万歳全中会長倒した農民の怒り 農協解体・農業破壊と闘い労農連帯で安倍を倒そう

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週刊『前進』06頁(2678号04面02)(2015/04/20)


万歳全中会長倒した農民の怒り
 農協解体・農業破壊と闘い労農連帯で安倍を倒そう


 4月9日、全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章(ばんざいあきら)会長が突然の辞意を表明した。「農協改革関連法案の閣議決定を機に、新しい執行体制をつくる」が会見での弁である。しかし、本質的にも現実的にも万歳は全国の農民の怒りによって打倒されたのだ。

組合員を裏切り安倍に全面屈服

 万歳会長の辞意表明は異例ずくめである。7日には万歳が官邸におもむき、安倍晋三首相、菅義偉官房長官と会い、JA全中として農協改革を約束した。しかも、任期3年でありながら残り2年を残しての辞任だ。
 2月上旬、JA全中は突如、政府の農協改革案を受け入れた。それまで全面対決姿勢を見せ、自主改革案まで作り、農協組合員に「徹底抗戦」を呼びかけていたのを一夜にして覆したのである。安倍の攻撃に震え上がったJA全中の自己保身に基づく敗走であった。
 安倍の農業破壊攻撃に怒りを強める農民、農協組合員にとっては大裏切り以外の何物でもない。振り上げた拳の行き先を失った農民の怒りは、JA全中と全国の農協組織に向かった。「なぜ闘わないのか」「納得いかない」「途中で闘いを投げ出した」――この怒りに包囲され、万歳は辞任に追い込まれた。
 万歳は「農協改革」案の受け入れ時、最後まで抵抗したと言われている。そのことをもってマスコミでは「官邸の圧力と組合員の声との板ばさみになり、重圧で辞任」と報じている。しかし、ことの本質は違う。
 日帝・安倍の「農協改革」はブルジョアジーの命運をかけた攻撃であり、農民の反撃も「生きさせろ」の根底的怒りであり、非和解的激突となった。その時に、従来のように体制内的に落としどころをつけようとするあり方が破産したのだ。これは農民戦線だけでなく、労働戦線を始め、あらゆる戦線で起こっていることだ。〈戦争か、革命か〉の非和解的激突であり、中途半端な妥協の余地はない。
 全国の農民は安倍政権に怒りを強めている。安倍新農政への怒りであり、米価暴落や環太平洋経済連携協定(TPP)を推進する安倍政権への怒り、そしてその安倍が踏み切った戦争政策への怒りである。安倍のもとでは農民は生きられないことを実感し、安倍打倒・日帝打倒に動き始めた。
 それを象徴的に示したのが1月の佐賀県知事選での安倍の敗北=「佐賀の乱」である。JAが組織をあげて推薦した候補が立候補表明から1カ月もたたないのに、自民党・与党が推す候補を大差で敗北に追い込んだ。
 今回の統一地方選挙前半戦でも過去最低の投票率であり、自民党も民主党も議席を減らしている。労働者階級人民は体制内勢力にまったく期待していない。これこそ革命情勢の成熟である。

全国農民会議の発展かちとろう

 JA全中の「農協改革」への全面協力、万歳会長の突然の辞意表明によって、JA全中の一層の屈服、翼賛勢力化が進む。新会長が誰に決まっても、翼賛勢力がJAのヘゲモニーを握っていくことになるだろう。それは、JAが「闘う」姿勢さえ失い、戦時中の農業会のような戦争翼賛組織に変節していくことである。
 だが、全中の権限が弱まり、農協が解体されることは、自民党の農村支配、農民支配の一翼を担ってきた「安定帯」の崩壊でもある。マグマのような農民の怒りが直接、政権批判へ向かうことになる。安倍政権の攻撃は農民の怒りを増幅させ、支配の危機を促進する。労働者階級人民にとっては圧倒的なチャンスだ。
 大恐慌とその戦争への転化が、全世界でゼネスト情勢を成熟させている。国鉄決戦―動労総連合建設を基軸的に推進するなかで、階級的労農同盟の一方の拠点である全国農民会議をつくっていこう。資本主義そのものを打倒することで、労働者と農民の未来を切り開こう。プロレタリア革命と新たな社会建設の事業へ、階級的労働運動と全国農民会議の労農連帯の闘いを発展させよう。
(革共同農民闘争組織委員会・Y)
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