労農連帯で市東さんの農地守れ 三里塚反対同盟が新年アピール 軍事空港粉砕・第3滑走路阻止を

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週刊『前進』12頁(2663号03面01)(2015/01/01)


労農連帯で市東さんの農地守れ
 三里塚反対同盟が新年アピール
 軍事空港粉砕・第3滑走路阻止を

(写真 市東さん農地裁判控訴審の第3回弁論開廷に先立ち、東京高裁を包囲するデモに出発した三里塚反対同盟。合言葉は「霞が関に攻め上ろう!」【10月8日 日比谷公園霞門前】)

 「農地死守・実力闘争」の原則を貫き49年の闘いを誇る三里塚芝山連合空港反対同盟から、新年のアピールが寄せられた。反対同盟はこの1年、市東さん農地裁判控訴審を全力で闘い、成田空港会社(NAA)を窮地に追い詰め、国交省の「第3滑走路計画」に対し地元住民の怒りを組織し、正義と勝利の確信を深めた。労農連帯の力で農地強奪攻撃を粉砕しよう。(編集局)

3・4控訴審闘争へ
 事務局長 北原鉱治さん

 50年に近い闘いの歳月を振り返り、感慨を覚えている。三里塚は、この長い歴史の中でもかつてない正念場を迎えている。
 2013年2月、千葉地裁の執行官は市東孝雄さんの畑に無断で立ち入り、農地ばかりか、作業場、離れ、ビニールハウスにまで「占有名義の変更を禁止する」という公示書を設置して逃げるように去っていった。これらは今も残っている。祖父の代から耕してきた農地に対するこの行為は、農民の生きる権利を押しつぶす暴挙だ。これらを見るたび、私は憤りに堪えない。
 今、法を守るべき裁判所がNAAの手先となって無法にも土地を奪おうとしていることに象徴されるように、司法も行政も乱れに乱れている。地元になんの相談もなく第3滑走路を造る計画など、住民無視の極みである。このような空港がいったん有事のさいには、軍事空港・兵站(へいたん)基地として使われることは、安倍政権の動向を見ても明らかだ。若者の未来のため、戦争体験者として私は絶対に許すことはできない。
 京都大学では、キャンパスに潜入した公安刑事を学生が自らの手で摘発し、追放するという痛快事があったとのことである。デモに対する不当な弾圧に屈することなく、学生の自由と権利を守るためによく闘ったと私は感激している。それは、「農地死守・空港絶対反対」の原則を貫いてきた三里塚と相通じるものである。
 3月4日、市東さんの農地裁判控訴審は、第4回目の弁論を東京高裁で迎える。そして反対同盟は、3・29全国集会を開催する。皆さんがこぞって駆けつけ、三里塚の大地に立ってともに闘い、ここから日本の政治を変えることを切に訴える。

「農地死守」の闘志は盛ん

勝利したこの1年
 天神峰 市東孝雄さん

 私の農地裁判へのご支援に心から感謝します。
 萩原進さんが突然亡くなって、2014年は正直、大きな不安を抱えながらの無我夢中でのスタートでしたが、この1年を勝利的に闘ってこれました。全国のみなさんの力、そして反対同盟49年の闘いのエネルギーがあったからです。
 農地法を悪用して農地取り上げを図るというとんでもないやり口に、あらためて怒りがこみ上げます。自分たちに正義があることを確信しつつ、法律は弱い者の味方ではないという現実を何度も見せつけられてきました。しかし、この1年は弁護団の大奮闘によって、また私自身も毎日の農業に精を出しながら陳述にも全力を注ぎ、法廷でNAAを圧倒しました。まさに進さんの遺訓の通り、霞が関へ攻め上り、東京高裁を取り囲み早期結審を許さず、耕作権裁判では「文書提出」をめぐる攻防で完全に勝利しました。これに気を緩めず、2015年を全力で闘います。
 成田空港は私の目の前で破綻をさらけ出しています。彼らは「第3滑走路を造れ」「年間34万回離着陸の実現を」と声高に叫んでいますが、羽田との競争で敗勢に追い込まれ、旅行客は減り、収入は減り、地盤沈下は止まりません。34万回なんて夢のまた夢です。
 安倍自民党が選挙でまたしても多数を占めて、社会的格差がますます激しくなると予想されます。成田の軍事使用も考えているでしょう。私への追い出し圧力も強まるでしょう。だがこちらはますます闘志を盛んに燃やし、気を引き締めて闘うのみです。騒音に苦しむ周辺住民との関係を強化し、第3滑走路計画を粉砕します。福島・沖縄の闘いと連帯し、労農連帯を強め、2015年、私は必ず勝ちます。

おやじの遺志継ぐ
 東峰 萩原富夫さん

 萩原進事務局次長を突然失って、反対同盟は2014年、手探りの出発でした。私はあらためて家族とも十分話し合い、おやじの遺志を引き継いで闘っていくことを確認しました。そして、事務局を中心に、それぞれが毎回自覚と責任を持って意見を出し合い、方針を決めていくという形でこの1年間を闘ってきました。特に、昨年3月の東京での全国集会と農地裁判控訴審第1回弁論を闘いぬき、総括をきちんと行って進めたことが重要でした。
 そして何よりも、あらゆる攻撃に対して揺るぐことのない市東さん本人の「ここで農業を続けていく」という固い決意があった。これが土台となり闘ってこれたと実感しています。
 反対同盟は20回を重ねる一斉行動を通じて、空港周辺地域へ「反対同盟ニュース」を浸透させてきました。私たちの情報と主張は、本当に待たれています。この闘いを一層進めるために、今後各地域での中小のイベントや会合にも取り組んでいきたいと思います。
 さらに今年は住民の怒りと一つになって、NAAや成田市当局に対する直接抗議の闘いをやりたいと考えています。
 成田はこれだけ没落が著しいにもかかわらず、なぜ「第3滑走路計画」なのか。それは明らかに、軍事利用を考えているからです。軍事空港粉砕・戦争反対の闘いがますます重要となっています。それと一体で、市東さんの農地を守る闘いを進めなければなりません。この1年の激闘の地平を踏まえ、2015年は飛躍の年です。
 香港の学生の闘いは、日本の学生にインパクト与えていると思います。日本学生運動の大衆的戦闘的発展を、特に期待しています。

