大飯・高浜反原発ツアー報告 強権的な建設推進を実感 闘う労組建設へ活発な討論

週刊『前進』06頁(2681号04面02)(2015/05/18)


大飯・高浜反原発ツアー報告
 強権的な建設推進を実感
 闘う労組建設へ活発な討論



(写真 さん橋近くで地元労働者の説明を受けた【4月19日 福井県おおい町】)

(写真 対岸から見た高浜原発3、4号機【高浜町】)


 NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)関西が4月19日、福井県にある関西電力大飯原発と高浜原発の見学ツアーを行いました。報告を掲載します。(編集局)

地元労組との団結求めて

 4月19日、NAZEN関西の取り組みとして、大飯・高浜反原発ツアーを行った。関西の各地域の労働者40人が参加し、東京からNAZEN事務局メンバーも合流して、マイクロバスで地域を回った。
 今回の取り組みでは二つの目的を掲げた。一つ目は地域の労組の労働者との団結だ。事前の打ち合わせだけでなく、当日の行程や案内について労組として責任をもって計画し、準備してもらった。それがあって、特に現地を回るバスの中での説明は地元の住民、労組として地域の歴史を含めた本当にすごい内容で、バス内は驚きと納得の声の連続だった。
 大飯原発のあるおおい町(旧大飯町)の「大島地区」は半島の突端部で、原発誘致以前は町の中心部と結ぶ橋がなかった。そのため、医者に行くにも通学でも渡し舟を使わなければならず、天候によってはまったく身動きできないという、まさしく島のようであった。現在の青戸の大橋を造るのと一体で原発は建設され、「アメとムチ」の攻撃だった。
 われわれは、船で近くまで行き、森と山の塀で隠された大飯原発と対峙した。船が岬をぐるっと回り込むと原発がグロテスクな姿を現した。この船は原発の宣伝活動のために運営されているのだが、実際は原発反対の人ばかりが利用し見学しているとのことだ。
 一方の高浜原発は、沖縄の「銃剣とブルドーザー」での基地建設と同じように、強権的に建設が強行された。それは現場の様子を見れば明らかだ。原発のすぐそばに集落があり、また隣接する湾内に排水が流されている。また、生活道路は一方が行き止まりで、もし事故が起きたら、住民はその道路を原発に向かって進み、そこを通り抜けてしか避難できない。だから、実際は船で避難するしかないということだった。つまり事故が起きないことが前提であり、もし起きたら住民を見捨てるという国の考え方そのものがここに現れていた。参加者はそのことを知った時、なぜこの状態が今も放置されているのかという疑問と、許せないという怒りでいっぱいになった。
 聞けばおおい町にも高浜町にも、自治体の労働組合がないということだった。いきさつは定かではないが、労働運動・労働組合の圧殺と一体の原発建設であったと言える。
 説明の中で「原発に近づくほど、反対の声は小さくなる」と言われた。やはり、そういう中で労働組合の存在と闘いが決定的である。NAZEN建設は地域の労組建設、拠点建設と一体で進めなければならないということだ。原発反対は国の政策そのものとの激突となる。NAZENの反原発運動は闘う労働組合をよみがえらせることそのものである。

被曝労働拒否して闘おう

 二つ目の目的はツアーの後の交流会だった。地元の労働組合では、再稼働に向けて、ヨウ素剤の配布、避難計画の作成が進められ、実際に組合員がその仕事を担っている。そんな中で、動労水戸のような被曝労働拒否の闘いは労働者に受け入れられるのか。事実、労組の学習会の組合員アンケートに「仕方ない」「原発との共存」という意見が出されている。組合員やその家族が原発とともに生活している実態がある。沖縄の基地問題と同じ課題だ。そんな組合をどうやって変えるのかが主な討論となった。
 参加者全員で、ツアーの怒りの感想から始まり、労働組合の役割などを討論した。その軸となったのは、やはり時代認識だ。韓国のゼネストやフクシマの実態と一体で考えることで、今の時代となぜ再稼働なのかが明らかになる。この社会のあり方そのものを根底的に変えることが被曝労働拒否の闘いだと、討論の中で全員がつかんだ。
 そうだ。労働者を使い捨てにし、そこで死のうが病気になろうが関係ないというような国、安倍政権は打倒するしかない。この社会を根底から変えよう。われわれはそれぞれ、自分の労組の闘いがこの国のあり方を変える闘いであるし、NAZENを地域につくり出していくことと一体であることをつかんだ。
 八尾市では八尾北医療センターがふくしま共同診療所と提携して甲状腺エコー検査を行うこととなり、その中で「NAZEN八尾」を結成する。地域NAZENは拠点労組を軸に建設していくことが大切である。
 終了後、地元労組の労働者から「きょうは討論がよかった」という感想が出された。彼は、3・11福島行動に今年初めて参加し、独自に福島の地域もまわった。その中で「事故が起こったらもう二度とここで生活することはできない」と思い知ったという。この思いは、おおい、高浜で生活している労働者と同じのはず。反対の声は表面には出せていないけれど、3・11福島以降、意識は確実に転換しているはずだ。福島県民への国の対応に、いや応なく自分を重ねざるを得ない。
 そんな中で、被曝労働を拒否して闘う労働組合をつくり出し旗を振ることの決定的意味は、動労水戸の闘いで明らかだ。そんな労働組合をみんなの団結でつくり出したい。また「次々と各地域労組主催のツアー、交流を今後も計画していこう」という話になった。
 安倍政権は、福井地裁の高浜原発再稼働差し止め仮処分決定を踏みにじり、再稼働の意思をむき出しにしている。そうしなければ戦争のできる国にはなれないし、資本としても生きていけないからだ。安倍の凶暴性は追い詰められた姿だ。それは労働者・住民にとって国の本質がますます明らかとなることであり、怒りが噴き出すことは間違いない。労働者は、われわれの闘いに必ず合流してくる。韓国のゼネスト情勢そのものだ。
 NAZEN関西は9月に高浜集会を行うことを決定した。国鉄闘争を先頭とした5〜8月決戦と一体で、動労水戸支援共闘とふくしま共同診療所建設を武器に、大きな闘いの軸として各地域のNAZEN建設を進めていこう。
(関西自治体労働者・片平さおり)

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