福島の怒りで安倍を倒そう 3・11反原発福島行動'16へ ―3― 避難指示解除 年20㍉の汚染地域に帰還強制 被曝労働拒否の闘いで粉砕を

週刊『前進』04頁(2721号03面01)(2016/02/08)


福島の怒りで安倍を倒そう
 3・11反原発福島行動'16へ ―3―
 避難指示解除
 年20㍉の汚染地域に帰還強制
 被曝労働拒否の闘いで粉砕を


 安倍政権は昨年6月、「帰還困難区域」以外の避難指示を17年3月までに解除すると閣議決定した。これを受け、放射能汚染区域に帰還を強制し、被曝を強いる攻撃が強まっている。3・11反原発福島行動16(郡山市)への大結集で帰還強制・被曝強制を打ち破ろう。

放射線管理区域の15倍

 避難指示を解除しようとしているのは「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」である。両地域の人口は約5万4800人。この膨大な人びとに「帰れ」というのだ。また、東電による両区域住民への月10万円の賠償支払いは、18年3月で一律終了する。しかも閣議決定直後に福島県は、自主避難者への住宅無償提供を17年3月で打ち切ると決めた。避難者を〝兵糧(ひょうろう)攻め〟にして帰還させる狙いなのだ。すでに1年後を見据えて、民間アパートなどを利用する「みなし仮設」からの追い出しが始まっている。
 政府・福島県は「除染したから帰還できる」と言う。しかし、その基準は年20㍉シーベルトだ。なんと放射線管理区域の15倍の線量になる。チェルノブイリ原発事故ではロシア・ウクライナ・ベラルーシでチェルノブイリ法が制定され、年間被曝線量が5㍉以上のゾーンでは政府の義務で避難させなければならなかった。1〜5㍉で避難の権利を得られた。特に妊婦や18歳以下の児童は0・5㍉を超えれば避難の権利を有した。「20㍉で帰れ」というのは虐待・虐殺そのものだ。〝命よりカネ〟の新自由主義の極致だ。
 しかも政府は昨年12月、生活圏から20㍍以上離れた森林は除染しないことを決めた。森林は福島県の面積の7割を占める。20㍉まで除染しても、また森林から放射性物質が浸透し、20㍉以上になることは明らかだ。
 安倍政権が帰還を焦っているのは、原発再稼働とオリンピックのために「復興」の仮象をつくりたいためだけではない。何よりも戦争に向け国内を平定する狙いなのだ。福島、そして沖縄、三里塚は、大義を持って国策に立ちはだかり、戦争に突き進む日本帝国主義と非和解に対決している。安倍政権は労働組合を戦争賛美に転向させ、福島・沖縄・三里塚の怒りを圧殺し、戦争翼賛に塗り替えようというのだ。原発事故で膨大な人びとを被曝させておいて、その上、戦争のために汚染地域に帰らせて福島の怒りを押しつぶそうとする。何重にも許されないことだ。

戦争阻止の闘いと一体

 だから、帰還強制を打ち破る闘いは戦争への道を断ち切る闘いでもある。原発と放射能に対する福島の怒りは戦争絶対反対の怒りと完全に重なっている。そういう闘いとして貫けば必ず帰還強制・福島圧殺を粉砕し、逆に原発廃炉・戦争阻止・安倍打倒の巨大な闘争として爆発させることができる。
 そのために、被曝から命を守るためなら被曝を強制する体制を打倒する、という立場を鮮明にさせて闘おう。
 今年はチェルノブイリ原発事故30カ年に当たるが、その教訓を生かさなければならない。チェルノブイリ法ができたのは、ソ連スターリン主義を打倒するまでの運動があったからだ。その運動の魂となったのは、子どもの避難の過酷さに対する全人民の憤怒、そして最も被害にあった100万人とも言われる事故収束作業者の怒りだった。今あらためて福島の怒りをともにし、日本帝国主義の打倒へ突き進もう。
 何よりも、動労水戸の被曝労働拒否・帰還強制反対の闘いを先頭に、労働組合の被曝労働拒否の闘いを強化・拡大し、帰還強制を粉砕しよう。昨年6月の閣議決定では「JR常磐線の早期の全線開通」が明記されており、動労水戸の闘いは戦略的意義を持つ。さらにJR郡山総合車両センターで被曝労働拒否を闘った橋本光一さんを委員長に昨年9月、動労福島が結成された。高浜原発に対しては舞鶴の、伊方原発に対しては愛媛の、それぞれの自治体労働者が、被曝労働拒否・再稼働反対で決起している。
 この被曝労働拒否の闘いをもっと全国に押し広げ、福島の労働者の被曝労働拒否の決起をつくり出していこう。動労総連合を先頭にしてゼネストを打つことができるなら帰還強制など完全に粉砕できる、という確信を持って闘おう。

帰還強制の先兵=共産党

 さらに、帰還強制攻撃が強まっている今こそ、避難・保養・医療の運動を発展させよう。楢葉町は昨年9月に避難指示が解除されたが、帰還は5・7%にとどまる(1月4日現在)。福島県全体の避難者は今も10万人に上っている。その避難者に対し帰還強制、賠償打ち切りの攻撃が襲いかかっている。この避難者と結びついて闘うことは反原発闘争の必須不可欠の課題をなす。ふくしま共同診療所をよりどころにした避難・保養・医療の運動を強めよう。
 帰還強制の先兵となっているのが日本共産党だ。日本共産党の大拠点である福島市のわたり病院の齋藤紀(おさむ)医師は「100㍉シーベルト以下の放射能の影響はきわめて軽微で心配することはない」と公言している。共産党系の原水爆禁止世界大会実行委員会運営委員会代表の野口邦和は、「放射線管理区域に相当する場所に人は住んではいけない。避難させるべきだ」という立場に反対し、「避難ではなく除染対策に力を入れることが行政のすべき対応」(『放射線被曝の理科・社会』)と言う。
 このような日本共産党を許さず、3・11反原発福島行動16に総決起しよう。その全国的力で帰還強制・被曝強制を打ち破ろう。
 (島崎光晴)


放射線管理区域の15倍の線量 表面汚染が1平方㍍当たり60万ベクレルで、おおむね年20㍉シーベルトの被曝線量となる。放射線管理区域は4万ベクレル/平方㍍以上が基準であり、これを超えると放射線従事者は除染しないと区域から出られない。年20㍉シーベルトはこの15倍の線量となる。

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変える力はここにある! 私たちが歴史を動かす!
3・11反原発福島行動'16
 3月11日(金)正午開場
        午後1時開会
        午後3時デモ出発
 開成山・野外音楽堂(郡山市開成1―5 開成山公園内)
 主催 3・11反原発福島行動実行委員会

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