三里塚 〝解約許可は無効だ〟 NAAの農地法悪用暴く

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週刊『前進』04頁(2719号04面02)(2016/02/01)


三里塚 〝解約許可は無効だ〟
 NAAの農地法悪用暴く


 1月25日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で新やぐら裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は〝農地死守〟の決意も固く、新年初の三里塚裁判に臨んだ。
 この裁判は、農地法裁判(現在上告審)で市東孝雄さんが明け渡しを求められている天神峰の耕作地の一角に建つ反対同盟所有のやぐら、看板など四つの工作物の収去を求め、成田空港会社(NAA)が反対同盟を不当に提訴した裁判である。
 今回の法廷では、弁護団の西村正治弁護士が準備書面を陳述した。
 NAAは2006年7月に千葉県知事の「解約許可処分」というお墨付きを得て、同年9月に市東さんに対し土地の賃貸借契約の解約を申し入れ、契約は終了した(だから出て行け)と主張している。その根拠が農地法20条2項2号だという。だが、その許可処分は無効だ。
 反論の機会なく一方的に小作権を侵害するという意味では、農地法20条2項2号自体が適性手続きを保障した憲法31条に違反している。
 この「農地法を悪用した農地収奪」という手口は、空港建設過程の1970年当時にも検討されたが、その悪らつさゆえに断念されたものだ。
 農地法20条はもともと、小作権の保護のために「知事の許可がなければ解約できない」という趣旨であるにもかかわらず、NAAはこれを悪用して農地明け渡しを迫り、市東さんの生存権を脅かしている。空港建設のために親子3代100年続いてきた農地をつぶす、こんな農地転用には何ら正当性、公共性がない。小作者の同意のない解約許可申請、農地転用はありえない!
 さらに弁護団は、新やぐら裁判が同じ千葉地裁民事第2部・岸裁判長のもとで行われている市東さん耕作権裁判と争点が重なっていることを指摘し、耕作権裁判の進行を無視してこの新やぐら裁判を拙速に進めないよう強く念を押した。
 次回期日を5月30日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、反対同盟の伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれ、弁護団がそれぞれ法廷での緊張に満ちたやり取りを解説し、参加者との質疑応答を行った。
 動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、労農連帯を一層強化し、春闘を闘いながら、成田市中心部で開かれる3・27三里塚全国集会に全力で取り組む決意を表明した。
 最後に伊藤さんが、「今年は三里塚50年。反対同盟は軍事空港粉砕、第3滑走路阻止、農地死守を掲げ全力で闘う」と決意を述べ、報告集会を締めくくった。
 午後に反対同盟と支援連は、恒例の千葉市繁華街での情宣活動に立ち、寒風をものともせず、農地強奪を許さない5万人署名を呼びかけた。

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三里塚裁判日程

一坪共有地裁判
 2月18日(木)午後1時30分開廷
 千葉地裁
 (傍聴券抽選のため30分前に集合)

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