高校に「自衛隊コース」 一体化する戦争法と学校

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週刊『前進』06頁(2701号04面03)(2015/10/12)


高校に「自衛隊コース」
 一体化する戦争法と学校


 安保法制下で学校の戦争動員が始まっている。
■授業の講師に自衛官
 高知市の私立高知中央高校は、来年度から普通科に「自衛隊コース」を新設することを明らかにした。すでに高知県内の全中学校にパンフレットを配布し、民放でCMも流している。
 自衛隊コースは1週間のうち6時間を自衛隊関連の授業に充て、現役自衛官とOBが講師を務める。うち2時間は自衛隊に特化した「座学」に、4時間は銃の形をした木製武具を使う「銃剣道」に充てる。「銃剣道」とは旧日本軍において訓練されていた「銃剣術」のことだ。まさに戦前の「軍事教練」であり、「配属将校」の復活だ。さらに自衛隊への体験入隊や自衛官の採用試験対策も実施するという。
 同校の近森正久理事長は「心身ともに鍛えられ、忠誠心をもって日本の国防に当たれる人材を育成したい」と語り、自衛隊の高知地方協力本部も協力を表明した。
 安倍政権の戦争法制定情勢下で、教え子を戦場に送る教育を担う学校が生み出されているのだ。
 さらに近森理事長が、「自衛隊自体は必要で、コースに需要がある」と資本の論理で戦争教育を合理化していることも重大だ。金もうけのために戦争をするということだ。戦争教育と民営化が一体で進められている。安倍政権の公設民営学校化も、極右勢力が学校経営に参入し戦争教育を推進する狙いがある。
■「防災活動支援隊」で生徒を戦争動員
 また、自衛隊と教育行政が連携し、学校での隊員募集活動が強化されている。東京都教育委員会は2012年以降、全日制のすべての都立高校で1泊2日の防災訓練を実施させている。13年には都立田無工業高校、14年には都立大島高校の生徒が自衛隊駐屯地で宿泊防災訓練を実施した。だが実態は「基本教練」「非常呼集」など、自衛隊の体験入隊だった。そもそも自衛隊は防災訓練プログラムを持っていない。
 さらに都教委は、14年度から全都立高校で「防災活動支援隊」の結成を義務づけた。これは生徒で構成される「自校の災害時の生徒リーダー」だという。導入にあたり都教委は「活動は防衛の際にも求められるものであり、自衛隊の所掌事務である防衛に含まれる」と述べた。「防災訓練」とは、学校と自衛隊が一体化する口実にすぎない。狙いは学校の戦争動員であり、朝鮮侵略戦争参戦体制づくりだ。
 問われていることは、職場支配権だ。安保法制下における戦争絶対反対の闘いとは、ストライキで闘う組合と職場の団結をつくり出すことだ。戦争動員を阻止しよう。

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