自衛戦争賛成で政権参加と革命圧殺を策す日本共産党 労働者国際連帯で戦争とめよう

週刊『前進』06頁(2695号03面01)(2015/08/31)


自衛戦争賛成で政権参加と革命圧殺を策す日本共産党
 労働者国際連帯で戦争とめよう


 日本共産党スターリン主義は、戦争法案を粉砕する闘いの高まりの中で、その革命的爆発の抑圧者として現れている。一方、マスメディアにもてはやされているSEALDs(シールズ、自由と民主主義のための学生緊急行動)の中心的指導部は、警察権力と一体で国会前行動を仕切り、「過激派排除」を叫んで敵対している。このSEALDsの運動も共産党が日帝国家権力と結託して推進している。闘いの破壊者、圧殺者である共産党を打倒し、大衆闘争の爆発を切り開こう。

「日本の国を守る」立場から安保法制「反対」論

 日本共産党は、戦争法案に反対して闘う労働者人民とともにあるかのように振る舞っているが、実際は闘いの革命的爆発を恐れ、資本主義体制が崩壊しないように、必死に制動をかけている。
 すでに本紙上で暴露弾劾されているように、日本共産党の委員長・志位和夫は6月23日の外国人特派員協会での記者会見で「共産党が政権をとっても自衛隊は維持する」「急迫不正の主権侵害など、必要に迫られた場合には可能なあらゆる手段を用いる、自衛隊を国民の安全のために活用する」と述べた。
 これは後述するように、1999年に同じ文言で打ち出されていた「自衛隊有事活用」論であるが、今日戦争法案の攻撃との闘いの真っただ中でそれが言われていることは、特別な意味を持つ。「急迫不正の主権侵害」とは安倍の言う「存立危機事態」と同じ論理だ。「自衛隊を活用する」とは武力行使=戦争をやるということだ。志位はわざわざそれを言うことで、資本主義体制を守るために自分たちも立ち上がると宣言しているのである。
 共産党は「主権を守る」つまり自衛権を発動するということを当然の前提のように言っているが、主権とは帝国主義日本の国家主権以外のものではない。そして「自衛権の発動」たる戦争は、1%の資本家階級の利益のために、99%の労働者人民を動員して殺し合わせるものであり、労働者階級には一片の利益もない。そのために他国を排外主義的に攻撃して憎しみをあおるのだ。「日本の主権を守る」と共産党が言う時、それは日本帝国主義の支配階級の利益を守ると宣言しているのだ。
 共産党は徹底的に自衛戦争賛成論の立場から安保法制に「反対」している。彼らのパンフで次のように主張している。
 「この法案は日本の若い自衛隊員の血を、アメリカにささげるためのものです」「日本を米国とともに『海外で戦争する国』につくり変えるものです」「日本がどの国からも攻撃を受けていないのに、集団的自衛権を行使して自衛隊が世界中で、米軍の戦争に参加する危険があります」(共産党発行パンフ『これでわかる戦争法案』)
 もとより戦争法案は、自衛隊が地理的限定なしに世界中どこにでも出て行くことができるようにするものであり、それ自体絶対に許せない。だが問題は、日帝がそれを「存立危機事態」と規定し、日本の国家の存立をかけた戦争を発動することであって、アメリカのために戦争を発動するから悪いのではない。
 だが共産党は、「日本のためでなくアメリカのためだから反対」と言うのだ。「アメリカのためでなく日本のために血を流すのはいいことだ」「日本が攻撃されたら自衛権を発動する」ということだ。
 しかし、日本のためならいいと言った瞬間に、それは安倍と同じ、日本帝国主義と同じ論理になってしまう。一切の戦争は「自衛のため」と称して行われてきた。かつての日帝の侵略戦争も「自衛戦争」と言われた。「自衛のための戦争ならいい」というのは帝国主義の戦争を全部支持していく論理だ。
 日本共産党の「自衛戦争賛成」論は、保守とも手を組んで彼ら自身が政権入りしたいためである。彼らはソ連崩壊後、社会党が解体・崩壊した中で、その隙間を埋める形で1998年に参院選で「大躍進」したことに有頂天となり、「よりまし政権」に加わると言い出し、「暫定政権では安保廃棄を凍結する」とか、「自衛隊の有事活用」を言い出した。ところが、2000年に志位が委員長になった後、国政選挙では後退が続き、政権入りは現実性のないものとなってきた。それが13年参院選と昨年末の衆院選で議席を増やし、またぞろ「政権入り」欲を強めてきているのだ。表向きは表明していないが、「保守との共同」は明確な目標だ。「資本主義の枠内での改革」路線の具体化であり、彼らが権力の一角に入ることは労働者階級の闘いの直接の弾圧者になるということにほかならない。

