安保国会を斬る! 「朝鮮有事」が戦争法の狙い 安倍・中谷が露骨な戦争答弁 7・15国会闘争に総決起しよう

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週刊『前進』08頁(2689号05面01)(2015/07/13)


安保国会を斬る!
 「朝鮮有事」が戦争法の狙い
 安倍・中谷が露骨な戦争答弁
 7・15国会闘争に総決起しよう


 安倍政権は、労働者階級人民の怒りで破綻した姿をさらしている。「戦後70年談話」の閣議決定策動は完全に粉砕された。それでもなお、大恐慌と争闘戦に追い詰められる日本帝国主義の危機に規定されて、15日の衆院特別委採決―16日の本会議採決を強行しようとしている。7・15闘争の大爆発で安倍の野望を打ち破り、安倍打倒へ突き進もう。

追い詰められて安倍が本音

 安倍は本気で戦争をやろうとしている。1%の資本家階級の強盗的な利益のために、青年を戦場に送ろうとしている。労働組合の全面屈服を取り付けて、労働者を戦争に動員しようとしている。安倍が6月26日に、徴兵制に賛成しているUAゼンセン会長の逢見直人(次期連合事務局長)と2時間も会談したのはその現れだ。
 6月26日と7月3日の国会答弁で、安倍は集団的自衛権行使の念頭にあるのは「朝鮮半島有事」だと、本音をさらけ出した。実際に戦争法案は、4月に改定された日米新安保ガイドライン(日米共同の朝鮮侵略戦争作戦計画)を全面的に発動するためである。また、安倍は「朝鮮有事」を振りかざすことで、「自衛戦争容認」の立場に立つ日共スターリン主義や民主党などのインチキな「反対論」を屈服させようとしている。
 安倍は北朝鮮を名指しして、ことさらに「米軍の艦艇が攻撃され、また相手国が『東京を火の海にする』と言っている状況」や「ミサイルだけでなく、潜水艇で特殊部隊を日本に派遣し、首都で大規模なテロを行うことも考えうる」状況を強調して危機感をあおり、そういう状況になれば集団的自衛権を発動すると述べたのである。
 これまでの論議で強調していた「ホルムズ海峡での機雷除去」どころの話ではない。真の狙いは日帝自身が米軍とともに積極的・能動的に北朝鮮―朝鮮半島への侵略戦争に突入するのである。

「他国基地の攻撃も」と中谷

 これに先立つ5月24日、中谷防衛相はNHKの番組で「武力行使の新3要件に合致すれば、他国の基地を攻撃することも可能」と述べた。つまり朝鮮海域で米軍艦船が攻撃されれば、日本が攻撃されていなくても直ちに北朝鮮の基地をミサイルや自衛隊機で攻撃できるという意味だ。ピョンヤンなどの都市や軍事施設、石油貯蔵施設を「火の海にする」ことも法的には可能だと言ったのに等しい。この場合、「新3要件」など、何の歯止めにもならない。
 さらに7月8日の国会答弁で中谷は、「(北朝鮮の側に)攻撃意思がない場合でも、『存立危機事態』になりうる」と説明し安倍の6・26答弁をさらにエスカレートさせた。ここに集団的自衛権と安保法制のきわめて侵略的で凶暴な狙いが語られている。
 かつて日本帝国主義が中国侵略戦争を全面的に拡大するきっかけとなった1931年の柳条湖事件も、またベトナム戦争に米軍が全面介入する口実とした1964年のトンキン湾事件も、いずれも帝国主義の側が戦争を始めるために仕組んだものだった。日米帝国主義は、朝鮮半島の直近まで艦船を接近させ、これが「北朝鮮に攻撃された」という構図をつくりだして一挙に北朝鮮―朝鮮半島への侵略戦争をやろうとしている。
 そもそも米帝を始めとする帝国主義の側は、ソ連スターリン主義の崩壊以降、北朝鮮や中国の残存スターリン主義を、圧倒的な軍事力をもって転覆するという根本的な衝動を持っている。北朝鮮の側はこれに対して世界革命の路線で対決するのではなく、核開発やミサイル開発、帝国主義への「脅し」をもって反労働者的に対抗している。これが帝国主義の攻撃に格好の口実を与えている。
 また、韓国・パククネ政権は、民主労総を先頭とする労働者階級のゼネスト決起で打倒される危機に直面している。米帝と日帝は、北朝鮮スターリン主義の転覆と、韓国のプロレタリア革命の圧殺のために朝鮮侵略戦争を強行しようとしているのだ。一切の元凶は帝国主義の側にこそある。

「自衛戦争論」で屈服の野党

 安倍の戦争政治に対して、野党は完全に屈服している。「日本が攻められる危機なのだから集団的自衛権ではなく、個別的自衛権で対応できる」とか「敵がミサイル発射準備をしてから対応を判断するのでは遅すぎる」(民主党・岡田)などと、安倍を援護するような、とんでもない尻押し質問をしている。また、日本共産党委員長・志位は「急迫不正の主権侵害など、必要に迫られた場合には可能なあらゆる手段を用いる。自衛隊を国民の安全のために活用する」(6・23外国特派員協会での記者会見)と、完全に安倍に屈服した主張を展開している。
 帝国主義は「自衛」の看板を掲げて他国への侵略戦争を行うのだ。個別的自衛権だろうが集団的自衛権だろうが、それは資本家階級の国家が世界の労働者階級を攻撃して、「賃金奴隷制」を維持するための戦争なのだ。こんな国家、社会は一刻も早く打倒して、労働者階級が主人公となる社会をつくろう。
 安倍や中谷の発言を聞いて韓国の労働者階級は、「日本は第3次世界大戦を決意したようだ」「日本のミサイル攻撃が一番脅威になるのは、韓国と北朝鮮だ」と怒りの声を上げている。戦争法と戦争を阻む力は、階級的労働運動の発展と労働者階級の国際連帯にある。民主労総の7・15ゼネスト決起と連帯し、7・15国会闘争に全力で決起しよう。

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相次ぐ朝鮮半島への戦争宣言

■安倍首相 「(米軍の艦艇が攻撃され)相手国が『東京を火の海にする』と言っている状況(ならば集団的自衛権を発動)」
■中谷防衛相 「武力行使の新3要件に該当すれば、他国の基地を攻撃することも可能」
 「(相手に)攻撃意思がない場合でも『存立危機事態』になりうる」

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