常磐線「試験除染」弾劾 運行再開で住民に帰還強要

週刊『前進』06頁(2695号04面02)(2015/08/31)


常磐線「試験除染」弾劾
 運行再開で住民に帰還強要 




 JR東日本水戸支社は8月20日、夜ノ森(富岡町)―双葉(双葉町)駅間で「試験除染」を始めた。川内原発再稼働と軌を一にした、JR常磐線の全線運行再開へ向けた重大な動きである。政府や福島県当局が推し進める「帰還」強制の先兵、JR東の常磐線運行再開と対決して闘おう。
 3・11福島第一原発爆発事故で寸断された常磐線は現在、竜田駅(楢葉町)―原ノ町駅(南相馬市)が不通となっている。政府は原ノ町駅―小高駅を16年春までに、小高駅―浪江駅を17年春までに、竜田駅―富岡駅を18年春までに開通する方針を打ち出している。
 しかし富岡駅―浪江駅間は放射線量が高すぎるため、今も運行再開の見通しが立っていない。そこでJR東は、同区間の中でもとりわけ線量が高い区間の「試験除染」を始めたのだ。
 JR東は年内にも除染作業を終わらせ、除染効果を検証した上で来春に運行再開の時期を見極めるという。水戸支社設備部長の坂下修は「(年間20㍉シーベルトに相当する)毎時3・8㍃シーベルト以下にすることが目安。除染計画の後、全体の復旧計画を策定したい」と言い、復興副大臣・浜田昌良も「来春ごろまでの(除染の)分析を踏まえ復旧時期を明らかにしたい」と述べた。
 試験除染は、帰還困難区域の夜ノ森―双葉駅間(10・7㌔)のうち計6カ所で行われる。福島第一原発まで直近の箇所は直線距離約2・5㌔で、空間放射線量が最も高い箇所は毎時30㍃シーベルトもある(図参照)。
 JRの「除染試験施工例」は、「撤去・除去」作業で①レール・枕木・砕石の除去、②表層土除去、③のり面除草・伐採・表層土除去を行った後、「復旧・保護」作業で④のり面保護工、⑤表層土復旧、⑥レール・枕木・砕石の復旧を行うとしている。予算は約6億円。作業するのはJRの関連会社の労働者だ。
 しかしこんなもので放射能が低減できるわけがない。「除染」とは移染でしかなく、放射能はけっしてなくならない。除染を繰り返しても、雨が降り風が吹けば線量はすぐはね上がる。除染を請け負った大手ゼネコンの金もうけのために、除染労働者に大量の被曝をさせるだけだ。
 JR東は昨年6月1日の広野―竜田駅間の運行再開に続き、今年1月31日から竜田―原ノ町駅間の代行バス運行に踏み切った。JRは乗客への案内掲示で「車外の空間線量率は0・31〜14・7㍃シーベルト/H」「1回の通行の被曝線量は1・2㍃シーベルト」と平然と告知している。まさに殺人企業だ。

動労水戸と団結し闘おう

 さらに高線量地域で運行を再開することは、JRで働く労働者と住民へのさらなる被曝の強制であり、絶対に許してはならない。
 被曝労働を拒否してストライキで闘う動労水戸は、原発労働者や除染労働者、さらに避難者・地域住民との広範な団結をつくり出して大きく前進している。
 動労水戸は9月5日の楢葉町の避難指示解除に対して、8・29いわき集会・デモで反撃に立つ。動労水戸と固く団結し、常磐線運行再開と「帰還」強制を打ち砕こう。

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