川内原発再稼働を絶対阻め 福島と怒り共にし闘おう 被曝容認の日本共産党許すな

週刊『前進』06頁(2656号04面01)(2014/11/10)


川内原発再稼働を絶対阻め
 福島と怒り共にし闘おう
 被曝容認の日本共産党許すな


 川内(せんだい)原発再稼働をめぐる攻防は最大の山場を迎えた。10月28日には薩摩川内市が再稼働に同意を示し、11月3日には宮沢経産相が鹿児島に乗り込んで再稼働をあおったのを受けて、7日にも鹿児島県がゴーサインを出す。手続きとしてはこれだけで、1月にも再稼働を強行しようとしている。再稼働推進者は〝福島のような原発事故が再び起きてもかまわない〟と思っている。こんな「命より金」の新自由主義の暴挙は絶対に許さない。3・11以来の怒りを爆発させ、再稼働を止めよう。再稼働絶対反対・安倍政権打倒を掲げ、今こそフクシマの怒りをともにし、労働組合をよみがえらせ、原発再稼働と改憲・戦争をともに許さない運動として闘おう。

安倍政権は自衛隊使い住民避難させない計画

 何よりも、再稼働を止めるために安倍政権を打倒しよう。9月中旬の原子力防災会議で安倍は、川内原発関連の避難計画を「具体的、合理的」と言って承認した。同じく9月中旬、政府は鹿児島県と薩摩川内市に「事故時には政府が責任を持って対処する」との政府文書を渡し、事故が起きた場合は自衛隊や全国の警察を動員するという具体策を出した。
 もともと安倍政権は、避難計画作成を現地自治体に押しつけて再稼働できると甘く見ていた。しかし、避難などできない計画であることが歴然とするにいたって現地住民の怒りが噴出し、8〜9月には川内再稼働ができない窮地に陥った。危機感を持った安倍政権は9月に、国が前面に出る方針に変えた。その内実は、国家暴力をもって、実際にも自衛隊や警察を動員し、労働者を徴用し、住民を避難させない、というものだ。
 政府は福島第一原発事故では、11年3月15日に20〜30㌔圏について屋内退避の指示を出し、25日にこの地域の市町村に自主避難の促進を依頼した。原発推進の国際機関ですら屋内退避は最長2日間という想定だが、10日間も放置され、結論はなんと自主避難の促進だった。だから「実際は、こうした政府の指示を待つことなしに、自主的に避難を行った住民が続出した」(国会事故調査委員会報告書)。安倍政権はこうした各自判断の自主避難をさせないために、自衛隊・警察の動員と労働者の徴用を考えているのだ。
 10月には、原発事故が起きてもSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報を公表しないことを決めた。10月に特定秘密保護法の運用基準を閣議決定したが、秘密指定の権限を持つ行政機関に経済産業省、資源エネルギー庁、原子力規制委員会を入れた。要するに原発事故が起きても福島の時以上に真実を隠し、避難させないで被曝させるということだ。
 だからこそ、フクシマの怒りを爆発させよう。9月28日に鹿児島市で開かれた「ストップ川内原発再稼働!全国集会」では、福島からの2人の発言で「甲状腺がん」「被曝」と一言あっただけだ。たくさんの発言がありながら、あとは誰もその言葉を発しなかった。避難計画を問題にしても、「こんな計画では被曝するから反対」とは言われないのだ。

100人超す甲状腺がんと13万人の避難者の現実

 福島の子どもの甲状腺がんは、疑いも含めてすでに100人を超えた。放射能汚染地からの避難者は、今なお13万人にも上っている。にもかかわらず、政府は高汚染地への帰還と被曝を強制している。避難指示を解除した地域の避難者には1年後に補償を打ち切る。まともな住宅を保証せず仮設住宅に放置し、分断と失意に追いやっている。関連死は、そうした政府の意図的方針の結果だ。
 放射能汚染と被曝、だからこその避難、というこの現実を政府も福島県も隠そうとしている。福島県知事選で安倍政権がやったのもそれだ。しかも日本共産党がその先兵となって、放射能汚染、内部被曝、避難について、労働者人民が問題にすることを圧殺しようとしている。日本共産党は内部被曝の事実自体を認めず、避難に反対し「除染・復興」を言うだけである。これほど福島の命を顧みず無視・抹殺するのは、福島県立医大や御用学者とまったく同じだ。反原発・脱原発の運動への日本共産党の敵対を粉砕することなしに、再稼働反対運動は進まない。9・28鹿児島集会が示したのは、そういうことだ。放射能と被曝に対する避難・保養・医療の原則を、反原発運動全体の原則にしていこう。

職場・地域にある怒りを労働組合に組織しよう

 さらに、再稼働反対闘争を労働組合の力をよみがえらせて闘おう。
 5〜6月の動労水戸の「常磐線竜田延伸反対、福島切り捨てを許さない、被曝労働拒否」のストライキは、重要な地平を切り開いた。被曝労働拒否とは、原発と放射線被曝を絶対許さないということだ。原発廃炉を求める人びとにとって、被曝労働拒否のストライキは、原発廃炉の現実性を示すものとして受け止められている。
 しかも帰還強制反対のスローガンは避難者や原発労働者らの注目と支持を集め、「労働組合の持っている豊かな可能性を実際に示すものとなった」(『内部被曝を許さない』前進社発行)。首相官邸前・国会前行動に欠かさず参加してきた人たちの中から、この闘いに感動してNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)の会員になる人も現れた。
 さらに今秋、東京の自治体職場で「ふくしま共同診療所」の杉井吉彦医師を招いた講演会が開かれ、参加した福島出身の若い女性が涙を流して杉井医師に礼を言ったという。別の自治体職場でも、福島出身者が「NAZEN通信」第18号に載った「誰からも謝ってもらっていない」という避難者の怒りの声を読んで、「このままのことを親も言っている」と共感しNAZEN会員になった。フクシマの怒りは自身の職場や地域にある。職場・地域でフクシマの怒りを労働組合として組織して闘おう。
 さらに避難・保養・医療の運動を労働組合の取り組みにしていこう。労働組合をよみがえらせるために、国鉄闘争、「動労総連合を全国に」の闘い、公務員労働運動に立ち上がろう。
 最後に、反原発闘争は戦争・改憲攻撃との闘いと一体だ。9・28鹿児島集会では福島から避難している女性が、「原発問題は戦争問題と同じだ」と発言した。〝原発も戦争も、資本家階級の利益のために労働者人民の命を奪うものだ〟という思いが急速に広がっている。その怒りを、再稼働を止め戦争を止める運動の発展につなげよう。
〔島崎光晴〕

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▼避難・保養・医療の原則 放射線被曝から健康と命を守る考え方、生活規範。放射能に対する最大の防護は避難である。避難できない場合、線量の低い場所に保養に行く。医療的な支援も必須不可欠。三つが一体でそれぞれも意味を持つ。

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