日米防衛協力ガイドライン 「周辺事態」の規定とり払い 世界中で日米共同作戦

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週刊『前進』06頁(2652号05面02)(2014/10/13)


日米防衛協力ガイドライン
 「周辺事態」の規定とり払い
 世界中で日米共同作戦

 米日帝国主義の両政府は8日、外務・防衛の局長級で構成する防衛協力小委員会を開き、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の改定に向けた中間報告を発表した。両政府は年末までに最終報告をまとめ、1997年以来17年ぶりとなるガイドライン再改定を目指すとしている。今回の中間報告は、その基本的骨子を明らかにしたものだ。
 中間報告の最大の特徴は、現行ガイドラインの「周辺事態」という文言を削除し、代わりに「日米同盟のグローバルな性質を反映する」と称して適用範囲を全世界規模に拡大したことである。

7・1情勢下で安保大改悪

 現行ガイドラインとそれに基づく周辺事態法(99年制定)は、基本的に朝鮮半島での戦争を「周辺事態」と規定し、その適用範囲も「中東、インド洋、ましてや地球の裏側は考えられない」(小渕内閣の答弁)としていた。また武力行使を行うのはあくまで米軍であり、自衛隊は後方支援にとどまるとされた。
 これに対し、今回の中間報告は、この「周辺事態」概念の削除に加え、7・1閣議決定をガイドラインに「適切に反映」させると宣言し、「7月1日の閣議決定の内容に従って日本の武力の行使が許容される場合における日米両政府間の協力について詳述する」と強調した。自衛隊が米軍と同等に全世界規模で武力行使=戦争に乗り出すということだ。日米安保条約そのものの事実上の大改定に等しい内容である。
 とりわけ、米帝を先頭とする帝国主義有志連合のイラク・シリアへの侵略戦争が進行する中で、ガイドライン改定はただちに自衛隊の参戦に直結するものだ。
 また中間報告は、これまで状況に応じて「平時」「周辺事態」「有事(=日本が直接攻撃を受けた場合)」という3区分で軍事協力の内容を定めてきたあり方を撤廃し、「平時から緊急事態まで切れ目のない形」で恒常的に米軍と自衛隊が一体化し、共同の軍事行動を進めるとした。
 具体的には、平時から米軍艦艇を防護する「アセット(装備品等)の防護」、ホルムズ海峡での機雷掃海などを含む「海洋安全保障」などを列挙し、「情報共有・保全」なども明記した(12月10日施行が狙われている特定秘密保護法はこれに対応するものだ)。また武器輸出解禁や武器購入拡大を踏まえた「防衛装備・技術協力」も盛り込まれた。

今秋闘争で安倍政権倒せ

 もともと日米ガイドラインは、日本と日本周辺での有事(戦争)における米軍と自衛隊との役割分担を決めた日米政府間の協定文書として、1978年に策定された。
 当初のガイドラインは旧ソ連を仮想敵国とした「共同対処行動」を規定し、攻勢(対ソ攻撃)は米軍が行い、防勢(日本と日本周辺の防衛)は自衛隊が担うとした。これは自衛隊が初めて他国軍との戦闘を実戦的な作戦として設定したもので、以後本格的に自衛隊が実戦部隊化する契機となった点で「日帝の安保・防衛政策の原理的転換」を意味した。これが80年代の中曽根政権の軍事大国化路線をはじめ、その後の日帝の安保・防衛政策を規定したのである。
 さらに97年、朝鮮半島での戦争などを想定した「周辺事態」を含んだ内容に改定され、それを踏まえ99年に周辺事態法、2003〜04年に有事関連法が制定された。
 7・1閣議決定を反映した今次ガイドライン改定は、日帝にとって、従来の安保・軍事政策における対米関係の転換をもはらんだかつてないエスカレーションである。
 今秋から15年通常国会にかけてのガイドライン改定・関連法案策定の過程は、まさに「戦争か革命か」をかけた歴史的な階級決戦である。湧き上がる怒りの声を結集する階級的労働運動の登場が求められている。安倍政権打倒へ10・21国際反戦デー闘争に全国の職場・キャンパスから立ち上がり、11・2労働者集会1万人結集へ攻め上ろう!

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