三里塚反対同盟が新年アピール 50年の歴史かけ軍事空港を阻む 〝農地死守・第3滑走路粉砕〟 上告審勝利・5万署名を

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週刊『前進』12頁(2712号03面01)(2016/01/01)


三里塚反対同盟が新年アピール
 50年の歴史かけ軍事空港を阻む
 〝農地死守・第3滑走路粉砕〟
 上告審勝利・5万署名を

(写真 10・11三里塚全国集会に労農学人民930人が結集し「農地死守」を固く誓った【成田市東峰】)
(写真 民主労総ソウル本部の労働者29人が三里塚現地を訪れ、反対同盟と動労千葉が温かく歓迎し、国際連帯・労農連帯のきずなを一層固め合った【10月30日】)


 国家権力の農地強奪攻撃と実力で闘いぬき、ついに50年という歴史を刻んだ三里塚芝山連合空港反対同盟から新年のアピールが寄せられた。市東孝雄さんの農地を守り成田空港第3滑走路計画を粉砕する闘いは、安倍戦争政治との最も白熱した攻防点だ。三里塚は労農連帯・国際連帯の拠点として全国・全世界の労農学人民に決起を促している。ともに立ち上がろう。(編集局)

安倍政権うち倒せ
 事務局長 北原鉱治さん

 三里塚は50周年を迎えた。1966年当時、私は44歳で、5〜6年もハチマキを巻いて頑張れば空港は追い出すことができると自信満々だった。隣の八街・富里地区で2年で空港計画を断念させた闘いを見ていた。その闘いが50年も続くとは、感慨ひとしおだ。反対同盟が闘う限り、成田空港は永久に完成しない。
 国際情勢は、一歩踏み外せば世界戦争という危機に立っている。成田空港は「朝鮮有事」の際には軍事基地にされることは明らかだ。70年前の戦争の時もそうだった。農民や労働者を犠牲にして戦争が行われる。歴史を戦前に引き戻そうとする安倍政権を倒さずして、若者の未来はない。今何をすべきかを自らに問い、決起しよう。
 市東孝雄さんから農地を奪おうとする裁判は舞台を最高裁に移し、第3小法廷に係属が決まった。いつ不当判決が下されてもおかしくない情勢だ。「耕す者に権利あり」。これが農地法の精神だ。3代100年にわたり開墾し、つくり上げてきた農地を、空港のために奪うことなどけっして許さない。
 TPPと安倍農政によって日本の農業は今、大変な危機にある。最も肥沃(ひよく)な三里塚の農地を空港のためにつぶすことを許さない。2016年は市東さんの農地を死守する大決戦だ。
 反対同盟は、動労千葉との共闘をさらに強化し、全国の闘うみなさんとともにその先頭で闘う。韓国・民主労総を始め、世界の同志たちとの国際連帯をさらに強化して進む。第3滑走路建設阻止へ、地元住民とともに闘う。3・27全国集会を成功させよう。

(写真 一斉行動の辻立ち演説で第3滑走路阻止を訴える北原事務局長【9月19日】)

農地守る陣形広げ
 天神峰 市東孝雄さん

 2015年は熱いご支援をいただき、ありがとうございました。農地法裁判では東京高裁で控訴棄却の不当判決が出され、闘いの場は最高裁に移りました。最高裁は国家権力中枢そのものですから、辺野古、原発などの状況全体を見ながらいつ判決を出そうかと考えていると思います。
 また千葉地裁で再開された耕作権裁判では、弁護団の追及によって回を重ねるほどに空港会社(NAA)の違憲違法があぶり出され、勝利的に前進しています。しかし油断はできません。
 先日のシンポジウムでは、農地法、憲法、経済学、「公共性」などの観点から、専門分野の方が農地取り上げの不当性を明らかにしてくれました。本当に心強く感じます。また動労水戸を中心とした「農地を守る会・茨城」は、現地調査に来てくれました。農民としての苦労や誇りを共有してつながれたことを、うれしく思います。
 安倍政権は「攻めの農業」を掲げ、参院選に向けた人気取りであちこち農家を回っていますが、TPP、農協つぶしなどを進める安倍を農民の味方だとは誰も信じません。何より成田での第3滑走路建設、B,滑走路の再度北延伸など農村破壊、自然破壊を絶対に許すことはできません。 
 三里塚闘争は50周年を迎えました。父を含め当初から闘ってきた人も、ここまで長く続くとは思わなかったでしょう。私一人が「やるぞ」と気張ってるだけでは力が限られます。沖縄・福島・三里塚が連帯し、労働者と農民が連帯し、全国の多くの人の力を借り、知恵を出し合って、闘いの陣形をつくれたらと思います。その時私も先頭に立つ決意です。

