最高裁の上告棄却を許さず外注化粉砕・非正規職撤廃へ 職場でJRと闘い解雇撤回を

週刊『前進』06頁(2690号02面02)(2015/07/20)


最高裁の上告棄却を許さず外注化粉砕・非正規職撤廃へ
 職場でJRと闘い解雇撤回を


 国鉄分割・民営化によるJR不採用に対し動労千葉の9人の組合員が鉄道運輸機構(旧国鉄清算事業団)を相手に闘ってきた裁判で、最高裁は6月30日、上告棄却の決定を出した。国鉄解雇撤回闘争の圧殺を狙う大反動だ。だが、これによりJR不採用を不当労働行為と認定した東京高裁判決も確定した。国鉄解雇撤回闘争はまったく新たな段階に入ったのだ。

 安倍政権は7月16日、安保戦争法案の衆院通過を強行した。この暴挙に対する労働者人民の激しい怒りと行動は日々拡大し収まらない。安倍は自らが打倒される情勢をつくり出したのだ。
 最高裁の上告棄却決定は、安倍の戦争・改憲への突進と完全に一体だ。労働者を戦争に動員するためには、労働組合が解雇撤回を掲げて闘っていることを根絶やしにしなければならない。上告棄却は「第2の4・9反革命」とも言える超重大な攻撃だ。それは、高裁が認めた慰謝料で解雇撤回闘争を終わらせろという「金銭和解」の強制でもある。

東京高裁判決がこれで確定

 だが、この棄却決定は最高裁がとことん追い詰められた末に出されたものだ。何よりも最高裁は、全国の力で達成された解雇撤回・JR復帰の10万筆署名の重圧にさらされ続けた。最高裁はまた、国鉄によるJR採用候補者名簿の作成に不当労働行為があったとした東京地裁・東京高裁の認定に縛り上げられた。
 最高裁はこの認定を反動的に覆そうとあがいたが、それもできず、「本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、民訴法に規定する上告理由に該当しない」の一言で上告を棄却した。だが、たったこれだけの文章しか書けず、それを書くのに1年9カ月もかかったという事実に、最高裁の追い詰められた姿が示されている。
 今回の最高裁決定で、13年9月25日の東京高裁判決は確定した。高裁判決は、「国鉄当局としては、当初は、動労千葉所属の組合員をも基本的には採用候補者名簿に記載する方向で同名簿の作成の準備を進めていたにもかかわらず、改革労協側の姿勢に触発されるなどして、国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に属する職員を、このような労働組合に所属していること自体を理由として、差別して不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿不記載基準を策定した」と認定した。その判決が確定したことは、きわめて重大だ。
 高裁判決はまた、「本件不記載行為がなければ一審原告らがJR東日本に採用されたはずであるとまでは認められないものの、本件の事実関係の下では、採用された可能性は相当程度にあったことも否定できない」としている。この部分は、12年6月29日の東京地裁判決では「本件名簿不記載基準が策定されなければ、原告らは採用候補者名簿に記載され、その結果、JR東日本に採用されたはずである」となっていた。この認定を覆そうと東京高裁は四苦八苦したが、その根本は崩せなかったのだ。
 国労闘争団の鉄建公団訴訟でも、判決が認めたのは「採用に対する期待権」にとどまった。しかし動労千葉は、〝不当労働行為がなければJRに採用されていたはず〟と裁判所に言わしめた。JRに対し解雇撤回を迫る根拠を手にしたのだ。

分割・民営化と対決し勝利

 国鉄闘争全国運動は、2010年4・9政治和解の一大反革命を打ち破って立ち上げられた。以来5年の闘いが、国家権力そのものである最高裁に、国鉄分割・民営化は国家的不当労働行為だったことを認めさせたのだ。国鉄改革法が、その不当労働行為を強行するための法的虚構だったことも暴き出された。
 「(JR不採用につき)JRに法的責任がないことを認めよ」と国労に迫った00年の4党合意や、「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わない」と4者・4団体に誓わせた10年の4・9政治和解などの形で、国家権力は国鉄1047名解雇撤回闘争の圧殺に全力を挙げた。これに屈した4者・4団体は、鉄建公団訴訟を「分割・民営化に敗北した後の敗戦処理」と位置づけ、国鉄改革法や分割・民営化に全面的に屈服した。
 これに対し国鉄闘争全国運動は、国鉄改革法と分割・民営化そのものと徹底対決した。この闘いが最高裁にも分割・民営化は不当労働行為だったと認めさせたのだ。国家権力の総力を挙げた闘争圧殺攻撃を打ち破ったことは、巨大な勝利だ。
 逆に言えば、労働者が屈服することで初めて国鉄改革法も分割・民営化も成り立ったのだ。外注化や総非正規職化という新自由主義の雪崩を打つような攻撃を許したのは、国鉄分割・民営化への労働運動の総屈服だ。だが、動労千葉―動労総連合と国鉄闘争全国運動は、分割・民営化以来の新自由主義攻撃を覆す一大拠点をつくり出した。

本当の勝負は今から始まる

 分割・民営化が不当労働行為であり、〝不当労働行為がなければJRに採用されていたはず〟という判決が確定した以上、解雇撤回・JR復帰の正義は必ず実現されなければならない。それはJR資本との直接対決によって決着がつく。第2の分割・民営化と対決する外注化粉砕・非正規職撤廃の闘いや、動労水戸を先頭とする被曝労働拒否の闘いとともに、国鉄解雇撤回闘争も職場生産点の闘いの中心軸にある。解雇撤回闘争は職場でJR資本と対決し、実力で勝利をもぎり取る新たな段階に突入した。
 国鉄決戦は安倍打倒の広範な決起と合流している。ここに労組の産業報国会化を狙う安倍を倒し、動労総連合建設を軸に階級的労働運動をよみがえらせる道がある。
 動労千葉と国鉄闘争全国運動が主催する8・23報告・決起集会(午後1時半、東京・星陵会館)に結集し、国鉄解雇撤回闘争を継続する労働者階級の意思を断固示そう。
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