安倍を倒す絶好機
 白枡 伊藤信晴さん

 萩原進事務局次長を失ったことは本当に大きな痛手だったが、市東さんの農地死守の決意は断固として揺るがなかった。それがこの1年間を支え、反対同盟は前進できた。周辺住民への働きかけにしても、金や脅しに一切屈服せずに農地を守っている市東さんという存在があればこそやりぬけた。こうやって闘えば勝てるという生きた見本を示すことができた。
 確かに国策裁判との闘いは容易ではない。NAAは、自分たちが訴えを起こしておきながら、違法・脱法、証拠隠しを重ね、あとは裁判所が反動判決を出すのを当てにして法廷ではだんまりを決め込むという卑劣さだ。だがそのあまりのずさんさとデタラメさで自ら墓穴を掘り、耕作権裁判の文書提出問題で完敗した。反対同盟と弁護団が結束し知恵を絞って闘った力が示せたと思う。
 そもそも富里、三里塚のような内陸部に巨大空港の計画を立て、「じゃまな農家はどかす」という住民無視の発想が許せない。私は1987年8月に2期工事粉砕のトラクターデモに決起し逮捕された。この闘いは、国道51号線を大渋滞にたたきこみ、山砂搬入のダンプをストップさせた。あの時も反対同盟の「空港絶対反対」「農地死守・実力闘争」の気概を示したが、それ以上に気持ちを奮い立たせ絶対に市東さんの農地を守る。そして今が戦争に向かう安倍政権を倒す絶好機だ。
 三里塚、動労千葉、動労水戸などが闘いを牽引(けんいん)するにふさわしい、労働者・農民が革命に立ち上がる時代が訪れた。ともに闘おう。

裁判所包囲の力で
 婦人行動隊 宮本麻子さん

 一斉行動で騒音地域や第3滑走路予定地域を回るたびに、住民の方々の空港に対する怒りに接し、反対同盟の闘いの正しさを確信します。そして「継続は力なり」を実感しています。
 安倍政権は特定秘密保護法を通し、集団的自衛権の行使容認に踏み切り、原発再稼働を進め、労働者の非正規職化を促進し、消費税を上げて、戦争政策と福祉切り捨てを進め、人びとの生活を破壊しています。本当に許せません。
 しかし、世界中の人びとが、資本主義・新自由主義に対して怒りをもって立ち上がっています。三里塚も、世界に誇ることのできるそうした闘いの一環です。毎年秋に韓国民主労総の労働者たちが三里塚現地に駆けつけてくれますが、国際連帯の発展の力強い前進を感じます。
 そして国の政策に反旗をひるがえし「戦争反対」を貫いてきた三里塚が、原発や基地で苦しめられている福島、沖縄の人びとと手を握り、ともに国の責任を追及し闘いを呼びかける時です。
 市東さんの裁判では、毎回顧問弁護団の追及に対し、NAA、千葉県、成田市当局などの代理人はまともに答えられず、ぐうの音も出ないという感じです。裁判所は体制を守るために、違法な農地取り上げの暴挙を容認しようとしていますが、この状況を突き破るためには、本当に人びとの海で十重二十重に裁判所を包囲する力が必要です。
 萩原進さんの志を胸に刻み、市東さんの農地を守る闘いに今年も必ず勝利したいと思います。

(写真 訪問先で「反対同盟ニュース」を手渡し笑顔で話しかける宮本麻子さん【12月13日】)

地元の怒りと結び
 婦人行動隊 木内敦子さん

 成田商工会議所が躍起になって「第3滑走路計画推進」の署名を回していますが、一向にはかどっていません。空港が地元にもたらしている騒音などの被害を考えれば当然です。反対同盟はそういう怒りと結びついて、一斉行動と農地取り上げに反対する3万人署名に取り組んできました。
 東京での反原発集会、反TPP集会などでも署名を集め、行く先々で多くの人たちが三里塚に心を寄せていることを実感できました。
 先日の「市東さんの農地取り上げに反対する会」の騒音をテーマにしたシンポジウムでも、三里塚がさらに多くの人とつながり発展する可能性を見いだしました。
 「農地死守」の原則を守りながら、斬新な発想で創意工夫して、映像やさまざまなメディアを駆使することも必要です。
 私は福島原発事故被災者支援の保養プロジェクトにも参加しています。三里塚と福島の連帯がますます重要になっていることを感じます。
 3・11以後、農業の大切さは痛切な形で私たちに迫っています。だから国策に対して、一貫してノーを突きつけてきた三里塚が本領を発揮する時です。
 反対同盟とともに進んできた支援党派のみなさんの責任感と奮闘は、ますます重大です。『前進』が革命の信念を貫きながら、人びとの多様な意見にも十分に耳を傾け尊重し、多くの人に通じる言葉で闘いの意義を広めてくれることを、私は切望しています。
 進さんも、表現は厳しかったですが、同じことを望んでいたと私は思います。

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2015年新年旗開き
 1月11日(日)
◎敷地内デモ
 午前10時30分
 市東さん宅南側の開拓組合道路
◎団結旗開き
 午後1時 レストラン「ハナマサ」
 (成田市並木町大久保台219―304)
 主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

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