反原発3・11郡山集会へ 福島からの訴え② 原発労働者と結びつき闘う 動労水戸平支部/いわき市 川俣辰彦さん

週刊『前進』04頁(2723号03面02)(2016/02/15)


反原発3・11郡山集会へ
 福島からの訴え②
 原発労働者と結びつき闘う
 動労水戸平支部/いわき市 川俣辰彦さん




 ――まず、いわきの状況を教えてください。
 いわき市には原発事故の避難者が今も約2万4千人います。例えば大熊町は3・11直後、多くの町民が会津に避難した。けれど会津は冬場の積雪など気候風土がまったく違い、「温暖な浜通りがいい」と、今では4割以上がいわき市にいる。
 政府は「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」の避難指示を来年3月に解除しようとしている。1年後には月10万円の賠償も打ち切り、「帰れ、帰れ」と強いるものです。
 経済再生相になった石原伸晃は、中間貯蔵施設建設をめぐって「最後は金目(かねめ)でしょ」と暴言を吐いた人物。その言葉に象徴されるように、すべてをカネで支配しようとしている。
 原子力規制委員会は2月10日、県内のモニタリングポスト(放射線監視装置)約3千台の配置を見直す方針を決めた。同じ日、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)は「原発事故で発がん率が明確に上がるとは予測されない」と発表した。子どもが次々甲状腺がんになっているにもかかわらずです。内堀雅雄県知事は「風評被害の払拭(ふっしょく)」を掲げているけれど、「私たちは風評被害ではなく実害を受けているんだ」と強く言いたいです。

復興宣伝に抗し

 子どもたちを利用した「復興」の演出も許せません。昨年4月、広野町の福島第一原発から25㌔地点に「県立ふたば未来学園高校」が開校した。うたい文句は「復興の担い手育成」。募集人員120人に対して152人が出願し、入試を行わず全員入学させた。「応援団」に自民党の小泉進次郎や宇宙飛行士の山崎直子、『五体不満足』著者の乙武洋匡などを並べ、彼らの授業が受けられることを売りにしている。広野町は避難指示解除から4年近くたっても戻った町民は3〜4割。その町に高校生を通わせる。おぞましい光景です。
 楢葉町の昨年9月の避難指示解除当日には同町の「あおぞらこども園」で「復興祈念式典」が開かれた。新聞に載った写真は、大人たちが白々しい笑顔を見せる一方、子どもたちは一人も笑っていなかった。解除から4カ月たっても戻った人は5・7%だけ。ほとんどの人が「戻れない」と考えているんです。

常磐線延伸反対

 南相馬市は今年春、小高区と原町区南部の避難指示解除準備区域と居住制限区域の避難指示を解除しようとしている。それに合わせてJR東日本は常磐線をさらに延伸し、「帰還」の旗振り役になろうとしている。原発の北側、小高駅―原ノ町駅間を今年春に、浪江駅―小高駅間を来年春に運転再開するというのがJRの方針。延伸に向けて原ノ町運輸区に運転士や車掌を異動させることも狙われている。
 動労水戸はこの間、常磐線延伸に反対して闘い続けてきましたが、今年こそが正念場です。
 ――平(たいら)支部は原発労働者ともつながってきていますね。
 第一原発の収束作業に携わっている労働者は今も約7千人。1日の実労働時間が2時間に満たない高線量のところもあり人数が必要なんです。彼らは「原発の状況は3・11の時と何も変わってない」と言う。労働をとおして「3・11」に日々向き合わざるを得ない。
 彼らが身をていして収束作業にあたってくれているからこそ、私たちは日常生活を送ることができている。彼らの健康被害や、賃金・住居・労働条件などの問題は、すべての労働者が取り組むべき課題です。

被曝労働を拒否

 彼らとつながることができたのは、動労水戸が「当たり前の労働運動をやっている労働組合」だから。動労水戸は職場で被曝労働と対決して闘いながら、「労働者も住民も被曝させない」と常磐線延伸に反対してきた。いわきで年2回ぐらい集会やデモを行い、そのたびに駅前や仮設住宅でビラを配ってきた。いわき合同ユニオンも青年労働者の不当解雇や賃金未払いと闘い、着実に組織拡大を実現してきた。まさに「継続は力」で、そうした活動を知り、連絡してきてくれた。国鉄分割・民営化に絶対反対、階級的団結、反合理化・運転保安闘争路線という原則を貫いているからこそ、原発労働者とつながることができている。
 3・11以降、動労水戸が被曝労働に反対してストで闘う中で、JR採用の青年3人が加入してくれた。被曝車両K544の検修拒否の闘いをとおして勝田支部の照沼君が、放射能に汚染されたラジエーターの清掃を拒否する闘いの中で大子(だいご)支部の羽部君が加入。3人目の會澤君はライフサイクルに反対してストに立ち、彼の「自分のためだけでなく後輩やこれからの世代のために闘う」という訴えが多くの青年の心に響いている。昨年末にはMTS(水戸鉄道サービス)から新組合員の加入も実現した。こうした前進に続き、平支部もいわきで組織拡大を実現したい。
 ――3・11行動を呼びかけた思いは。
 今年は金曜日ですが、われわれはあくまでも「3・11を忘れない。風化させない」と、当日にやります。みなさん、郡山に集まって一緒にデモしましょう。とりわけ新たに動労総連合に加わった動労福島と動労神奈川、動労総連合・新潟の仲間とともに闘いたいと思います。

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