骨太方針・成長戦略許すな 財政破綻・経済破滅におののき公共・社会保障部門を「産業化」

週刊『前進』06頁(2690号02面03)(2015/07/20)


骨太方針・成長戦略許すな
 財政破綻・経済破滅におののき公共・社会保障部門を「産業化」


 6月30日、安倍政権は骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2015)と成長戦略(日本再興戦略改訂2015)を閣議決定し、「実質2%経済成長」を前提に「経済再生なくして財政健全化なし」とうたった。
 しかし「2%成長」など誰も信じていない。安倍は国家財政破綻と経済破滅におののき、戦争法と一体で、公共・社会保障部門の「産業化」=全面民営化と労働法制解体をほとんど唯一の方策として打ち出した。それは社会の最後的崩壊をもたらす。労働者階級への極限的攻撃にゼネストで立ち向かう韓国・民主労総、ギリシャ労働者と連帯し、安倍打倒の7~8月決戦を爆発させ、国鉄決戦を基軸に1千万人の怒りと結合し闘おう。

大恐慌下で「2%成長」はありえぬ虚構

 骨太方針と成長戦略は第一に、破滅に向かって突進する日帝経済の危機を露骨に示している。
 安倍は、ギリシャ危機をもはるかに超える経済破滅、国債暴落と株バブル崩壊におびえている。骨太方針は、14年の実質成長率がマイナス0・9%であったことを認めた上で、「2%を上回る経済成長による税収増で財政を立て直す」とした。それは気休めにもならない虚構でしかない。
 マスコミは一斉に危機感を表明した。「成長による歳入増と社会保障費を中心とする歳出抑制が黒字化の条件となるが、いずれも政府の見込みを実現するハードルは高い」「成長率が最後に2%台を記録したのは93年までさかのぼる」(日経新聞7・1付)。「日本の財政は借金漬けだ。国の借金残高は今年3月で1053兆円、国内総生産(GDP)の2倍と先進国の中で最悪の水準であり……ギリシャの惨状は遠い外国の話ではなくなる」「(実現が難しい成長)に頼ることは『期待』頼みの財政再建であり、禁じ手だ」(朝日新聞6・30付)。まさに絶体絶命の危機だ。

危機を逆手に戦争法と一体の全面民営化

 骨太方針と成長戦略は第二に、国家財政破綻を逆手にとって、公共部門と社会保障の全面民営化・切り捨てを狙う階級戦争続行の宣言だ。
 骨太方針は、財政危機と「人口急減・超高齢化」をあげつらった。それ自体が、新自由主義の最後的破綻だ。しかしそれをも逆手にとって、高齢化で毎年1兆円増える社会保障関係費を「5千億円に抑える」とし、「公共サービス分野への企業等の参画拡大」「公共サービス分野を『成長の新たなエンジン』に育てる」とうたった。
 「少子化」を取り上げて、保育所の民営化・民間委託と保育士資格の解体=総非正規職化を進める子ども・子育て支援新制度や、児童館全廃に直結する「放課後子ども総合プラン」、学校の統廃合を明記した。「医療介護サービスの問題が深刻化する」として、「地方への移住を希望する人々を支援」し、地方に押し付けて切り捨てることにまで言及した。
 「公的支出の抑制」を掲げて、行政事務の外部委託、民間資金や公的資産・施設の活用(=売り渡し)、地方交付税改革(=解体)などを列挙した。マイナンバー制をIT(情報技術)化の突破口とした。
 190㌻に及ぶ日本再興戦略は、サービス産業の生産性向上や「農林水産業、医療・介護、観光産業の基幹産業化」、官製市場の民間開放などをうたった。しかし製造業ではない農林水産、医療・介護、観光の「基幹産業化」とは何のことだ。ここに頼るしかないところまで日帝経済は衰退し、大恐慌下で激烈を極める国家間争闘戦と資本間競争から脱落・敗退しているということだ。

労働規制撤廃し労組破壊と総非正規職化

 だからこそ第三に、労働法制解体・労働規制撤廃と総非正規職化に一切をかけようとしている。
 骨太方針は、「『稼ぐ力』の強化」を前面に押し出した。法人税減税と規制緩和、女性・若者・高齢者の労働への駆り出し、「労働移動の円滑化」「多様な働き方の促進」、原発再稼働、TPP(環太平洋経済連携協定)とインフラシステムの輸出などを列挙した。
 成長戦略は、8時間労働制解体を狙う「残業代ゼロ=過労死促進」の「高度プロフェッショナル制度」導入や裁量労働制、フレックスタイム制の拡大、公務員を突破口とする夏型早朝勤務時間制(ゆう活)を掲げた。
 さらに「多様な正社員の普及・拡大」を強調した。全労働者の非正規職化を進め、「予見可能性の高い紛争解決システム」(「不当解雇の金銭解決」)による「解雇の自由化」と不当労働行為合法化で、戦争法と一体の公然たる労組破壊に踏み出そうとしている。

国鉄決戦基軸に安倍打倒のゼネストへ!

 ゆえに第四に、職場と労働組合をめぐる攻防に一切が絞られた。怒りを爆発させ、ゼネストと革命に突き進もう。
 公共部門を最大の標的とする骨太方針の激しさに耐え切れず、自治労本部は7月2日、書記長談話を出さざるをえなくなった。「これ以上民間委託を進めれば公共サービス崩壊の危機に直面する」「民間委託の阻止にむけ、取り組みを強化しなければならない」などとほざいた。今さら何を言うか。資本主義擁護と「財政再建」、労使協調の立場から民営化に全面協力してきた体制内幹部のペテンを許さず打ち倒し、ゼネストで闘う労働組合をつくり出す時だ。
 ギリシャの労働者は、経済破滅の脅しで一層の緊縮策を迫る国際金融資本に対し、真っ向から闘いぬいている。韓国・民主労総は「構造調整」と称して階級戦争をしかけるパククネ政権打倒のゼネストに決起している。
 新自由主義が大恐慌と財政破綻をもたらした。それをも逆手に労働者階級に対する戦争で大もうけを狙うことなどどうして許せるか。動労総連合建設、労組拠点建設を進め、戦争法と全面外注化阻止・非正規職撤廃、被曝労働拒否の国鉄決戦と公務員決戦の爆発で安倍を倒そう。
(大迫達志)
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