現場の闘いが橋下を打倒 全員解雇狙う「総合区」粉砕を

週刊『前進』06頁(2684号03面01)(2015/06/08)


現場の闘いが橋下を打倒
 全員解雇狙う「総合区」粉砕を


 沖縄闘争は5・17県民大会3万5千人の大結集を頂点に全島ゼネスト情勢を開いた。これと一体で、民営化絶対反対の闘いが大阪都構想を粉砕し、橋下を打倒する大勝利がかちとられた。

「大阪都構想」にトドメ

 5月17日、ついに橋下徹大阪市長を打倒し、大阪都構想を廃案に追い込んだ。現場労働者の民営化絶対反対の闘いが、公務員全員解雇攻撃を粉砕したのだ。
 都構想について、慶応大学教授で大阪府・大阪市特別顧問の上山信一(うえやま・しんいち)は以下のように言っている。
 「都構想が目指す大阪市役所の分割と民営化、そして大阪都への再編は、大阪のローカルな事件にとどまらない。『国鉄』、『郵政』に次いで全国に20もある『政令指定都市』という巨大で非効率な公共事業体が〝分割民営化〟される大改革の始まりを意味する」(経済誌『日経ビジネス』5月11日号)
 都構想とは、まさに国鉄分割・民営化型の全員解雇攻撃である。労働組合の解体をもって改憲に向かう、民営化・外注化・10割非正規職化の新自由主義攻撃そのものだ。
 これと真っ向から激突して、橋下を追いつめてきたのが国鉄決戦であり、階級的労働運動の発展である。とりわけ5月沖縄闘争の歴史的打ち抜きをもって、沖縄から本土・全国、全世界に巨大な階級形成の展望をうみだし、ゼネスト情勢を切り開いてきた。これと完全に一体の闘いとして労働者階級の怒りで全員解雇攻撃を粉砕し、橋下を打倒した。
 大阪府知事としての橋下の登場以来、足かけ8年、われわれは2009年3・6道州制粉砕・橋下打倒闘争を突破口に、「橋下を打倒する力は闘う労働組合にこそある」ことを訴え、一切を団結権をめぐる攻防として闘い抜いてきた。道州制が360万公務員全員解雇攻撃であることを鮮明にさせ、「保育事故」「君が代不起立」「入れ墨調査拒否」などを口実としたあらゆる処分攻撃に対して絶対反対を貫き闘ってきた。団結破壊をもくろんだいかなる職務命令も不当労働行為であるとして、団結権を貫いて闘ってきた。
 民営化攻撃とは、そのすべてが労働組合つぶしの不当労働行為であり、労働組合が絶対反対で闘えば敵の最大の弱点に転化できる。それは国鉄分割・民営化との闘いの中で、動労千葉が30年以上にわたる絶対反対の闘いによって突き出してきた歴史的地平だ。この地平を踏まえ、絶対反対を貫く「たった一人の決起」を「これこそが本物の労働組合だ」と言い切って反撃をたたきつけ、橋下とブルジョアジーを追いつめてきた。
 何よりも「よりよい民営化」を推し進める体制内労働組合執行部の裏切りと団結破壊を暴き、現場労働者の怒りと結びついて拠点労組建設を推し進めてきた。攻防の最先端には八尾北医療センター労組と全国水平同盟西郡支部の闘いが仁王立ちし続けてきた。
 こうした闘いの一切がついに橋下を打倒したのだ!

「総合区」も展望はない

 都構想が労働者階級の怒りでぶっとばされる中、自民党と公明党は12月の市長任期満了までに「総合区」なるものを橋下に進めさせようとしている。
 この総合区の本質は道州制による公務員全員解雇攻撃そのものであり、なんら都構想と変わらない。従前の事務事業を外注化・非正規職化し、総合区同士の合理化競争・切り捨て競争を資本の論理であおり立てるものだ。
 まさに都構想でやろうとしたことを、自民党、公明党、民主党、そして自治労本部が競い合って推進しようとしている。実際に、自治労本部は「改革が求められている」「都市内分権の取り組みを進める」(自治労書記長、5月18日)などとして総合区=民営化攻撃への全面協力を進んで申し入れている有様だ。
 自治労本部の裏切りと屈服はゼネスト情勢下で完全に一線を越えた。民営化攻撃との最激突点である大阪市の保育現場では、「分限免職攻撃に対してストライキで闘おう」と訴える現場労働者に対して、組合役職をクーデター的に奪い取るという許しがたい攻撃がかけられている。
 しかし重要なことは、都構想であれ総合区であれ、すでに破産しているということだ。「恐慌の中の恐慌」への突入の中で、1ミリの展望もありはしない。国・地方自治体あわせて1千兆円もの借金を抱えた「日本国」はすでに破綻しており、株・国債に公的資金を大量に投入することで無理矢理バブルをつくりだしてきたやり方はすでに崩壊を始めているではないか。
 労働者階級はこんな総合区なるものに一片の幻想もない。「生きさせろ!」の怒りをもって、絶対反対を貫く闘う組織、真の労働者党を求めて決起を始めている。

ストを闘う労組拠点を

 橋下打倒の地平は安倍政権による改憲攻撃に巨大な打撃を与えている。新自由主義と帝国主義経済の大破綻のもとで、安倍と支配階級はグラグラとなり、労働者階級の台頭にすさまじい恐怖を感じている。今回の都構想をめぐる住民投票においても、街頭をめぐって内乱的激突が始まっている。安倍が策す改憲国民投票は、文字通り戦争か革命かをめぐる公然たる激突となり、労働者階級全体を巨大な政治的るつぼの中にたたき込む。
 最大の核心は、安倍政権が労働組合を根絶一掃できないままこの攻撃に突入せざるを得ないということだ。この内乱的激突のただ中で、ストライキを闘う拠点労組をどれだけつくり出せるか、プロレタリア独裁を牽引(けんいん)できる党をどれだけ強固に建設できるか、ここで時代の大勢は決まる。
 「動労総連合を全国に」の闘いは、日帝中枢であるJRにおけるストライキが文字通り一点の火花となって労働者階級全体のゼネスト決起を切り開く闘いだ。動労総連合建設と合同・一般全国協の闘いを両輪にして、今こそゼネストを組織しよう。国鉄・公務員決戦の爆発をかちとろう。
〔関西自治体労働者委員会〕
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