安保国会を斬る! 対中国・北朝鮮の「脅威論」前面化し法案成立狙う安倍 被爆者先頭に安倍弾劾の嵐

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週刊『前進』08頁(2693号05面03)(2015/08/17)


安保国会を斬る!
 対中国・北朝鮮の「脅威論」前面化し法案成立狙う安倍
 被爆者先頭に安倍弾劾の嵐


 原爆投下から70年を迎えた8・6広島、8・9長崎では、被爆者を先頭に「戦争絶対反対」の激しい怒りが安倍にたたきつけられた。
 6日の広島平和記念式典では、ヒロシマ大行動のデモ隊のシュプレヒコールが式典会場に鳴り響く中、安倍の発言に参列者から「帰れ!」「戦争法案を撤回しろ!」と怒りの声が繰り返したたきつけられた。
 さらに9日長崎の式典では、被爆者代表として「平和の誓い」を述べた谷口稜曄(すみてる)さんが、「戦争につながる安保法案は核兵器廃絶の運動、思いを根底から覆すもの。許すことはできない」と断罪し、会場から大きな拍手が起こった。安倍はここでも多くの参列者からの弾劾の声を浴び、会場から逃げ去るはめとなった。
 11日に強行された川内原発再稼働に対しても、NAZENが牽引(けんいん)した現地集会・デモを始め日本中で怒りの声が上がっている。
 また12日には、自衛官2人を含む17人が乗った米陸軍ヘリが沖縄県うるま市沖で艦船への着艦に失敗し、墜落した。これについて翌日記者会見した米陸軍オディエルノ参謀総長は、「日々の任務にリスクはつきものだ」「過剰反応する気はない」などと傲然(ごうぜん)と居直った。これに対し、沖縄の怒りはもはや全島ゼネストの爆発以外にないところまで高まっている。
 戦後70年を経て、日本の労働者階級人民の戦争絶対反対の決意と怒りが安倍を直撃し、巨大なゼネスト情勢を生み出しているのだ。

中谷が核兵器輸送も可能と

 こうした中で、安倍は中国や北朝鮮の脅威をあおり立てることで、自らの危機を打開しようと必死になっている。
 7月29日の参院特別委員会において、安倍はこれまでもっぱら中東・ホルムズ海峡を対象としてきた「機雷掃海」について、南中国海でも行う可能性を排除しないと初めて明言した。また中国を名指しで批判し、「南シナ(ママ)海で大規模かつ急速な埋め立てを一方的に強行している」とまくしたてた。北朝鮮についても「日本を射程に入れた弾道ミサイルを配備しており、発射されれば10分で日本に到達する」と強調した。
 また、安倍の盟友・桜井よしこは、8月3日付産経新聞で中国による東中国海ガス田開発に言及し、これが軍事に転用されたら「中国は日米両国の生命線であるシーレーン(海上交通路)を握ることができる」、それでもいいのかと危機感をあらわにした。
 安倍と桜井は、かつて日帝が「満蒙(まんもう)は日本の生命線」と称して15年もの中国侵略戦争を展開したのと同じように、資源や勢力圏確保のための戦争を公然と主張しているのだ。
 他方、5日の参院特別委において防衛相・中谷元は、自衛隊が米軍への後方支援の一環として、核ミサイルなどの核兵器を輸送することも「法文上は可能だ」と述べた。毒ガスなどの生物化学兵器の輸送も可能とした。
 米オバマ政権が2010年に公表した「核態勢の見直しに関する報告書(NPR)」では、有事において米軍が東アジアに核兵器を再配備することを明記している。安保法案はこれに対応した核戦争遂行法にほかならないことが、中谷の答弁で暴露されたのだ。
 今夏広島・長崎の闘いは、日帝・安倍のこうした核戦争策動を根底から撃つ歴史的決戦としてかちとられ、多くの被爆者の怒りを解き放った。

自衛戦争容認派を打ち破れ

 今や青年・学生を先頭に巨万の人びとが闘いに立ち上がる中、この巨大な決起を体制の枠内に抑え込むために、日本共産党スターリン主義が中心となり、国家権力と結託して開始したのがSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)なる「官製運動」だ。その狙いは、反戦闘争を愛国運動・祖国防衛運動へと変質させることにある(本紙前号5面参照)。
 だが、全学連を先頭に闘われたこの間の国会闘争は、共産党とSEALDs幹部らの正体を暴き出すとともに、「ゼネストで安倍を倒せ!」「国境を越えた団結で戦争を止めよう!」のスローガンのもとに多くの青年・学生を続々と引き寄せている。
 本紙前号政治局論文で全面的に明らかにしたように、レーニンは第1次大戦下において日和見主義・社会排外主義との断固たる党派闘争を展開し、これに勝ち抜くことを通じてロシア革命の勝利を準備した。「革命が近づけば近づくほど、それが力強く燃えあがれば燃えあがるほど……労働運動の内部では日和見主義的=小ブルジョア的潮流にたいする革命的=大衆的潮流の闘争がますます大きな役割を果たす」(レーニン「帝国主義と社会主義の分裂」1916年)
 まさに「戦争か革命か」の歴史選択は、共産党やUAゼンセンなどの排外主義・自衛戦争容認の潮流と、動労総連合を中心とする階級的労働運動派との激烈な党派闘争を通じて行われるのだ。
 国鉄闘争の前進と改憲阻止1000万人署名を武器に、労働組合をめぐる攻防に勝ち抜こう。戦争法阻止・安倍打倒の9月決戦に勝利しよう!
(水樹豊)
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