当然にも、川内原発地元自治体など全国の原発立地自治体による避難計画作りは総破綻してしまった。
 そもそも、3・11福島原発事故は原発の「安全神話」を吹き飛ばし、それに加えて、いったん事故が発生すれば無事な避難などありえないことを巨大な衝撃を伴って明らかにした。だからこそ、再稼働攻撃はある意味で3・11以上に〝命より金〟の新自由主義の本性を示しており、労働者人民の怒りと危機意識を加速させているのだ。
 なかでも「避難計画」は現実離れした空論であり、被曝を強制し住民を見殺しにするものだ。たとえば川内原発の場合、病院の入院患者や福祉施設に入所する要援護者は原発から30㌔圏内に244施設、1万529人いる(福島民報9・13付)。この人たちの避難は不可能だ。鹿児島県の伊藤祐一郎知事が「避難計画は10〜30㌔圏内では作らない。空想的なものは作れるが、実際に機能しない」と開き直っているほどだ。
 川内原発の地元鹿児島、九州と全国の反対運動によってこの事実が明らかとなり、再稼働反対の声が日増しに大きくなっている。9月23日の東京・亀戸中央公園での大集会を引き継いで、28日に開催された鹿児島市での集会には鹿児島、九州と全国から7500人の労働者と住民がかけつけ、安倍の再稼働攻撃の前に立ちふさがった。川内原発再稼働攻撃への怒りは、今や安倍政権と原子力規制委員会、九州電力を再稼働が不可能になる瀬戸際まで追い込んでいる。
 そこでこの危機を突破し、再稼働に突き進むために安倍政権は、国が前面に立つ方針に転換した。9月12日に開かれた原子力防災会議(議長・安倍晋三首相)で安倍は、川内原発周辺自治体の避難計画などについて確認し、了承した。さらに同日、「事故が起きた場合は政府が責任をもって対処する」という政府方針(文書)を鹿児島県と薩摩川内市に手渡した。
 安倍は、避難計画などの体制を強化するため、内閣府に50〜60人の専門部署を新設すると決定した。また、避難計画作りに本格的にかかわるために内閣府と経済産業省の職員6人を、鹿児島県と薩摩川内市に派遣することも決めた。安倍が労働者人民との激突の正面に引きずり出されたのだ。

放射性物質を大気中に放出しても避難はなし

 安倍は、国がかかわることによって「避難」ではなく「避難させない」ことをたくらんでいる。それは原子力規制委員会が策定した「原子力災害対策指針」(13年9月5日、3回目の「改正」)を見れば明らかだ。
 指針は「原子力災害対策重点区域の範囲」として、「原発から半径約5㌔圏(PAZ)」と「半径約5〜30㌔圏(UPZ)」を設定している。
 また、「初期対応段階」における「緊急事態の区分」として「警戒事態」「施設敷地緊急事態」「全面緊急事態」の三つに区分している。
 以下、沸騰水型軽水炉の場合、各段階ごとに5㌔圏内に対してどのような防護措置がとられるかを見ていく。
 「警戒事態」は「原子炉へのすべての給水機能が喪失」などの場合。これだけで大事故だ。だが、避難にはしない。
 「施設敷地緊急事態」は「すべての非常用の炉心冷却装置による注水ができない」「炉心の損傷を防止するために原子炉格納容器圧力逃がし装置を使用すること」などの場合。後者はベント(大量の放射性物質を大気中に放出)している状態だ。この段階でも避難準備で、要援護者のみ避難(しかし後述するように、実際には、要援護者の避難もさせない)。
 「全面緊急事態」は「格納容器の障壁が喪失するおそれ」「放射性物質または放射線が異常な水準で原子力事業所外へ放出」などの場合。格納容器が爆発し大量の放射性物質が放出の事態だ。
 全面緊急事態の段階で空間線量が毎時500㍃シーベルトとなった時、5㌔圏内に避難指示が出される。毎時500㍃シーベルトとは、国が1年間に浴びて良いとしている1㍉シーベルトに2時間で達してしまう放射線量だ。また5〜30㌔圏内ではこの時点でもまだ「段階的に避難を行う」としている。
 その上でさらに重大な点は「避難または一時移転の実施が困難な場合......病院や介護施設においては避難より屋内退避を優先する場合があり」としていることだ。原子炉が爆発するような事態でも、入院患者や介護を必要とする人は置き去り、見殺しにするというのだ。これを「国の原子力災害対策本部が避難等の指示」をするとしている。国の指示=命令で住民を殺すということだ。
 安倍・規制委員会は、なぜこれほどの非人道的な行為を平然と行おうとしているのか。
 今、福島では政府の「安全」キャンペーンと帰還強要の中でも、12万人以上の人びとが避難生活を送っている。この人びとは、福島原発事故を弾劾し、自民党と東京電力の責任を追及し、原発推進の安倍を告発し続ける主体そのものの人たちだ。
 だからこそ安倍は、再稼働を強行して再び事故が発生し、何万、何十万もの人びとが避難するようなことがあれば体制そのものが打ち倒されかねないという恐怖にうちふるえているのだ。あるいは、避難者への補償金や賠償金で電力会社だけでなく国家の財政が破綻し、その面からも体制崩壊に行き着くことにおびえている。
 安倍は事故が発生した際には自衛隊や警察を動員することも政府決定した。これは治安出動だ。政府が「避難するな」と指示しようが、何万、何十万の人びとが避難を始めることは当然だ。安倍は、自衛隊や警察で地域を戒厳体制下に置き、避難を阻止しようとしているのだ。さらに運輸労働者などの徴用を決定し、労働者や自衛官などに被曝を強制しようとしている。それらが逆に安倍と資本家階級への怒りに転化することは明らかだ。
 しかし、これは、安倍が思い描いているだけの自分に好都合な構想に過ぎない。労働者人民がすでに生きるための壮大な闘いを始めているのが現実だ。安倍の再稼働攻撃への怒りと闘いがますます大きくなっている。

労働組合の闘いで原発なくそう

 再稼働を阻止することは可能だ。地元を始めとした労働組合の徴用計画への協力拒否、再稼働への協力拒否の闘い、そして、そういう闘いを貫く本物の労働組合をよみがえらせることこそ再稼働を阻止する力となる。
 福島での帰還強要に対しストライキで闘っている動労水戸や、外注化反対と戦争協力拒否を掲げて闘う動労千葉などが呼びかける11・2労働者集会はそのための集会だ。再稼働に反対し、原発をなくすために闘い活動している人たちは、11月2日に東京・日比谷野外音楽堂で開催される全国労働者集会に集まろう。その力で安倍を打倒し、川内原発の再稼働を止め、すべての原発を廃炉に追い込もう。
[北沢隆広]

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原発から半径約5㌔圏(PAZ)と半径約5〜30㌔圏(UPZ) PAZ(予防的防護措置を準備する区域)、UPZ(緊急時防護措置を準備する地域)は、人びとの目をくらますための規定で、住民の防護などまったく考えていない。

1㍉シーベルト ICRP(国際放射線防護委員会)が勧告した1年間の被曝線量限度。だが放射線にこれ以下なら安全というしきい値などなく1㍉シーベルトでも人体にはきわめて危険。

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