「朝鮮有事リアリティーない」と戦争危機を否定

 参議院の審議段階になって、安倍は「朝鮮有事」「中国脅威」を強調し始め、ついに安保関連法制の狙いを自ら明らかにした。日帝は、何よりも米帝とともに対朝鮮、対中国の侵略戦争に乗り出すために、集団的自衛権を持ち出し、戦争法案を強行成立させようとしているのだ。
 ところが志位は、「朝鮮有事」を必死に否定しようとしている。インターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」のインタビュー番組で次のように言っている(8月4日付『赤旗』)。
 「1994年の朝鮮半島危機の際に米国のクリントン政権が、北朝鮮の核施設を先制攻撃で空爆するというシナリオだった」、それを当時の金泳三韓国大統領が「おびただしい犠牲者が出るから絶対にやめてくれ」と談判して止めた、「そのとき、関係国みんなが地獄を見た」「だから私は『朝鮮有事』がさもすぐおこるかのようにあおられているけれど、そんなものではない」と「朝鮮戦争のリアリティー」を否定している。
 これは帝国主義の理性に信頼を置くということだ。戦争が起こったら大変なことになることは各国政府が分かっているから、戦争は起こらないと勝手に決めこんでいるだけである。だが、朝鮮危機に目を閉ざすことは、あまりにも現実を見ないものだ。現にこの間の地雷爆発、砲撃と交戦という事態、それに先立つ大規模な米韓軍事演習は、朝鮮侵略戦争の現実性を目の当たりにさせるものではないか。

「日本の領土をいかに守るか」

 また中国との関係については、「米中関係はものすごい相互依存関係になって、一方が倒れたら他方も一緒に倒れるという関係になっている」、だから「こういう関係の国と国が、正面からの戦争を構えるかといえば、これもリアリティーが著しくない議論」だというのだ。
 さらに「尖閣」について問われると、「尖閣は日本領土であり、外交交渉で解決すべき」と言う。「日本の領有の正当性を、世界に向かっても、中国政府・国民に対しても、相手の言い分をすべて論破する構えで外交交渉を行う、そうした徹底的な外交的解決の姿勢を貫くことが何よりも大切だと思います」
 だが、日清戦争(1894年8月〜95年4月)のただ中の95年1月に日帝が釣魚島(尖閣)を「領土編入」し、奪取したことは明白なのだ。共産党はまったく帝国主義的略奪者の側でものを言っている。
 しかも、「集団的自衛権の行使は、(尖閣とは)まったく関係がない話です。日本の領土をいかに守るかという話ですから」とまで言っていることは重大だ。まさに「領土を守るための自衛権の発動」を主張しているのだ。共産党は、「海上自衛隊を出せば、相手は海軍を出してくる(ことになるから反対だ)、海上保安庁が対応するのが基本」などと逃げを打っている。だが、海上保安庁自身が軍事力であり、軍事的対応の始まりである。「領土を守る」と言う以上、必ず軍事衝突をはらみ、さらにエスカレートすることは明白ではないか。
 そもそも労働者階級に領土・国益の問題で帝国主義と共同の立場はない。労働者には祖国も国境も国益もない。一切の排外主義攻撃と闘わなくてはならないのだ。

