新自由主義の核心的攻撃と対決する外注化粉砕の闘い 非正規職撤廃を掲げて16春闘を

週刊『前進』06頁(2711号03面02)(2015/12/21)


新自由主義の核心的攻撃と対決する外注化粉砕の闘い
 非正規職撤廃を掲げて16春闘を

(写真 動労千葉は「仕事も人もJRに戻せ」と外注化粉砕へ10・1ストに決起。写真はJR幕張本郷駅前)

 動労総連合は12月5、6日の第30回定期全国大会で、JRとその関連会社の労働者を圧倒的に組織するJR産別労組に飛躍する歴史的挑戦を開始した。大会は、今後1年で3けたの組織拡大を実現すると確認した。この決断を可能にしたものは、動労千葉・動労水戸を先頭とする動労総連合が、16年にわたり検修・構内業務の外注化と立ち向かい、その闘いがついに外注会社の非正規労働者の動労総連合への結集をつくり出してきたことにある。

闘いの課題は国際的に共通

 新自由主義の核心的な攻撃である外注化は、膨大な労働者を非正規職に突き落とした。この中で、正規職だけの労働運動では資本の攻撃を打ち破れないことは、労働運動を少しでも経験した者なら誰でも、理屈では分かっていた。だが、正規と非正規がともに団結して資本に立ち向かう闘いを現につくり出しえた例は、ほとんどない。
 しかし、動労千葉はその困難な闘いに挑戦し、正規と非正規を分断していた壁に穴をうがった。JR本体の労働者が長期にわたり外注化と対決しぬいた具体的実践こそが、外注先のCTS(千葉鉄道サービス)の労働者たちの信頼をかちえたのだ。その画期的な地平は、本体の労働者が必死で資本と闘うことによってつくり出された。
 外注化との闘いは、新自由主義攻撃に立ち向かう全世界の労働者の共通の課題だ。韓国・民主労総との国際連帯はそれをあらためて鮮明にした。
 民主労総は12月16日、労働改悪阻止・パククネ政権打倒を掲げてゼネストに突入した。パククネによる労働改悪の柱の一つが、賃金ピーク制だ。これは、年金の支給開始年齢引き上げに伴い、定年を延長するとともに50歳以上の賃金を3~5割も引き下げ、さらには高齢の労働者を外注会社で再雇用し、業務の外注化を推し進めようとするものだ。まさに90年代後半から00年代にかけて、日本の労働者にかけられたのとまったく同じ攻撃に、韓国の労働者も直面しているのだ。
 日本では、国鉄分割・民営化とほぼ同時期の85年に年金改悪攻撃が本格的に開始され、01年から国民年金(基礎年金)の、13年から厚生年金報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げが始まった。資本は、これを徹底的に利用して、賃金削減と外注化をセットで強行する攻撃に乗り出した。その先頭に立ったのがJR資本だ。
 99年末にJR東日本が提案したシニア制度は、外注化推進をうたうシニア協定を結んだ労組の組合員に限り、60歳定年退職後の再就職先をあっせんするというものだった。高齢の労働者を現役時代の約半分の賃金でこき使うとともに、「高齢者の雇用の確保」を口実に外注化を徹底的に推し進め、労組の資本への総屈服を取り付ける悪らつな攻撃だった。
 東労組と国労は00年3月、シニア協定を資本と結んだ。以降、JRの外注化は一気に進んだ。00年9月にJR東日本は保線・信号通信・電力など設備部門の外注化を提案し、東労組の翼賛と国労の屈服のもとにそれを全面的に強行した。
 しかし、動労千葉は、労働組合に外注化の推進を誓約させるシニア協定の締結を断固として拒んだ。それは、組合員にとっては定年後の再就職先がなくなる厳しい選択だった。だが、こんな協定を認めたら分割・民営化に反対し闘ってきた意味はなくなるとして、動労千葉は階級的原則を貫いて闘いぬいた。

年金改悪てこに非正規職化

 この決断と、以降16年にわたる外注化反対の闘いは、きわめて重大な意味を持っている。
 95年、日経連は「新時代の『日本的経営』」で9割の労働者を非正規職にすると打ち出した。その具体的な貫徹方針こそが、年金支給開始年齢引き上げをてことした外注化と、外注先での非正規職化の攻撃だったのだ。
 JRとともに、この攻撃を典型的な形で強行した企業がNTTだ。
 85年4月に民営化されたNTTは、01年11月に「NTT東西の構造改革について」を打ち出した。これに基づき02年5月、NTT東西の業務は、企画業務などを本体に残して、347の子会社に細分化された。
 この過程で、NTT東西会社に働く51歳以上の労働者は、全国への転勤もありうる東西会社本体に残るか、地域別子会社に移るかの選択を迫られた。従来の業務が本体にはなくなる中で、多くの労働者は、やむなく子会社への転籍に応じざるをえなかった。子会社の賃金は従来の7割に引き下げられた。
 他方、50歳以下の労働者は、6万人が地域子会社への出向を強いられた。NTT東西子会社の人員は一挙に半減した。 第3章 青年の未来を守りぬく闘い
 業務の外注化はあらゆる産業・職場で強行されてきた。その結果が、青年には非正規職しか就職先がない現実をつくり出したのだ。
 だが、この攻撃に立ち向かった動労千葉の闘いは、JRの外注化を他企業に比べて約十年は遅れさせた。その闘いは、組合員の直接的な利益だけでなく、青年労働者・次世代の労働者の利益を守りぬくものだったのだ。
 ゼネストに立った韓国・民主労総の闘いも同じだ。民主労総が賃金ピーク制を始めとする労働改悪に絶対反対して闘っているのは、その攻撃が全社会を崩壊させ、労働組合の存立基盤そのものを破壊するからだ。
 非正規労働者の置かれている耐え難い現実、生きていけない貧困に対する怒りは必ず噴出する。しかし、その怒りを闘いへと結実させるためには、闘いの結集軸が必要だ。動労総連合こそ、その位置に据わることができる存在だ。なぜなら外注化粉砕・非正規職撤廃の具体的な実践を重ねてきた実績があるからだ。
 東京を始め、全国に動労総連合を建設し拡大して非正規職撤廃の16春闘を闘いぬこう。そこに日本でのゼネストを切り開き、プロレタリア革命を現実のものに引き寄せる具体的道筋がある。
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