大破綻した「安倍70年談話」を徹底粉砕し戦争法阻止しよう 侵略・植民地支配の居直り許さず

週刊『前進』06頁(2694号02面01)(2015/08/24)


大破綻した「安倍70年談話」を徹底粉砕し戦争法阻止しよう
 侵略・植民地支配の居直り許さず


 8月14日、安倍政権は「戦後70年談話」を閣議決定し、発表した。だがその内容は、「戦後レジームからの脱却」を掲げて戦争政治を押し進めてきた極右・安倍政権のぶざまな大破産を示すものにほかならない。同時にそこには、安倍が延長国会で成立を狙う戦争法案と一体の悪らつな戦争衝動がにじみ出ており、これ自体が労働者階級人民の怒りの炎に油を注ぐものだ。「安倍談話」を徹底粉砕し、戦争法阻止・安倍打倒の9月決戦の爆発へ意気高く進もう。

労働者人民の闘いが安倍の狙い粉砕した

 第一に、今回の安倍談話は「戦後レジームからの脱却」を掲げて改憲攻撃と戦争法を推進してきた安倍政治のみじめな破産形態にほかならない。それは日本と世界の労働者人民の闘いによって、発表される前から根底的に粉砕されていたのだ。特に安倍の破産は、村山談話を含む過去の談話を継承すると表明せざるをえなかったことに、集中的に表現されている。
 そもそも安倍は2012年12月の首相就任前から、産経新聞などで「過去の談話をすべて見直すべきだ」とくり返し公言し、「自分を右翼の軍国主義者と呼びたければ呼べ」などと傲然(ごうぜん)と居直ってきた。
 その当時から安倍の狙いは、過去の政府見解を「東京裁判によって戦勝国に押しつけられた歴史観」として排撃し、一掃することにあった。とりわけ1931年の「満州事変」から足かけ15年にわたるアジア・太平洋戦争を「日本の自衛とアジア解放のための正義の戦争」として正当化することが、安倍談話の最大の眼目であった。この歴史歪曲こそ、「戦後レジームからの脱却」のイデオロギー的な軸であり、日帝が再び「戦争する国」として世界に台頭するために不可欠なものであった。
 そして安倍は昨年7月1日の閣議決定に続き、遅くとも今年の8月上旬には安保関連法を国会で成立させ、満を持して8月15日に新談話を出すことを思い描いていた。すでに防衛省がこの政治スケジュールに合わせて自衛隊の任務体系を変更する資料まで作成していたことが、この間明らかになっている。
 ところが、安倍のもくろみは6〜7月の戦争法阻止の国会決戦で完全に粉砕された。7・15―16衆院強行採決の暴挙は労働者人民の決起を一層拡大し、8・6広島、8・9長崎では被爆者を先頭とする怒りの弾劾が安倍を直撃した。
 こうした中で支持率急落にあえぐ安倍は、一時は「個人談話」として出すことも検討するなどさんざん迷走した。そのあげく米帝や中国、韓国などからの反発を避けようとして、安倍の取り巻きの右翼でさえ消耗するような、うそとごまかしのぬえ的表現に満ちた醜悪な駄文を閣議決定する羽目におちいったのだ。

