焦点 政労使会議「賃上げ」の大うそ 連合が定期昇給解体を承認

週刊『前進』06頁(2662号05面04)(2014/12/22)


焦点
 政労使会議「賃上げ」の大うそ
 連合が定期昇給解体を承認


 12月16日、政府と経団連、連合などによる政労使会議は、「経済の好循環実現に向けた政労使の取組」と題する文書をまとめた。マスコミはこれを「来春の賃上げ協調/政労使が合意」「賃上げへ最大限努力」などと大々的に報じた。
 しかしその8項目にわたる合意文書は、賃金と雇用、労働時間規制の破壊、そして女性を労働力として駆り出すために税制や社会保障制度を見直し、配偶者手当も見直すことにまで言及した。「経済の好循環」などありえない「恐慌の中の恐慌」にあえぐ安倍の絶望的な階級戦争宣言だ。これに連合会長・古賀伸明は名を連ねた。許せない犯罪行為、安倍とともに打倒されるべき帝国主義労働運動だ。
●年功賃金廃止にGOサイン
 空々しい「賃上げへ最大限努力」の文言の一方で、合意文書は第一に、「賃金体系のあり方」として「仕事・役割、貢献度を重視することや、子育て世代への配分を高める方向へ労使で賃金体系を見直すことが一案」とした。「仕事・役割、貢献度を重視」とは、全員が昇給するこれまでの年功制を解体して成果主義賃金に置き換えることで、外注化・非正規職化と一体で労働者を分断するとともに、総額人件費を大幅に引き下げるということだ。「子育て世代への配分を高める」とは40代、50代の中高年世代の賃金を切り下げ、定昇のないフラット化を進めるということであり、これもまた大幅賃下げ攻撃だ。
 こうした成果主義賃金体系への転換はすでにNTTが進め、パナソニックや日立、ソニーなどが「人件費の2割削減」を掲げて完全移行しようとしている。マスコミは「労使が十分な話し合いのもとでその会社に合った見直しに取り組む」などという文言を「慎重姿勢の労働界にも配慮した」と評した。そうではない。賃金体系の見直しを全社会的に進めることに連合がGOサインを出したのだ。
●非正規雇用の「生産性向上」
 合意文書は第二に、「サービス業などの生産性向上」の項で「非正規雇用労働者について意欲と能力に応じて処遇改善や正規化を図る」とした。非正規職撤廃ではない。総非正規職化を進め、「意欲と能力」を振りかざして徹底的に分断、労働強化と低賃金化を強いて「生産性を向上」させようということだ。
●労働時間規制撤廃に道開く
 合意文書は第三に、「休み方・働き方改革」として「個々の従業員の創造性を発揮するためには、様々な働き方があってしかるべき」とした。「残業代ゼロ」すなわち過労死を強いるホワイトカラーエグゼンプションに連合が道を開いたのだ。
●増税・社会保障制度解体も
 合意文書は第四に、「女性が働きやすい制度等への見直し」として、「税制や社会保障制度を見直す。配偶者手当についても」検討を進めるとした。
 女性を労働力として暴力的に駆り出すために配偶者控除などを廃止し、医療・介護や年金など社会保障制度を破壊することに連合は合意したのだ。
●国鉄基軸に春闘で連合打倒を
 安倍は15日、「(新年明けの国会で)働き方の見直しや地域を限った規制緩和などを定める法案を審議する。『岩盤規制』を崩す」と言い放った。労働者派遣法改悪や労働時間規制撤廃、公務員攻撃が焦点だ。通常国会は、歴史的な安保・戦争国会となるとともに労働規制をめぐる階級決戦となる。
 まさにこの時に、連合は安倍の手先として、戦争と大失業・賃下げ翼賛の帝国主義労働運動の道をひた走っている。すでに安倍は6月に発表した「成長戦略」と「骨太の方針」で政労使会議を称賛し、これに頼りきってきた。しかし今や連合の本性は消費増税の賛成に続いて完全に明らかとなった。労働者階級の怒りは煮えたぎり、国鉄分割・民営化以来、帝国主義を支えてきた連合の労働者支配が崩壊している。何が「賃上げへ最大限努力」だ。15春闘を労働規制撤廃を許さず「生きていけるだけの」大幅賃上げを求める安倍・連合打倒の決戦としよう。
 動労千葉・動労総連合を先頭に、国鉄闘争がJR資本とJR総連の結託体制を粉砕し、連合労働運動をガタガタにしてきた。国鉄・公務員決戦の爆発で連合を倒し、階級的労働運動の躍進をかちとろう。

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