「オール福島」ふりかざす知事選に団結拡大で闘う 革共同福島県委員会

週刊『前進』06頁(2653号04面03)(2014/10/20)


「オール福島」ふりかざす知事選に団結拡大で闘う
 革共同福島県委員会


 10月26日投開票の福島県知事選は、「オール福島」の名のもとの福島圧殺・切り捨て攻撃との闘いだ。安倍政権とそれに屈した既成の全党派・勢力によるこの攻撃は、「フクシマの怒り」を絶望と敗北主義で粉砕しようとするものだ。戦争を阻止できるかどうかが一人ひとりに真剣に問われている今、「よりましな誰かの選択」という体制内イデオロギーと決別し、「福島の怒りで安倍政権を打倒しよう!」と真っ向勝負する時だ。
 動労水戸をはじめ、闘う労働組合拠点を打ち立て、〈避難・保養・医療〉の原則を掲げるふくしま共同診療所とともに、闘い生き抜く団結を拡大していくことで勝ち抜こう。国鉄決戦・郡工決戦を反原発決戦と一体で闘い抜く福島の怒りの11・2労働者集会への総結集を実現しよう。

福島の怒りを恐れる安倍

 安倍政権は福島の怒りの爆発を何よりも恐れている。自民党福島県連による独自候補擁立をねじ伏せ、民主、社民、連合との相乗りで、「オールふくしま」を掲げる内堀雅雄前副知事を推薦(すいせん)したことがそれを物語っている。内堀候補こそ、中間貯蔵施設建設を受け入れて引退を表明した佐藤雄平知事の後継指名を受けた人物であり、福島切り捨ての張本人だ。石原伸晃・前環境相の「金目」発言で一度は頓挫(とんざ)した中間貯蔵施設建設は、「復興」(という名の福島切り捨て)の目玉であり、ゼネコンとともに除染ビジネス・廃炉ビジネスで福島を食いものにしていく一切の土台だ。これを「オール福島」でなんとか建設しようという魂胆が見え見えだ。この攻撃の先兵を買って出た連合・社民の帝国主義労働運動への転落を絶対に許してはならない。
 一方、日本共産党も独自候補を擁立せず、小泉路線そのものの「卒原発=代替エネルギー」を掲げる熊坂義裕候補に相乗りし、「オール福島」を盛んに宣伝している。
 熊坂氏は、新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)の提言メンバーだ。21世紀臨調の前身は、国鉄分割・民営化の旗振り役だった政治改革推進協議会(亀井正夫会長)だ。医師でもある熊坂氏は、「甲状腺外来も経験」を押し出し、被曝問題を取り上げるようなポーズを取りながら、小児甲状腺がん多発には一切言及しない。「福島の復興なくして日本の復興はない」と言う彼の本音は、復興のためには「最小限」の被曝を受け入れろということだ。政策説明会では、県立医大やIAEA(国際原子力機関)との連携も明言した。
 これに安心したか、「被曝など気にしないで生活しよう」と県立医大を支持する民医連が牛耳る日本共産党は、「オール福島」を声高に叫んで熊坂推薦を決定したのだ。実に醜悪(しゅうあく)な構図だ。安倍と日本共産党は、県民にどちらの圧殺者が良いかを選択しろと言っているに等しいのだ。
 これに対し、井戸川克隆・前双葉町長が「避難の権利と全面的補償、帰町運動絶対反対、政府と県、医大の被曝隠し弾劾」を掲げて立候補した。被曝からの避難、移住は労働者人民の当然の権利であり、政府と東電は無条件に保証すべきだ。だが、それは200万県民、13万人弱の避難者と全国の労働者人民が団結し、闘う労働組合を軸とした主体的決起を通して初めて実現できる闘いであり、「命よりカネ」の新自由主義を打倒する闘いだ。この現実との格闘を抜きにして、避難などを県知事選の政策としてのみ掲げることは真の階級的団結の道とは言えない。

ふくしま共同診療所拠点に

 福島の労働者人民は3・11直後から原発事故と被曝の現実と必死に格闘してきた。避難すべきことははっきりしているが生活のために離れられない現実、道一本で避難か否かを分けるようなすさまじい分断の現実がある。現在も県内外に13万人弱の避難者、県外に避難した子どもたちは1万人以上、被曝の恐怖と不安、未来を奪われた生活で、原発事故関連死は1700人を超える。そして、小児甲状腺がんが104人、100万人に1人どころか3千人に1人が発症し、うち半数がリンパ節転移など切除手術が必要な状態にもかかわらず、「放射線の影響ではない」という言葉が繰り返されている。山下俊一が「政府が補償したらウクライナのように国家がつぶれてしまう。だから私が来た」と公言してはばからなかったように、政府は福島の被曝と健康被害を隠蔽(いんぺい)し、切り捨てようとしている。 
 これに怒る福島と全国全世界の広範な労働者人民の力が、ふくしま共同診療所を実現し、県立医大と対決する拠点となっている。すでに1千人を超える甲状腺エコー検査受診者があり、子どもたちの未来と命を守るよりどころとなっている。保養活動は医療と連携して健康と命を守り、県内外の団結で生き抜く闘いだ。ふくしま共同診療所はこうした共同の闘いの中で〈避難・保養・医療〉の原則を確立した。内部被曝に徹底してこだわり、「被曝ゼロ」を大原則として避難を勧めるとともに、福島の地で生きざるをえない人たち、避難先で困難を強いられている人たちとともに生きる医療を目指している。

11・2に福島は総決起する

 動労水戸の被曝労働拒否の闘い、常磐線竜田延伸阻止の闘いは、闘う労働組合こそがあらゆる分断を打ち破り、すべての労働者人民の団結をとりもどし、生活と未来を守る拠点となることを実践で示している。9・11JR郡山総合車両センター包囲闘争は、動労水戸とともに被曝労働絶対反対を貫く職場から、外注化反対を真正面から掲げて福島圧殺攻撃を打ち砕く闘いとして大成功した。青年を先頭にした動労総連合の全国的建設の展望を圧倒的に開きつつ、福島の怒りと安倍政権―JR葛西体制打倒の国鉄決戦を一つのものに押し上げた。外注化による多重下請け構造のもたらす究極の姿を福島原発事故という形で目の当たりにした私たち労働者人民は、外注化阻止の具体的な闘いの中に労働者人民の未来を見ることができる。原発労働者が労働組合をつくり団結して闘う中にしか日本と世界の労働者人民の未来は絶対に展望できない。
 今こそ、福島の怒りで原発再稼働、原発輸出、そして戦争に向かう安倍政権を打ち倒そう。県知事選で誰に私たちの未来を奪われるのかを選択するのではなく、人間としての根源的な怒りを解き放ち、団結して立ち上がろう。「復興」と「オール福島」のもとに階級性を解体し、資本主義・新自由主義の延命をはかろうとする一切の動きを許さず、『前進』で階級分岐と党派選択を促進し、帝国主義労働運動に転落した体制内勢力を打倒しよう。11・2労働者集会(日比谷野音)に総結集しよう!

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