三里塚農地法裁判 〝農民の私に死刑判決〟 控訴棄却に怒り爆発 第3滑走路計画粉砕を誓う

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週刊『前進』06頁(2686号04面01)(2015/06/22)


三里塚農地法裁判
 〝農民の私に死刑判決〟
 控訴棄却に怒り爆発
 第3滑走路計画粉砕を誓う

(写真 農地法裁判判決を前に、日比谷公園から反対同盟を先頭に怒りのデモが出発【6月12日】)

(写真 控訴棄却に抗議し記者会見)


 6月12日、東京高裁第19民事部(小林昭彦裁判長)は、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの農地法裁判控訴審で、市東さん側の控訴を棄却する極悪の反動判決を出した。緊急闘争となったこの日、全国から170人の労農学人民が万難を排して結集し、霞が関一帯を揺るがす弾劾の声を上げ「農地死守」の誓いを新たにした。
 小林裁判長は、この日の判決期日指定を、6月5日に反対同盟顧問弁護団に通知してきた。当日までわずか1週間だ! このような卑劣な「抜き打ち」通知は闘いの火に一層油を注いだだけだ。 午前11時30分、日比谷公園霞門で、時おり降りかかる雨をものともせず、集会が始まった。

霞が関に大デモ

 最初に、北原鉱治事務局長が「法律を守らなければならない国や裁判所が、3代にわたって耕してきた市東さんの農地を奪おうとしている。これで日本の将来はあるか。正義はわれわれにある。この闘いは勝てる!」と一同を激励した。
 続いて動労千葉、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、全国農民会議が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは労働者派遣法改悪の国会審議入りを弾劾し、労農連帯の闘いの意義を強調した。全国農民会議共同代表の小川浩さんは、産直出荷日を狙った判決期日指定の暴挙を指摘し、「市東さんの命と尊厳を奪う反動判決を許さない」と訴えた。
 太郎良陽一さんのリードでシュプレヒコールを上げ、「耕す者に権利あり/小林裁判長は農地を奪うな」と大書された横断幕を掲げ、裁判所を包囲する霞が関デモに出発。反対同盟の宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんが、農地強奪に手を貸す東京高裁を弾劾し、沿道の労働者に向けて闘いの呼びかけを熱烈に送った。
 この日の法廷は、治安弾圧法廷として悪名高い429号だ。記者席を除けば一般傍聴者の席はわずか二十数席。これまでの100人の傍聴人が入れる102号法廷とまるで様変わりした。
 北原事務局長、萩原富夫さん、萩原静江さんら反対同盟が傍聴席最前列に陣取った。

退廷命令を絶叫

 市東さんと顧問弁護団が入廷し、左側に着席。だが右側のNAA(成田空港会社)と千葉県の代理人席は空っぽだ。
 午後2時30分、小林ら3人の裁判官が現れるやいなや、弁護団全員が立ち上がり、裁判官席に激しく詰め寄った。「すでに裁判官忌避を申し立ててある。訴訟手続きを進めることはできないはずだ」
 職員が割り込んできてもみ合いになった。傍聴席からは「反動判決を許さない!」と怒号がたたきつけられ、廷内は騒然となった。市東さんも裁判官席に迫った。
 小林はうろたえつつ「忌避申立権の乱用と認め却下する」として開廷を宣言し、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担」と声を震わせて主文を読み上げた。「なんだと!」「無効だ!」と怒りの声で法廷が満たされた。裁判長は「閉廷!」と絶叫。それを合図に、屈強な職員が傍聴者を追い出しにかかった。だが席を立つ者などいない。ついに裁判長は「全員に退廷命令。代理人もだ!」とわめき、弁護団と傍聴者の暴力的排除を命じた。
 裁判所正門前で結果を待っていた支援の人びとにも「控訴棄却」の第一報が伝わった。判決弾劾のシュプレヒコールが、裁判所建物に繰り返したたきつけられた。
 3時15分に裁判所2階の司法記者クラブ会見室で記者会見が開かれ、マスコミ各社が参加した。顧問弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が「農民殺しの国策判決を満腔(まんこう)の怒りをもって弾劾する」との弁護団の声明を読み上げ、ただちに上告して闘うことを明らかにした。市東さんは「不当で不誠実な裁判だ。最初から結論ありきで証人調べ、証拠調べが一切ないまま判決を下した。農民である私への死刑判決だと受け止めている」と述べた。
 3時50分、弁護士会館2階講堂クレオで、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に北原事務局長が一日の激闘をねぎらい、三里塚現地での実力攻防の重大性を訴えた。

〝最高裁で覆す〟

 続いて市東さんがひときわ大きな拍手で迎えられてあいさつに立ち、「あまりにもお粗末」と不当判決を糾弾した。そして「耕作権裁判に勝ち、きょうの判決を最高裁でひっくり返す!」と力強く宣言した。
 弁護団一人ひとりが次々と発言に立ち、判決全文の内容を批判した。一審判決をなぞり、そのずさんな箇所を補強し、NAAの違法性・不当性を不問に付し、市東さん側の主張をまじめに検討したあとがまったくない代物であることが浮き彫りになった。
 動労水戸の木村郁夫書記長、 群馬・市東さんの農地を守る会などの連帯発言を受けて、最後に反対同盟事務局の萩原富夫さんがまとめの発言を行った。
 「私たちの闘いを恐れ、追い詰められたのは小林裁判長だ!」と判決を断罪。さらに、元反対同盟員の石毛博道が第3滑走路の誘致運動でうごめいていることを暴き、「地元では総スカンだ。反対同盟は第3滑走路を粉砕する」と断言した。そして「農地取り上げは憲法違反だ。地元住民の声を無視して新基地建設を進める沖縄と同じだ。反戦・反基地闘争とがっちり連帯して三里塚を闘おう」と熱く激しく訴え、参加者全員が大きな拍手で応えた。
 新たな闘いがこの日から始まったことを実感しながら、全員が心を一つにして団結ガンバローを三唱した。

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