3・27成田集会へ
 東峰 萩原富夫さん

 反対同盟は6月の市東さん農地法裁判控訴棄却を怒りで迎え撃ちました。直ちに上告審の闘いに突入し、最高裁に向けた5万人署名・賛同署名の推進を呼びかけてきました。同盟員が全国各地に出向き、アピールを発し、市東さん支援の陣形が広がっています。
 署名・賛同が次々と届くことで、この戦争情勢とかみ合って、シールズみたいな「はやりもの」ではなく、反戦の砦としての三里塚に多くの関心と支持が寄せられていることを実感できます。私たちは、農地を守ることが戦争反対の闘いだと自信を持って言えます。
 第3滑走路、特に騒音問題への怒りが、空港周囲の地域から伝わってきます。4者協議会では「芝山案推進」が決まったが、以前から反対同盟が言ってきたように、芝山廃村化が現実のものになろうとしている。また再度B,滑走路北延伸をやると言うが、本当は東峰地区をつぶして南に伸ばしたいという敵の本音がある。住民の怒りと結びつき、第3滑走路を絶対に粉砕します。ここに北総農民、引いては全国農民の未来がかかっています。
 2016年は三里塚らしい闘いをやりたいと思います。全国の闘いの結集軸になるように、絶対に農地取り上げを粉砕する、守りぬくという姿勢を貫きます。「どうせ取られちゃうんでしょ」というような敗北主義を吹き飛ばし、多くの人が駆けつけ反対同盟とともに実力で座り込み、ごぼう抜きにあおうが頑張りぬく。市東さんの農地を守ることでそれぞれが自分の怒りを表現できるような闘いを実現したい。
 3月27日には成田市中心部で全国集会を開催します。そして7月には三里塚50周年の記念集会を企画しています。ともに闘いましょう!

芝山町の現実見よ
 事務局員 伊藤信晴さん

 萩原進事務局次長亡きあと、反対同盟は定例の事務局会議をもち、富夫さんを先頭に、また市東さんの不動の決意を柱として、2015年の闘いを進めてきました。通算32回を数える周辺地域一斉行動は、本当に大きな力を発揮しています。
 元反対同盟の相川勝重・芝山町長は「第3滑走路建設を推進することが、元反対派としての私の義務」などと言っている! 固定資産税が入るとかの思惑があるのだろうが、その前に芝山町の現実を見よと言いたい。
 一斉行動でまわると、健康問題や家族の介護を抱えた人、生活に困っている人に次々と出会う。「第3滑走路がこの上を通るなら、俺はもう一度ハチマキを巻いて闘う」という人もいる。自民党の選挙を担っていたような人も「反対だ」と言う。まさに「空港か生活か」「空港栄えて村滅ぶ」状況が迫っている。
 こうした中で来年は芝山町議選が行われます。この中でなんとしても芝山で反対派を形づくりたいと決意しています。
 新自由主義のもとに置かれた労働者・農民・人民にとって市東さんの闘いは大きな希望となると思う。「命よりも金」の風潮に対し「農業・農地こそ未来だ」と反撃し、労農連帯・国際連帯をより強めて闘います。
 三里塚現地を訪れた民主労総ソウル本部との交流で「この人たちに銃を向けては絶対にいけない」と感じました。第3滑走路は軍事目的です。必ず粉砕しましょう。

