札幌で診療所報告会 杉井医師が熱をこめ講演 福島との団結を誓う

週刊『前進』12頁(2663号02面04)(2015/01/01)


札幌で診療所報告会
 杉井医師が熱をこめ講演
 福島との団結を誓う

(写真 ふくしま共同診療所の取り組みを報告する杉井吉彦医師の話に、全道からの参加者は熱心に聴き入った【12月14日 札幌市】)

 12月14日、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)さっぽろの主催で、ふくしま共同診療所の報告会が開かれ、全道各地から40人を超える人びとが参加しました。
 司会者が、国と東京電力による被曝の強制・放置を許さず、福島の人びとと団結して闘おうと開会を宣言。
 講演した医師の杉井吉彦さんは、福島第一原発事故は核燃料の回収の見通しも立たず、今も毎日300㌧の汚染水が出続けるなどまったく終わっていないこと、除染の実態も「移染」に過ぎず、県境を越えた汚染は無視されていることを明らかにしました。
 また、「年100㍉シーベルト以下は健康に影響はない」(山下俊一)という非科学的な安全キャンペーンのため、健康調査を受けた子どもたちは80%にとどまり、調査も甲状腺のしこりを5㍉で区切るようないい加減なものであることを暴きました。その調査に対しても「過剰診断」とする医学界トップからの圧力が加えられているというのです。さらに、「小児甲状腺がんは予後がいい」と言いながら、甲状腺とともにリンパも一緒に切除する手術が行われたことが明るみに出たり、2次検査の結果の公表が異様に遅れるなど、次々と矛盾が出ていることも報告されました。
 福島県下を含め全国の医師の大半が被曝の放置に加担し、日本共産党系の民医連も県と一体化して、避難の権利を主張しないことには驚かされました。共同診療所は当然の診療をする当たり前の医療をめざし、医療保険を適用させるなどの具体的な取り組みを行っていることに感動しました。
 杉井さんは仮設住宅での健康相談についても報告し、パキスタンなどで難民支援に携わってきた経験から、「横並びの仮設住宅は人間性を無視したもので、国際基準では『アウシュビッツ並み』」と断罪しました。
 そして、「関連死は医療だけでは救えない」として、動労水戸の被曝労働拒否のストのような闘いの重要性を強調しました。漫画「美味しんぼ」に官房長官がかみつくなど、健康問題・被曝問題が原発再稼働・輸出を強行する国家意思との第一級の対決点になっている現状から、診療所への一層の支援を訴えました。
 反原発運動の二つの団体が福島に連帯し原発をなくすために活動すると抱負を述べ、自交総連北海道地連のタクシー労働者は「石破地方創生担当相は『原発とはエネルギーでなく核武装の問題』と言った。原発反対は戦争反対。動労水戸のように闘う」と決意表明しました。
(札幌J・S)
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