福島の怒りで安倍を倒そう 3・11反原発福島行動'16へ ―4― 核武装めざす安倍打倒を もんじゅの存続狙う規制委勧告 核燃サイクル粉砕へ闘おう

週刊『前進』04頁(2723号03面01)(2016/02/15)


福島の怒りで安倍を倒そう
 3・11反原発福島行動'16へ ―4―
 核武装めざす安倍打倒を
 もんじゅの存続狙う規制委勧告
 核燃サイクル粉砕へ闘おう


 原子力規制委員会は昨年11月13日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)の運転者を半年以内に交代させるよう文科相に勧告した。マスコミは勧告を賛美し、「これでもんじゅの廃炉は不可避」などとしているが、そうではない。規制委の勧告の狙いは、「運転者を交代すれば問題はない」としてもんじゅを存続させることだ。もんじゅと、それを軸とする核燃料サイクルは日帝の核武装のためのものだからだ。朝鮮半島を最焦点に、世界戦争の導火線に火がついた情勢下で核武装を目指す日帝・安倍政権を打倒し、もんじゅ・核燃サイクルを粉砕しよう。

もんじゅで事故が頻発

 規制委の勧告の背後には、もんじゅと核燃サイクルがまったく立ち行かなくなっているという厳然とした事態がある。
 もんじゅと並んで核燃サイクルのもう一方の軸をなす再処理工場(青森県六ケ所村)は、今年3月完成の予定が2018年度上期に延期となった。実に23回目の延期であり、いつ完成するかわからないほどだ。経産省はこの危機に対し、新設する認可法人「使用済燃料再処理機構」に実施主体を移し、国が前面に立って維持する思惑だ(本紙2699号参照)。だが、それも早晩行き詰まるのは明らかである。
 今回問題となっているもんじゅの危機も深刻だ。それは何よりも、3・11福島第一原発事故の衝撃を契機とし、労働者人民の原発と核に対する怒りが一層巨大に噴き出していることだ。
 加えて、もんじゅをめぐって事故や「不祥事」が頻発(ひんぱつ)し、その過程で、もんじゅの恐るべき危険性が隠しようもなく明らかになった(略年表参照)。
 規制委の勧告は、もんじゅをあくまで維持・推進するための〝助け舟〟だ。勧告は「(もんじゅを運営している)日本原子力研究開発機構のもんじゅの運転の主体としての適格性に重大な懸念を生ずるに至った」と「運転の主体としての適格性」のみを問題にしているにすぎない。
 勧告の結論は、「機構が運転の主体であるままでは、原子炉を出力運転することができない」、だから「早急に適切な措置を講ずる必要がある」ということだ。労働者人民の危機感と怒りを「運転主体」の変更でかわし、それで安全が確保されるかのように描き、もんじゅ推進体制の再確立を目指そうというのだ。
 安倍や自民党の〝安全などどうでもいい〟というむき出しの原発・核政策に対し、「安全重視」のポーズで労働者人民の危機感を解体しつつ推進するのが規制委だ。安倍政権・自民党と規制委は〝対立〟を装いつつ、相互に補完し合い一体となって原発・核政策を推進する関係にある。

高速炉は極めて危険だ

 高速増殖炉の真の目的は核兵器の材料になる高純度のプルトニウム239を生成することだ。そしてその本質を隠すために、その過程で発生した熱を利用して発電をする原発という形をとっているにすぎない。
 もんじゅ(高速増殖炉)は普通の原発である軽水炉とさえ比較にならないほど、あらゆる面で危険に満ちたものだ。その中でも破滅的な危険性は、熱を取り出す冷却材に金属ナトリウムを使用していることだ。
 軽水炉は冷却材として普通の水を使う。水は中性子を減速させる性質を持ち、軽水炉にとってはその性質が不可欠だ。それに対し、高速増殖炉は冷却材に液体状にした金属ナトリウムを使用する。プルトニウム239を得るためには、中性子を減速させずに高速でウラン238にぶつけることが必要である。高速増殖炉の「高速」とは「高速中性子」を利用することに由来する。それが可能で、冷却材としても活用できるのは金属ナトリウムだけなのだ。
 しかし、金属ナトリウムは極めて危険な性質を持つ。水と反応すると激しく爆発し、酸素に触れると燃え出すのだ。だから水をかけることは絶対禁止だ。1995年の火災事故では650㌔グラムのナトリウムが噴出したといわれ、手がつけられない事態となった。もんじゅには約1600㌧のナトリウムが入っており、これが爆発・炎上すれば原子炉が大爆発し核物質を大量放出する、3・11をもはるかに上回る大惨事は避けられない。

検討会は勧告無視公言

 核燃サイクルの目的は核武装のための軍事用プルトニウムの確保だ。だから日帝は、もんじゅと再処理工場の維持になりふり構わず突き進んでいるのだ。
 規制委の勧告を受けて設置された文科省の有識者検討会の2回目の会合が1月28日に開催され、読売新聞論説委員の井川陽次郎は「規制委の勧告が絶対的に正しいと考える必要はまったくない」と言い放った。〝勧告など無視してこのまま突っ走れ〟という、安倍の意を受けた発言であることは言うまでもない。川内原発が再稼働した後に、九州電力が免震重要棟の建設を撤回し、それを規制委が黙認したように、日帝・安倍と規制委は相通じつつ、もんじゅ・核燃サイクルを維持しようとしている。
 1月11日付の米『ニューヨーク・タイムズ』によれば、アメリカは新型核兵器「B61モデル12」を開発中という。これは高性能コンピューターを搭載し、難しい標的にも命中率を高めることを可能とし、標的に応じて核爆発の威力や放射能の影響範囲を抑えることができると言われる。この新型核兵器は、核兵器の実戦使用を目的に製造されたものだ。しかもこれがいったん使用されれば、より破壊力の大きい核兵器の使用にまで行き着くことは不可避だ。北朝鮮の核実験、「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射実験を口実に、米・日帝が狙う朝鮮侵略戦争・核戦争を絶対に阻止しよう。
 階級的労働運動・ゼネストと国際連帯こそ、労働者人民を非正規職と貧困に突き落とし戦争・核戦争に突き進む帝国主義を打倒する道だ。動労総連合を全国に建設し、それと一体で、動労水戸とともに被曝労働拒否を貫く舞鶴、愛媛の自治体労働者の闘いを福島・全国に広げることが、核燃サイクルも原発もなくす力だ。
 そのためにもフクシマとつながり、ともに闘うことが大切だ。帰還強制・福島圧殺を絶対に許さず、3・11反原発福島行動16(郡山市)に大結集しよう。
(北沢隆広)

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略年表 事故続出のもんじゅ

85年 10月 本工事開始
94年 4月 臨界達成
95年 8月 発電開始
   12月 ナトリウム漏れ・火災の大事故
10年 5月 試験運転再開
   8月 燃料交換用機器が落下する重大事故。運転中止
12年 11月 約1万件の機器の点検漏れが発覚
13年 5月 原子力規制委員会が運転再開停止命令
   9月 日本原子力研究開発機構が「未点検は解消」と発表
   10月 再び点検漏れが発覚
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