米仏ロのシリア爆撃弾劾 ISの無差別襲撃は労働者解放と国際連帯に敵対する反革命だ 階級的労働運動とゼネストで勝利を

週刊『前進』06頁(2707号01面01)(2015/11/23)


米仏ロのシリア爆撃弾劾
 ISの無差別襲撃は労働者解放と国際連帯に敵対する反革命だ
 階級的労働運動とゼネストで勝利を


クリックでふりがな付PDFをダウンロード

パリ事件の最大の責任は空爆強行の仏政府にある

 11月13日夜、フランス・パリ市内の劇場、レストランなど6カ所で一斉に銃撃や爆発事件が発生し、129人が死亡、350人以上が負傷した。これに対しイスラム武装組織「イスラム国」(IS)が「自分たちが行った」との声明を発表した。オランド仏大統領は、「前例のないテロ」「戦争行為」と叫び、国家非常事態を宣言し、シリア空爆と国内治安弾圧を極限的に強めている。
 この無差別テロ襲撃を日本と世界の労働者階級はどう考え、行動すべきか。戦争と大失業の帝国主義を打倒し労働者階級の解放を真にかちとる立場から、この事件と主体的・実践的に対決することが求められている。
 第一に、大恐慌の本格化の中で帝国主義と大国(中国・ロシア)が一斉に争闘戦を激化させ、それが戦争・世界戦争に転化しつつある時代基調の中で、この事件が引き起こされたことである。
 米英仏ロなどが「IS掃討作戦」と称して行っているシリア・イラク空爆の階級的本質は何か。それは中東と世界支配をめぐる戦争であり、市場・資源・勢力圏をめぐる、古典的ともいえる強盗的侵略戦争、領土分割戦争そのものである。帝国主義とロシアが、それぞれの強盗的な狙いをもって、よってたかってシリアを空爆し巡航ミサイルを撃ち込み、労働者人民の生活と生命を日々、戦火にさらしているのだ。絶対に許されない。
 それゆえ11・13事件の原因と責任の一切は、まずもって帝国主義とロシアの側にある。フランス帝国主義のシリア・イラク空爆と、貧困・失業・格差拡大・人種差別・排外主義の攻撃こそが11・13事件をもたらしたのだ。何よりもこのことを激しい怒りを込めて弾劾しなければならない。
 米仏帝とロシアは、シリア・イラクの都市を無人機や戦闘機で空爆し、「IS」が行った11・13無差別襲撃を何百倍も超える殺戮(さつりく)を毎日のように繰り返している。「有志連合」が行った空爆は1年間で8千回を超えた。「ISへの空爆」と称して多数の人民を無差別に虐殺し、生きるすべ(住居や衣服、食料など)の一切を奪って、人びとが自分の家に住み続けられない状況をつくり出している。シリアでは、全人口の半分の1千万人以上が住み慣れた自分の家を離れ、国内・国外で「難民」生活を強いられている。そして、幼児や老人を含む膨大な人びとが、行くあてもなく欧州に流れ込み、「難民」問題が爆発しているのである。「難民」を生み出している真の元凶は、帝国主義とロシアの空爆である。
 フランス帝国主義がやっていることは、イラク・シリア空爆だけではない。2011年にリビアを空爆してカダフィ政権を崩壊させ、13年には旧植民地のマリに軍隊を送り込み、マリの人民を大虐殺した。
 フランス帝国主義は第2次大戦後も、とりわけ1960~70年代に旧植民地のアルジェリアなどから膨大な移民労働者を流入させて差別し、低賃金で搾取・収奪してきた。そして経済成長が行き詰まった1980年代以降は、新自由主義政策のもとで経済格差、人種差別、排外主義を激化させ、多くの移民労働者に「生きられない現実」を強制してきた。このことへの怒りが05年にパリ郊外の移民労働者居住地域で大規模な暴動となって爆発した。
 11・13事件の背景に、このようなフランス帝国主義の侵略戦争と移民労働者への抑圧・差別の現実があることを見ておかなければならない。
 パリ事件直後の14日午後、同じフランス国内で高速鉄道「TGV」の試験走行中の車両が脱線・転覆し、乗っていた労働者11人が死亡、37人が負傷した。二つの大事件・大事故が同時に起きたことは偶然ではない。新自由主義的帝国主義によって、労働現場、鉄道の現場で、労働者人民が日々このように階級戦争によって殺されているのだ。