先輩の闘魂継いで
 事務局員 太郎良陽一さん

 三里塚の土がどれだけ豊かで肥沃か、言葉だけではなかなか伝わらないけれど、ここに空港を造って農民を追い出すことの悪らつさが、第3滑走路の問題であらためて問われると思います。こんなにすばらしい野菜ができるところに、官僚が勝手に線を引いてコンクリートで埋めるようなことを絶対に認めるわけにいかない。
 富夫さんが言う「守りたいものがある。譲れないものがある」という言葉、そこに込めた気持ちが伝わってきた。私はそこに引かれます。何が空港か!
 マスコミは企業の農業参入とか、農地の有効利用とか言って、農地を農民から引きはがすことを平気で称賛している。反対同盟の「農地死守」の原則には、それと闘う中身があります。
 闘い半ばにして反対同盟の先輩たちが無念にもこの世を去りました。市東東市さん、萩原進さん、鈴木幸司さん、鈴木謙太郎さん......、私はそうしたすごい人たちの闘魂を引き継がなくては、と思ってやっています。
 市東さん農地決戦に勝つためには、自分が信念を曲げないことはもちろん、いざ決戦でどれだけの人びとが現場に結集できるかが問われます。それが実際に強制執行を阻止する力だから。
 それを考えると、辺野古で実力闘争が燃え上がり、闘う労働運動が火を絶やさずに続いているということは、とても大事なことだし展望があると思います。

沖縄・福島と連帯
 婦人行動隊 宮本麻子さん

 韓国で闘われているゼネスト報道に接すると、三里塚現地を訪れた労働者たちの顔を思い出して身近に感じ、連帯感が湧いてきます。国際連帯、沖縄・福島・三里塚の連帯、労農連帯の重要さをあらためて感じます。
 日本でもこの夏、国会前には数万人という規模の民衆が集まり安倍の戦争政治にノーを突きつけました。その安倍は今、沖縄・辺野古で座り込みをしている人たちに対し警視庁の機動隊を送り込んでごぼう抜きにし、あるいは原発再稼働を進めて、オリンピックで「安全」キャンペーンを繰り広げています。福祉を切り捨て、企業や金持ちを優遇し、社会の貧困・格差を助長しています。本当に許せません。
 そして、第3滑走路建設には地元の誰もが心から怒っています。「廃村にする気か!」という声が次々上がっています。
 市東さんのお宅に伺うと、離れや作業場に「裁判所が管理する。現状変えるな。使用は許す」という公示書が今でもかかっており、それを見るたびに怒りがこみ上げます。農地取り上げの不当性をますます訴え、絶対に市東さんの営農を守りぬかなければと思います。最高裁に宛てた署名は昨年末に1万筆を超えました。署名・一斉行動で築いてきた地平を今年はもっと発展させ、判決が出ても農地強奪を現場の実力で粉砕する力を蓄えなければなりません。
 2016年、安倍政権の戦争政治を三里塚で打ち砕き、沖縄・福島と連帯する年にします。

時代が変わる予感
 婦人行動隊 木内敦子さん

 市東さんの署名を街頭で集めていると、中学生・高校生の反応がとてもいいことに驚かされます。農家の若い青年が署名したこともありました。三里塚は長く運動をしている人たちにはあまねく知られていますが、若者にも十分通じる内容があると感じました。
 この夏、私が京成線に乗っていると、高校生たちが「今度の休みはどこへ行こうか」「秋葉原?」「俺は国会前に行きたいな」「そうしようか」という会話を交わすのを聞き、時代が変わる予感がしました。
 農地法裁判の控訴棄却は本当に許せない。判決後、市東さんの口調は淡々としていましたが、内に秘めた怒りが伝わってきました。福島でも、沖縄でも、国は人びとの生活と願いをつぶすことばかりを狙っています。
 長い道のりですが、負けないことが勝利につながります。私が参加する福島原発事故被災者支援の避難・保養プロジェクトでは、以前に保養に来た高校生が今はボランティアとして参加するのを見て、「闘いは受け継がれる」と実感しました。三里塚も50年の歴史を刻んできたことを誇りに感じ、「反対同盟ここにあり」という存在感を示したいと思います。
 支援党派のみなさんの責任と奮闘はますます重要です。さまざまな意見を持つ人びとに分け入り対話し、鍛えられることが可能性を広げます。みなさんの奮闘に三里塚の勝利がかかっています。

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