社会保障解体許すな<保育> マンモス化と小規模化で安全崩壊が必至の新制度

週刊『前進』06頁(2652号04面04)(2014/10/13)


社会保障解体許すな<保育>
 マンモス化と小規模化で安全崩壊が必至の新制度


 来年4月に実施される子ども・子育て支援新制度(新制度)を機に、一気に強まる規制緩和、民営化=外部委託と非正規職拡大の攻撃に、怒りが噴き出し、闘いの機運が高まっています。
 7月の自治労保育集会では、保育所で多発する乳幼児の死亡事故問題が取り上げられ、〝安全破壊の新制度に反対〟の声が多数上がりました。しかし自治労本部は、あくまで新制度推進の立場で労働者のスキルアップの問題にすり替えようとしました。怒り爆発。もうがまんできない! 新制度に絶対反対し、職場と雇用を守り、子どもの命を守る闘いが始まっています。
■マニュアルまかせ
 安倍政権は、新自由主義が不可避に行き着いた労働力人口減少という根本的な危機の突破をかけて、女性労働者を根こそぎ非正規労働者としてかり出すことを狙い、「待機児童解消」と称して、規制緩和をどんどん進めています。そしてさらに、17年度までに定員を40万人増やす目標を掲げ、すでに事故が多発している保育所の安全基準すらこわす暴挙に出てきているのです。
 保育士には経験が必要で、一人前になるには最低10年はかかり、同じ保育所に数年いなければその保育所内の状況も理解できないと言われます。
 にもかかわらず、当局は、3〜5歳児については保育をマニュアル化し大量の非正規職員を雇って定員を400〜500人規模にマンモス化させようとしています。ちょっとしたことですぐ重大事故に直結する0〜2歳児については、民間、個人経営による定員19人以下の小規模保育(ミニ保育所)を主にしようとしています。
 子どもの命を預かる保育は、マニュアル化で済ますことなど絶対にできません。まして500人規模にまで巨大化した施設で、どうやったら安全が保たれるというのでしょうか。一方、ミニ保育所では経験不足の保育士は先輩から教わることもできません。どちらも今まで以上に重大事故が多発することは必至です。
■研修だけで支援員に
 安倍首相は臨時国会の所信表明演説で、保育士不足解消を掲げて、短時間の研修だけでなれる「子育て支援員」の15年度導入を打ち出しました。恐ろしいことです。JRの千葉鉄道サービス(CTS)と同じく、保育士制度を解体し、事故の責任をすべて現場の労働者に押し付けるものです。
 今ですら、保育労働者は低賃金と人手不足の中で酷使されています。
 社会福祉法人(社福)が運営する大阪府の認可保育所の33歳の保育士の賃金は手取りで月17万円。企業が運営する関西のある認可保育所の40代の賃金は15〜16万円。朝8時半から夜7時まで働き、正月以外休みなし。「会社は園庭を広げ、子どもの数は10年前の2倍に増えた。その分保育士の負担は重くなった」(朝日新聞)。「横浜市では社福の保育園は人件費が約7割だったのに対し、企業の平均は約5割」(同)
 新制度と子育て支援員導入で狙われている雇用・賃金破壊と安全破壊を絶対に許してはなりません。
■労組変える闘いを
 絶対反対で闘う労働組合につくり変える闘いが全国で始まっています。
 7月の大阪市職役員選では、新制度推進の自治労本部派に対し、保育士の仲間が怒りに燃えて立候補し、2千票を超える票を集めました。
 「この職場で、この現業職場で働き続けることが大事なんだ。委託によって労働者が非正規にされ、安全も保てない。職場を守ることが将来につながる」。これは都内の保育園現業部会での委託絶対反対の議論です。
 外注化とローカル線切り捨てに反対する動労千葉の10・1ストライキに続いて、職場と雇用を守り、安全を守る反合理化・安全闘争の前進が、戦争と民営化、社会保障解体を阻みます。11・2労働者集会に総結集しましょう。
(大迫達志)

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