帝国主義の分断と戦争を利するだけのISの行為

 第二に、この帝国主義への弾劾と打倒の闘いを貫かなければならないからこそ、イスラム武装勢力「IS」の行為は断じて許されるものではない。「IS」がやった行為は労働者階級人民に対する無差別襲撃であり、反階級的な裏切りと敵対である。労働者階級の団結を分断・破壊し、マルクス主義と労働者階級自己解放、国際連帯の闘いを圧殺し破壊する、とんでもない武装反革命である。
 いま、欧州、トルコ、イラク、中東、アフリカにおいて、労働者階級が国境・民族の壁をこえて団結し、体制内労組幹部の腐敗と屈服をのりこえて、新たな階級的労働運動を前進させようと苦闘している。この時に「IS」の行為は、この労働者階級の闘いを妨害し破壊するものである。本質的・現実的に「IS」の行為は、帝国主義の侵略戦争と分断支配を支え、それに与(くみ)しているに等しい。
 さらに弾劾しなければならないのは、フランス国内のスターリン主義や社会民主主義勢力、体制内労組幹部の度し難い屈服と裏切りである。社会党のオランドが政権をとって侵略戦争を遂行していることに示されるように、彼らは完全にフランス帝国主義の手先となり、戦争と排外主義の先兵となっている。
 この現実が、「IS」的勢力を今回のような絶望的な襲撃行動に走らせていると言わなければならない。ここでも新自由主義と対決する階級的労働運動とそれを支える革命的労働者党の建設が死活的に求められている。

戦争法で朝鮮侵略戦争に突き進む安倍政権を倒せ

 パリ事件直後の15、16日にG20(主要20カ国・地域)首脳会議がトルコで行われ、「テロと戦う」という特別声明を発表した。直ちにフランス、アメリカ、ロシア軍がシリア北部ラッカを空爆した。ロシア海軍は地中海の巡洋艦から巡航ミサイルを発射した。また欧州連合(EU)の国防相会合は17日、EU史上初の「相互防衛条項」の発動を宣言した。さらにイギリス帝国主義は空爆をイラクからシリアに拡大する計画を表明した。まさにパリ事件は、東アジア(朝鮮半島、南中国海)での戦争危機も含めて、世界戦争の危機を加速しているのだ。
 第三に、断じて許されないのは日帝・安倍政権である。G20に参加した安倍は、トルコ大統領エルドアン(10・10アンカラ爆弾事件で労働者100人以上を虐殺した事実上の張本人)と会談し、「対テロ」で協力を誓うとともに、黒海沿岸のシノップ原子力発電所の建設推進で合意した。
 安倍はさらに戦争法をてこに中東侵略戦争への参戦と、何よりも米韓合同の「作戦計画5015」と一体化し、朝鮮侵略戦争への参戦を狙っている。また、「伊勢志摩サミット」に向け治安弾圧を強化し、「共謀罪」の創設を叫ぶなど、まさに世界戦争情勢に帝国主義としての延命をかけて、労働者階級に対する階級戦争を仕掛けてきている。2016年は安倍との一大決戦となった。

国鉄決戦の前進で階級的労働運動の拠点建設を!

 帝国主義・新自由主義は過剰資本・過剰生産力の重圧にあえぎ、大恐慌を爆発させ、絶望的な危機を深め、戦争―世界戦争に突き進んでいる。資本主義・帝国主義は、もう社会を維持し再生産する力を完全になくしているのだ。
 労働者階級とその党は血と硝煙の渦巻くこの激しい戦争情勢の中にあって、断固として勝利の道を前進しなければならない。その勝利の道ははっきりとわれわれの前にある。何よりも東京・日比谷の11・1全国労働者集会と、韓国・民主労総のゼネストと11・14の15万人決起――この闘いに示された階級的労働運動と国際的団結は、ISの絶望的行為の対極にあるものであり、労働者階級の未来を開くものである。
 ゼネスト―プロレタリア世界革命をめざすこの闘いこそ、帝国主義を打倒し、戦争と首切り、貧困・飢餓をなくし、「難民」問題を解決する唯一の道である。
 だがこの時に日本共産党スターリン主義は、帝国主義とロシアのシリア空爆を何ひとつ弾劾しないばかりか、「テロ根絶で国際社会の結束を」と叫んで逆に空爆作戦を支持し、労働者の闘いに真っ向から敵対している。本当に許せない。
 勝利の闘いは世界中で力強く前進している。ブルジョアジーとその御用宣伝機関(マスコミ)の報道統制・歪曲を打ち破り、闘う労働者は世界の労働者階級の闘いの前進をわが力として、革命的な時代認識と勝利の路線で武装し、世界革命に向かう労働者階級の国際的な団結をつくり出そう。
 米仏ロのシリア空爆を断じて許すな! 国鉄決戦―動労総連合建設を基軸に、外注化阻止・非正規職撤廃を全産別で闘いぬき、階級的労働運動を力強く前進させよう。沖縄・辺野古の米軍新基地建設阻止! 米日帝国主義の朝鮮侵略戦争粉砕! 2016年決戦へ全力で進撃しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加