朝鮮戦争が法案の狙い 安倍は破綻し追いつめられ「火消し」「戸締まり」を叫ぶ

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週刊『前進』06頁(2691号05面01)(2015/07/27)


朝鮮戦争が法案の狙い
 安倍は破綻し追いつめられ「火消し」「戸締まり」を叫ぶ

7・15闘争で情勢が一変

 与党の戦争法案強行採決を巨万の怒りで徹底弾劾した7・15国会闘争をもって、情勢の潮目は完全に変わった。18日には全国約1千カ所で抗議行動が展開され、19日の杉並デモ(記事4面)も大成功した。戦争法案反対のデモや行動は全国各地で連日巻き起こっている。国会周辺では、警察による7・15闘争での2人逮捕の弾圧や鉄さくを用いた集会規制に対し、広範な抗議の声が沸き起こっている。
 この間の世論調査では軒並み安倍政権の支持率・不支持率の逆転が報じられ、政府・与党に大衝撃が走っている。さらに自民党は7〜8月に予定していた街頭宣伝をすべて中止した。「(街頭で)批判される姿がメディアで映ると参院審議に影響が出る」というのが理由だという。安倍は人民の怒りの爆発に震え上がっているのだ。
 それにしても、人民に弾劾されるのが怖くて街頭にも出られない連中が「国民の生命と幸福を守る」などと称して、自分の身は安全なところに隠しながら、自衛隊員や青年・学生を流血の戦場に行かせようとしているのだ。怒りの声が広がるのは当然である。
 何より重要なことは、こうした怒りと闘いの高揚の中で「今こそゼネストが必要だ」という声が広範にあがっていることである。その中で路線論争、党派闘争も激化している。労働者の団結こそ戦争を阻止し、社会を変革する力であることを、今や言葉で確認するだけでなく実践で証明すべき時だ。闘う労働組合を先頭に、安保国会決戦の後半戦を意気高く闘おう。

自衛隊が異例の上陸訓練

 この間、安倍はインターネットやTVの番組に何度も登場し、「安保法制はアメリカの火事が日本に燃え移らないように共同で火消しに当たるもの」「戸締まりをしっかりするということです」などとウソとペテンの長広舌をふるっている。
 だが安倍政権は衆院審議で何と言ったか。朝鮮有事に「存立危機事態」を適用して武力行使に踏み切ると明言し、敵基地への攻撃も辞さないと主張した。しかも「(北朝鮮の)日本への攻撃意思がなく、ミサイル発射などの兆候がなくても存立危機事態と認定できる」と断言した。つまり米軍が北朝鮮を先制攻撃した時点で、自衛隊も最前線で攻撃作戦に参加させるということだ。
 これに合わせ、自衛隊の訓練も様変わりしている。衆院本会議採決が強行された16日、陸上自衛隊の相浦駐屯地(長崎県佐世保市)では、日本版海兵隊=水陸機動団の創設に向けた本格的訓練が始まった。これに先立ち、1〜3月に米カリフォルニア州で行われた陸自と米海兵隊の合同訓練では、水陸両用車AAV7やMV22オスプレイを用いた異例の敵地上陸訓練が行われた。敵に気づかれても上陸を強行する「強襲上陸」(実戦では多数の死者が出るとされる)を想定した初の訓練だ。殺し合いの戦闘を経て上陸した部隊が攻撃目標を知らせて戦闘機や護衛艦の攻撃を誘導するという、空爆作戦とも一体の恐るべき内容だ。
 同時にオスプレイ17機の購入や強襲揚陸艦の建造など新たな軍拡も進んでいる。これらは名目上は「離島防衛のため」とされるが、朝鮮半島への上陸・侵攻・空爆を想定していることは明らかである。これが「火消し」だの「戸締まり」だのと称して安倍が行っている戦争政治の正体なのだ。

野党の屈服・敵対打ち破れ

 こうした中で、安倍の戦争政治に屈服し自らも推進しているのが民主党、日本維新の党、日本共産党などの野党だ。
 維新と共同して衆院に「領域警備法案」なる対案を出した民主党は、22日、政府の重要影響事態法の対案として新たに「周辺事態法改正案」を作成すると決めた。武器使用の拡大や他国軍への後方支援を追加するもので、新たな戦争支援法という点で政府案と本質的に変わりない代物だ。そもそも民主・維新はいずれも、「安保法案は違憲だ。だから先に明文改憲を」と主張する改憲勢力である。
 この民主・維新とともに「自衛戦争賛成」を掲げ、国会闘争に敵対しているのが共産党だ。共産党は6月23日の志位和夫委員長の会見で「政権をとっても自衛隊は維持・活用する」と宣言し(本紙2688号参照)、民主・維新との連携を強めている。これは明らかに、安倍・自民党政権が倒れた後の連立政権に与党として加わることを狙った反動的策動だ。
 戦争は、安保法案が通ってから始まるのではない。野党も含むこうした国会のあり方そのものが日帝の戦争政治であり、実際の戦争はこの政治の継続として起こるのだ。
 戦争・改憲をめぐる最大の攻防点は、UAゼンセンを先兵とした労働組合の産業報国会化を打ち破ることにある。動労総連合と合同・一般労組全国協の建設を柱に全産別で闘う労働組合をよみがえらせよう。許すな改憲!1000万人署名を全国で集めよう。8・2革共同政治集会、8・6広島―8・9長崎闘争、8・15集会に結集し、安保国会粉砕のゼネストへ攻め上ろう!
(水樹豊)

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