史実を歪曲し戦争賛美する極右的歴史観

 第二に、安倍談話は戦争法案と一体であり、そのペテン的な文面に安倍の極右的歴史観と戦争衝動がにじみ出ている。
 安倍談話は、主語をあいまいにして「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」などの文言をちりばめつつ、「中国、東南アジア、太平洋の島々」の戦争被害に言及しているが、実は日本による侵略と植民地化の最大の被害国であった朝鮮については、一言も触れていない。これは安倍の戦争法の狙いが朝鮮半島有事への参戦、すなわち新たな朝鮮侵略戦争にあることを示すものだ。
 また明治以来の日本の歴史を「西洋諸国」の植民地支配に対して戦ったと美化し、特に最初の帝国主義戦争だった日露戦争について「アジア・アフリカの人びとを勇気づけた」などと賛美する。「満州事変」以後の一連の侵略戦争も、「欧米諸国」による「経済のブロック化」が日本を追いつめた結果だと完全に合理化している。
 だが、明治以来の日本は欧米諸国以上のアジア侵略と植民地支配の張本人であり、それは同時に国内において、天皇を頂点とする一握りの支配階級(とりわけそれは20世紀以後、財閥を中心とする大資本家の支配として確立された)が圧倒的多数の労働者・農民を貧困と無権利状態にたたきこみ、徹底的に搾取・収奪することと表裏一体だった。後の戦争はすべてこの政治の継続である。
 日露戦争は、こうした後発帝国主義として台頭した日本が、直接には朝鮮の支配をめぐってロシアと衝突した戦争であり、どちら側から見ても強盗的・帝国主義的な戦争である。しかも日帝は、当時世界最大の植民地帝国であった英帝や米帝から援助を受け、18億円を超す戦費のうち8億円を米英からの外債でまかなった。日帝は、中国や朝鮮の反帝国主義・民族解放闘争を軍事力で鎮圧する「極東の憲兵」として米英のアジア侵略を助け、そのもとで自らもアジアを侵略する「番犬帝国主義」としてロシアと争ったにすぎない。
 その後の日帝による韓国併合も、英帝のインド支配、米帝のフィリピン支配を日帝が支持することと引き換えに、米英から認められた。日帝はアジア解放者などではなく、米英のアジア侵略の最悪の共犯者なのだ。
 また日帝は、例えば1907年の「帝国国防方針」において「わが国利国権の伸張は清国〔中国〕に向かって企図せらるるを有利とす」とし、そのために積極的に「攻勢作戦」をとること、そしていずれは対米戦争もありうると明記した。こうした例は枚挙にいとまがない。つまり日帝は、安倍が戦争の原因だとする30年代の「経済ブロック化」などよりはるか以前から、一貫して中国全土への本格的侵略戦争を狙い、その先にありうる米英帝との戦争の準備までしてきたのである。
 なお安倍談話のこの部分には、「経済がブロック化されたら戦争に訴えるのもやむをえない」として、今日の大恐慌と争闘戦の激化のもとで新たな戦争に踏み出すことを正当化する悪らつな意図がにじみ出ている。

日本共産党の敵対打ち破り安倍打倒へ!

 第三に、安倍談話の最大の破綻点は、日本の戦前・戦後の歴史をペテン的に語りながら、その根底に流れてきた労働者民衆の闘いの歴史を見据えられないことである。
 明治以来の日本の歴史は、労働者人民の絶えざる内乱と階級闘争の歴史であり、支配階級は一度として安定的な国内支配を実現したことはない。日帝はこうした国内支配の危機をのりきるために対外侵略を果てしなく拡大した揚げ句、破滅的なアジア・太平洋戦争へ突き進んだのである。
 他方で労働者人民の闘いは、プロレタリア革命を放棄した日本共産党スターリン主義の指導の誤りによって血の敗北を強いられるが、その革命的伝統は戦後革命期を経て、今日の国鉄闘争と階級的労働運動、革命的共産主義運動の隊列に脈々と引き継がれている。
 安倍談話は「繁栄こそ平和の礎」というが、資本主義のもとでの繁栄とは「資本の繁栄」であり、それは同時に日本の帝国主義的復活と圧倒的多数の労働者人民の貧困、雇用破壊、無権利化である。この「資本の繁栄」を戦争による以外に維持できなくなった時、帝国主義は「自衛のため」「平和と繁栄を守るため」と称して戦争を引き起こす。だからこそ、資本と運命をともにしてきた体制内左翼=階級協調主義者は、戦争の時代が始まるや「祖国防衛」へと転落するのである。
 安倍と口をそろえて「日本を守れ」「平和と繁栄の戦後70年万歳」と叫ぶ日本共産党やシールズ指導部の敵対を打ち破り、安倍談話をさらに徹底的に粉砕しよう。韓国・民主労総をはじめ全世界の闘う労働者人民と固く連帯して、戦争法阻止・安倍打倒の9月決戦へ決起しよう!

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