韓国・民主労総ゼネストに恐怖し無視抹殺貫く

 日本共産党は、2004年の第23回大会で党綱領を改定し、「資本主義の枠内での民主的改革」を路線的に絶対化し、「資本主義の枠」(資本主義体制)を守ることを宣言した。帝国主義の最後の延命形態である新自由主義が世界的に大破綻している時、そして戦争か革命かが真っ向から問題になっている時に、彼らはあくまで資本主義を守ることを綱領に明記した。それは階級闘争の革命的発展に徹底的に敵対するという宣言だ。そして自らを「労働者階級の党」ではなく「日本国民の党」と綱領と規約に明記し、階級的なものの考え方、階級的概念を綱領から放逐した。この社会が労働者と資本家の非和解的な階級対立に基づいているということを原理的に否定したのだ。
 そして綱領改定では、これまであった「万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ」のスローガンがなくなり、替わって「テロ根絶」が加えられた。これは決定的な事柄だ。
 今年1月の中東での「日本人人質殺害事件」の際、志位は声明で、「国際社会が結束して、過激武装組織『イスラム国』に対処し、......孤立させ、追いつめ、武装解除と解体に追い込んでいく」と絶叫した。中東侵略戦争の元凶である帝国主義、空爆をしている「有志連合」を先頭とする「国際社会」=帝国主義のもとへの結束を呼びかけたのだ。
 テロこそが最大の敵であり、日本共産党は「対テロ戦争」の先頭に立つということだ。つまりこの体制では生きられない労働者人民の反乱は「テロ」として抑圧するという反革命宣言だ。

パククネとの会談喜ぶ志位

 日本共産党は、この間の韓国・民主労総のゼネストについてはまったく報道していない。韓国の労働者階級が生きるために団結し、パククネ政権と真っ向から闘っていることに恐怖し、敵対している。彼らが手を組んでいる相手は労働者階級ではなく、韓国の支配階級である。
 志位は、2006年にアジア政党国際会議に出席するために初めて訪韓した後、何度も訪韓している。いずれも韓国政府や国会議員との交流が目的であり、労働運動との交流はない。13年3月にはパククネ大統領の就任式に出席して祝福(!)した。昨年10月、「日韓・韓日議員連盟合同総会」に出席し、額賀福志郎会長(自民党)とパクとの会談に同席した。
 13年末に韓国鉄道労組が鉄道民営化阻止の23日間のストライキを闘い、14年4月には新自由主義の行き着く先を示したセウォル号事故が起こってパククネに対する全人民的怒りが沸騰した。こういう闘いには一顧だにせず、民営化攻撃の張本人であるパククネと親密に話し合ったことを喜んでいるのが志位なのだ。
 これが共産党の進める「野党外交」の実態だ。労働者の国際連帯に真っ向から敵対している。「万国の労働者団結せよ」を結語とする「共産党宣言」にこれほど真逆なものはない。

共産党内外で批判が広がる

 国鉄解雇撤回闘争で日本共産党は「1047名闘争は革命をめざす運動ではない」という言い方で、体制内的収拾の道を追い求めた。だが、政治和解を断固拒否した国鉄闘争全国運動の闘いは、大きな動揺を共産党支持者の中に広げた。現に共産党員でありながら、全国運動に協力する人はたくさん現れている。「動労総連合を全国に」の闘いは、共産党に決定的痛打を与えている。
 また、福島の原発事故による被曝との闘いにおいて、共産党は内部被曝の事実を否定し「避難・保養・医療」の原則をもって闘うことに真っ向から敵対している。安倍政権の「安全安心キャンペーン」、帰還強制攻撃の共犯者なのだ。福島の怒りを解き放って避難の権利を主張し、被曝労働を拒否して闘うことは、今の国家のあり方と衝突してしまうことを共産党は恐れているのだ。このことに大きな批判の声が共産党内からも上がっている。
 60年安保闘争では、当時の全学連の学生が共産党の中から反旗を翻して新しい組織をつくり、大衆的戦闘的な闘いを爆発させた。70年安保闘争は、全学連と反戦青年委員会の労働者・学生の決起が共産党の武装反革命部隊と激突する中で切り開かれた。革命的情勢の成熟、大衆闘争の爆発の時代は、いつでも密集した反動との闘いを通して切り開かれる。日共スターリン主義を打ち破りのりこえて闘いを前進させよう。
(高田隆志)

このエントリーをはてなブックマークに追加