1~3月反原発闘争の高揚で安倍打倒を 経産省原子力小委「中間整理」を暴く 原発新規建設・核武装を叫ぶ

週刊『前進』06頁(2665号05面01)(2015/01/19)


1~3月反原発闘争の高揚で安倍打倒を
 経産省原子力小委「中間整理」を暴く
 原発新規建設・核武装を叫ぶ


 昨年12月24日、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会原子力小委員会」は、論議の「中間整理」なる文書を発表した。世界大恐慌が「恐慌の中の恐慌」に突入し、世界戦争の時代が始まった今、安倍・経産省はこの文書で原発の再稼働と新規建設、輸出、核武装化の推進をあからさまに表明している。「中間整理」を徹底的に断罪し粉砕しよう。

元防衛大臣、極右・排外主義者の森本敏が委員

 原子力小委員会は昨年6月に発足し、日帝・安倍の意を受けて論議を重ねてきた。それを昨年末に「中間整理」としてまとめたのだが、この名称自体がインチキである。文書は、自らを「政府の具体的な政策立案に活(い)かすため」のものと位置づけている。「中間整理」と称しつつ、今後の日帝の原発政策の方向を提言しているのだ。
 またこの文書は、論議の「整理」とは別に個人の意見を装いつつ「主な意見」なるものを書き連ねている。だが、この「意見」こそ小委員会の反動的な主張の核心をなしているのだ。
 小委員会の委員には京都大学原子炉実験所教授・山名元、東京大学大学院教授・岡本孝司を始め3・11福島原発事故を引き起こした責任者・原子力ムラの連中が名前を連ねている。特筆すべきは、エネルギー問題など〝専門外〟の元防衛大臣で拓殖大学特任教授の森本敏が委員を務めていることだ。森本は極右・排外主義の塊(かたまり)のような人物であり、強固な核武装論者だ。このような人物が委員というだけでこの文書の正体は明らかだ。
 そのうえで文書の特徴を明らかにしたい。
 第一に許せないことは、「原子力発電が果たす役割は......非常に大きい」「ますます原子力発電の必要性も高まってくる」として、原発推進を明言していることだ。それだけではない。昨年4月に安倍政権が新エネルギー計画で「原子力を重要なベースロード電源と位置づけ」「再稼働を進めていくこととしている」と絶賛。だから、「政府は、この検討を踏まえて、必要な措置を具体化し、講じていくべき」として、「具体化」「体制」などをどんどん進めろと叱咤(しった)しているのだ。
 この主張の背後にあるのは、労働者人民の怒りと闘いで全原発が止まってしまっていること、再稼働できないことへの焦りといらだちだ。特にこのままでは原子力技術が衰退すると危機感をあらわにしている。文書は「米国では、スリーマイル島原発事故以来長期にわたって新増設を行わなかった結果、......技術・人材など原子力産業の根幹が失われ」「原子力の技術力の空洞化が進めば、まさに国の力を失ってしまう」と、帝国主義・大国間の争闘戦に敗れ、日帝の脱落が取り返しがつかないほど進んでしまうことに震え上がっているのだ。
 そこで、原発再稼働とともに原発の建て替え、すなわち新たな原発建設の必要性を強調している。「技術力の確保等々を考えると、......原子力の発電とリプレース(建て替え)を一体の事業として大前提に考えて国策として議論を進めるべき」とし、そのために「政府は......新増設・リプレースに関する方針を明らかにする必要がある」と指図している。

「安全保障の観点」から核燃サイクル推進主張

 もうひとつ重大な点は、世界戦争情勢への突入の中で日帝の核武装への踏み込みの死活性を強調していることだ。
 3・11福島第一原発事故の大惨事を引き起こしながら、なぜ安倍政権が原発再稼働・推進に執着するのか、その理由がここにある。成長戦略のもとでの原発輸出と核武装策動こそ、日帝の原発推進の根幹にある問題だ。
 文書では「安定した原子力エネルギーを維持することは、日米同盟を含む安全保障の観点からも重要」として、戦後日帝の存立の土台をなす日米安保と核武装の偽装形態としての原発の絶対不可欠性を、大恐慌と戦争の時代の今だからこそ「重要」と確認する。加えて、「原子力はいわば、宇宙、海洋、国家の防衛、治安等と同様に国家の安全保障上の問題」「隣国も含め他国の技術に依存するということはあってはならない」と主張し、核武装が必要だ、そのための自前の技術を持てと叫ぶ。
 続けて、その目的の実現のために「六ケ所再処理工場は......政策を進めなければならない」「もんじゅを含めた核燃料サイクルの研究開発は......進めていくべき」として、核兵器用の高純度のプルトニウム生産を急ぐべきと主張している。それにとどまらず「エネルギー基本計画に高速増殖炉サイクルの将来について明確な記述がない」と、その中途半端さにいらだちを募らせる。ついには「安全保障上の観点がある、......早く国がその旨を表明して核燃料サイクルがきちんと行えるようにすべき」と、〝核武装化の意思を包み隠さず明らかにし、その道を突き進め〟と、安倍と一体となって政府や官僚を急き立てているのだ。

1・25鹿児島集会、3・11福島行動に大結集を!

 中間整理の特徴は第三に、その声高な叫びとは裏腹に、労働者人民の原発と再稼働への広範な怒りと闘いの爆発に震え上がっていることだ。「国民の多くがこれまでの原子力政策に不信を抱き」「原子力政策を担う行政や原発の運営を行う事業者に対する信頼が失墜」と、敗北感にまみれ打ちひしがれた姿をさらしている。
 衆院選以降、安倍はマスコミを動員し、原発推進の大々的な宣伝を展開しているが、追い詰められているのは安倍の方だ。福島をはじめとする労働者人民の怒りと闘いは今、安倍の原発政策の先端をなす再稼働攻撃を窮地に追い込んでいる。九州電力川内(せんだい)原発1、2号機の再稼働策動は鹿児島と全国の怒りに包まれ、破綻寸前だ。そもそも川内原発の再稼働予定は、昨年の「夏前」だったものが、延期に延期を重ね、年を越し「今春以降」と変更された。
 川内原発の安全対策の審査を担当し、再稼働に同意した鹿児島県議2人や親族が経営する会社が川内原発や九州電力の関連工事で3億円近く受注していたことが明らかになった。こんな連中が〝命よりカネ〟と原発再稼働を強行することなど、地元の人びとをはじめ全国の労働者人民は絶対に許さない。入院患者や要介護者など住民を置き去りにする「避難計画」への怒りも日を追うごとに増している。川内原発の再稼働を阻止することは可能だ!
 ストップ川内原発再稼働!1・25全国集会への大結集を実現し、3・11反原発福島行動15に全国から集まろう! 1〜3月反原発闘争の高揚をかちとり、川内、高浜原発の再稼働を絶対に阻止し、安倍を打倒しよう!
(北沢隆広)

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重要なベースロード電源 電力を安定的に供給する電源を「ベースロード電源」と言う。「原子力発電、石炭火力発電、水力発電などが該当」とされている。昨年4月の新エネルギー計画で安倍政権は、原発を「重要なベースロード電源」として石炭火力、水力を上回る位置を与え、原発推進を宣言した。
核燃料サイクル 核燃料サイクルの真の目的は核武装。原発の使用済み核燃料を六ケ所再処理工場で処理し、プルトニウムを抽出する。これと天然ウランの混合燃料(MOX)を高速増殖炉もんじゅで燃やすと、炉心を取り囲むブランケットに装荷された劣化ウランが超高純度の原爆用のプルトニウムになる。

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