常磐線全線開通許すな 動労水戸支援共闘の拡大を

週刊『前進』06頁(2686号02面04)(2015/06/22)


常磐線全線開通許すな
 動労水戸支援共闘の拡大を


 国鉄闘争全国運動6・7全国集会は1650人の大結集でかちとられた。解雇撤回・JR復帰の判決を求める最高裁署名の10万筆達成は、階級的労働運動派が日本労働運動の主流派として登場する出発点となった。国鉄闘争全国運動の大前進と一体で、被曝労働拒否の闘いが全国に拡大している。「こんな闘いをやっている労働組合があったのか!」と感動と反響を呼び、動労水戸支援共闘には全国から450口の賛同が寄せられている。被曝労働拒否のストライキは、労働者自身が労働を取り戻し、共同性を取り戻す闘いだ。10万筆署名達成の力を動労水戸支援共闘1千人組織化へ! 動労水戸支援共闘を広げ、動労総連合を全国に建設しよう!

避難住民への帰還=被曝の強制許さない

 5月29日、自民党復興加速化本部は第5次提言を発表し、「遅くとも事故から6年後(17年3月)までに避難指示を解除し、住民の帰還を可能」にすると宣言した。これと完全に一体となり、福島県は17年3月をもって自主避難者への住宅提供を打ち切る方針を発表した。「無償提供を続ける限り、帰還が進まない」(福島県自治体幹部発言)とは何たる言いぐさか! 住民を兵糧攻めにして、帰還させるなどということを絶対に許してはならない。
 その最大の激突点が常磐線開通をめぐる大攻防だ。動労水戸を先頭に、被曝労働拒否をストライキで闘う労働組合を何としても登場させよう。

被曝対策など何もせず作業をさせるJR

 国交省とJRは今年3月、「常磐線再開についての見通し」を発表し、16年3月までに原ノ町―小高、17年には小高―浪江と相馬―浜吉田(宮城県)を、18年までに竜田―富岡を、富岡―浪江は「除染や安全対策が完了」したのちに開通させると宣言した。
 JR常磐線は、最も接近するところで福島第一原発から2・5㌔しか離れていない。そんなところに列車を走らせるとは何ごとか! 今も放射性物質が垂れ流されている原発直近を走らせるということは、乗務員や乗客に被曝させるということだ。「安全対策」などと言うが、もし再び重大事故が発生したらどうなるというのか。
 JRは来年3月の小高駅開通に向けて、急ピッチで復旧工事を行っている。しかし、その作業実態はめちゃくちゃだ。5月時点で、小高駅ではバラスト(線路の砂利)の入れ替え作業を行っているが、そこから200㍍ほどしか離れていない線路上では除染作業が並行して行われている。除染労働者はマスクを着用しているが、JRの下請け労働者はマスクも着用していない。それは労働者個人の「被曝についての認識」の問題ではなく、「政府が安全だと言っているから安全だ」と言って被曝対策をおろそかにしているJR資本の問題である。
 そのような中で、国労東日本エリア本部は被曝労働についての危険手当の支給を会社に認めさせたことを絶賛している。被曝そのものを問題にするわけでもなく、労働者は被曝の危険にさらされてもカネさえもらえればいいというブルジョアイデオロギーそのものだ。まさに国労こそ、JR資本と一体となった帰還強制の先兵である。

原発内に労働組合をつくり全原発廃炉へ

 福島第一原発事故の収束作業は始まったばかりだ。東京電力は6月12日、「廃炉に向けた中長期ロードマップ」(廃炉工程表)を発表した。そこでは1〜3号機の燃料貯蔵プールからの燃料取り出しを3年遅らせるとしている。1、3、4号機はいずれも水素爆発を起こして、原子炉建屋が吹き飛んでいる。メルトスルーした原子炉の中はどういう状況なのかも分かっておらず、どんな放射性核種が新たに生みだされ、どれだけの量が放出されているのかも分かっていない。
 原発労働者の命懸けの労働によって、福島第一原発は何とか「小康状態」を維持しているにすぎない。7千人の労働者が日々の収束作業に当たっているが、原発の構造を熟知したベテランの技術者はわずか200人ほどしかいない。この熟練労働者の被曝線量が、すでに限度に達している。資本は技術者を養成しようともせず、安全教育や被曝対策もまったくずさんなまま、労働者にただただ被曝を強制し、使い捨てにすることしか考えていない。
 労働者が労働組合に団結し、労働者階級の利益を資本に強制する以外に、原発労働者の命を守ることもできないばかりか、原発を収束させることも廃炉にすることもできない。労働組合が管理することこそが原発を廃炉にする道である。
 このことはJRの外注化とまったく同じだ。国鉄分割・民営化を決定的契機として、資本は安全をとことん切り捨ててきた。しかし、鉄道の安全をぎりぎりのところで守ってきたのは、鉄道労働者の誇りや職場の共同性だった。そのぎりぎりの一線を破壊したのが外注化だ。外注化によって職場をバラバラに分断し、ベテラン労働者を出向させ、労働過程を分断し、本来3年も5年もかかって習得するような技術をわずか2〜3カ月の研修に切り替えた。
 新自由主義は労働組合を破壊することを通して、あらゆる人間的共同性を解体してきた。その結果が、社会そのものの崩壊だ。これこそ3・11大震災が衝撃的に突き出した真実である。それは同時に、階級的労働運動が軸になった時にあらゆる階層の人民が団結し、そのもとで人間的共同性を取り戻し、労働者階級が主人公となる社会を建設していく時代が到来したことを告げ知らせている。

ストライキで闘う労組こそが安倍倒せる

 福島は現在でも高線量地域だ。にもかかわらず安倍や福島県は、高線量地域に住民を帰還させ、被曝させようとしている。
 自治体労働者・教育労働者の労働とは、住民が健康に暮らせるようにすること、子どもたちを健やかに育てることだ。しかし実際には、「帰還・復興」の名で住民に被曝を強制し、生きる場を奪い、子どもたちを放射線が飛び交う戦場にさらす役割を担わされている。人員削減・多忙化に加え、「住民の暮らしをよくしたい」「子どもたちを健康に育てたい」と真剣に住民や子どもたちに向き合う労働者ほど、現実の労働との矛盾の中で精神疾患(しっかん)になっている。
 安倍の「帰還・復興」は、公務員労働者と住民を分断すると同時に、公務員労働者の階級性を解体し、公務員労働者という存在そのものをたたきつぶす攻撃だ。これに対し、絶対反対のストライキで闘う労働組合の登場が求められている。
 動労水戸支援共闘への加入を呼びかけ、動労水戸とともに被曝労働拒否で闘おう! 1千会員を組織し、動労総連合を全国に建設しよう!
(被曝労働拒否をたたかう動労水戸支援共闘事務局長・斎藤貴広)

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