全原発廃炉へ衆院選決戦に勝利を 共産党は依然として「原子力の平和利用」論に立っている

週刊『前進』06頁(2660号04面01)(2014/12/08)


全原発廃炉へ衆院選決戦に勝利を
 共産党は依然として「原子力の平和利用」論に立っている


 日本共産党は11月26日、五つの項目からなる「日本共産党の総選挙政策」を発表した。その4項目めを「原発再稼働ストップ 『原発ゼロ』の日本をつくろう」との表題で原発問題にあて、「再稼働反対」「原発ゼロ」などと長々と書き連ねている。見過ごすことができないのは、共産党がここで危険で深刻な〝放射線〟や〝被曝問題〟を語らず、意図的に隠蔽(いんぺい)していることだ。それは共産党が、表向きの言葉とは逆に、本心では〝原発賛成〟〝原子力の平和利用賛成〟だからだ。原発推進を賛美する共産党を許さず、総選挙での勝利を実現しよう。

放射線被曝の危険性の意図的隠蔽は許せない

 共産党はこの「政策」の中で、福島原発事故で「12万人が避難生活を余儀なくされ」とか、「事故の収束もできず」などと語っている。にもかかわらず、最も肝心な〝なぜ避難しなければならないのか〟〝なぜ収束が困難なのか〟については一切述べようとしない。
 多くの住民が避難しなければならないのは、住み慣れた土地が放射能に汚染され、被曝してしまうからだ。収束作業も、強烈な放射線による被曝の恐れがあるため困難を極め、収束までに何十年かかるか予測もつかないのだ。現に今、福島第一原発では連日6千人もの労働者が被曝しながら、収束のために苦闘を続けている。
 労働者の被曝なしに成り立たないのが原発だ。原発は、原料のウランの採掘から始まって、原発用の燃料への加工、原発での使用、再処理、使用済み燃料の処分、この全過程で労働者を被曝させる。実際に、日本だけでも原発にかかわる何十万人もの労働者が被曝し健康を破壊され、命まで奪われてきている。
 またいったん事故が起これば、膨大(ぼうだい)な量の放射性物質が人間に被害を及ぼし自然を破壊する。福島原発事故では、セシウム137だけでも広島原爆168個分もの量が放出され、福島県と東日本を汚染させた。その結果、これまでだけでも、疑いを含めて104人もの子どもたちが甲状腺がんと判明した。今後さらに増えるおそれがあり、大人も含めて他のさまざまな病気の発症も予想される。
 これらの事実を共産党は知らないとでもいうのだろうか。当然だが、そうではない。共産党は2011年8月に「放射能汚染から、子どもと国民の健康を守る対策」を提言し、「国の責任による放射能汚染の実態の徹底した調査、......内部被ばくを含む被ばく線量調査をはじめ万全の健康管理を要求」するなど、放射能と被曝に関して見解を述べている。共産党は、「放射能汚染」「内部被ばくを含む被ばく」の危険性、恐ろしさを十分に認識しているのだ。

労働者の怒りを恐れたペテン的な「反原発」論

 では現在、共産党がこれらの問題について固く口を閉ざしているのはなぜなのか。それは、共産党が口先では「原発反対」を語りながら、実際は、3・11以前と同様に今でも原発推進が本心だからだ。
 1953年のアイゼンハワー米大統領の「原子力の平和利用」演説と中曽根康弘を中心として始まった日本の原発政策に、共産党は全面的に賛成し、一貫して「原子力の平和利用」「原発推進」を党是としてきた
 3・11でそれが変わったか。そうではない。共産党は、3・11直後に行われた統一地方選挙で「安全な原子力政策」を掲げ、「今すぐ原発をなくせというのは無責任」と主張して回った。2011年6月13日に発表した「提言」でも「電力不足による社会的リスクや混乱」を理由に、労働者民衆の「ただちに原発をなくせ!」の声と闘いに反対した。
 ところが3・11から1年半が経過した12年9月25日、共産党は突如、第2の「提言」を発表し、当時の野田内閣に対し「『即時原発ゼロ』の実現を」と要求した。その理由を、共産党の原発問題の責任者であり前衆議院議員の笠井亮は「多くの国民が求めているのは、『原発ゼロの日本』をただちに実現すること」だからだと述べている(共産党理論政治誌『前衛』888号)。
 これは、共産党が原発に賛成してきた自己の誤りを自己批判し、転換したということではない。3・11直後から始まったフクシマを始めとする全国の労働者民衆の闘い、大飯原発再稼働に反対する、12年6月29日の首相官邸前20万決起、7月16日に東京・代々木公園で開催された17万人の集会、7月29日の国会大包囲行動への20万決起。共産党はこれら労働者民衆の根底からの怒りを目の当たりにし、この闘いが発展して、〝原発賛成のままでは労働者民衆に打倒される〟と震え上がり、「転換」のポーズをとったにすぎない。

福島の怒りと共に闘う鈴木候補勝利へ奮闘を

 共産党が、本当に「原発反対」に転換したのでないことを証明する事実がもうひとつある。
 共産党は11年6月の最初の「提言」で「原子力の平和的利用に向けた基礎的な研究は、継続、発展させるべき」とそれまでの立場をあらためて強調した。12年9月の提言で「原発反対」に転換したのであれば、この「平和利用」の主張は当然、撤回されなければならないはずだ。だがそうではない。撤回していないということは、この主張は生きているということしか意味しない。共産党の本心は「原子力の平和利用」であり、「原発反対」は労働者民衆をたぶらかすための方便だ。
 共産党が、3・11福島原発事故を経験した今に至ってもなお、原発や「原子力の平和利用」にしがみついているのはなぜなのか。その根拠は彼らの綱領次元の問題にかかわる。共産党は労働者階級の革命に反対し、「資本主義の枠内での改革」を掲げている。マルクス主義を解体して、労働者階級の自己解放的な決起を抑圧し、プロレタリア革命を圧殺することを反階級的な目的にしているのだ。
 だが、それでは「共産党」として存立できない。そこでマルクス主義を歪曲し、〝生産力を発展させるのが共産主義〟とした。その帰着点が、生産力の向上のためのエネルギー源として原発は必要ということなのだ。
 「原子力の平和利用」と原発推進を叫ぶ共産党は労働者民衆の側に立つ存在ではない。「福島の怒りと共に 川内原発再稼働阻止!」と訴える鈴木たつお候補とともに闘おう。自民党、民主党、共産党をうち倒し、鈴木候補の勝利のために奮闘しよう!
(北沢隆広)

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「原子力の平和利用」を主張する日本共産党
●核エネルギーの平和利用の問題で、いろいろな新しい可能性や発展がありうる(不破哲三議長〔当時〕 2003年6月30日、しんぶん赤旗)
●私たちは核エネルギーの平和利用の将来にわたる可能性、その基礎研究までは否定しない(志位和夫委員長 2011年8月25日付毎日新聞)
●今すぐ原発をなくせというのは無責任/安全な原子力政策を(2011年4月、統一地方選挙)
●(原発を無くすことで起こる)電力不足による社会的リスクや混乱......は避けなければいけません(2011年6月の「提言」)
●原子力の平和的利用に向けた基礎的な研究は、継続、発展させるべき(同)

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