「解雇撤回・JR復帰」の新署名運動を全国の職場で展開しよう 国鉄闘争で労働運動を変える!

週刊『前進』02頁(2726号01面04)(2016/02/25)


「解雇撤回・JR復帰」の新署名運動を全国の職場で展開しよう
 国鉄闘争で労働運動を変える!

JRに直接に解雇撤回迫る「本丸決戦」だ

 2月14日、国鉄分割・民営化による不当解雇から29年を迎えた国鉄集会(全国9カ所で開催、関西は15日)で、国鉄闘争全国運動は1047名の解雇撤回と採用をJRに求める新たな署名運動を開始した。1047名解雇撤回闘争は、ついに本当の相手であるJRを相手取る本丸の闘いに入った。
 国鉄が分割・民営化されJRが発足する過程において、国鉄改革法によって「国鉄とJRはまったくの別法人」「職員は国鉄を退職したのち、JRに新規採用」と規定された。列車、線路、駅などの設備も労働者もすべてそのままJRに移しながら、「新規採用」の名のもとに都合の悪い労働者を自由に選別して解雇する仕組みをつくったのだ。国鉄分割・民営化は、この国家的なペテンによって労働運動を解体し、解雇自由への扉を開く巨大な攻撃だった。
 「こんな解雇がまかり通れば、労働者の権利も労働組合の存在意義も奪われてしまう」。この強烈な危機感と怒りが解雇撤回の闘いを生み出した。しかし、最高裁は2003年に「解雇が不当だとしてもJRに責任はない。責任が生ずるとすれば旧国鉄だ」という判決を確定させた。この状況の中で動労千葉は、「真実を徹底的に暴き出すことでJR復帰への風穴を開ける」という決意で旧国鉄=鉄道建設公団(現鉄道運輸機構)を相手に裁判闘争を継続した。それが動労千葉の鉄建公団訴訟だ。そして昨年6月、ついに選別解雇の基準そのものが不当労働行為、違法なものであったことを最高裁に認めさせたのだ。
 それだけではない。この裁判闘争の中で、不当労働行為と認定された選別解雇の基準の作成を指示したのは、JR設立委員長の斎藤英四郎であった事実を暴き出した。国鉄改革法では、「職員の採用についてJR設立委員会が行った行為は、JRが行った行為とする」と規定されている。つまり、不当解雇の法的責任がJRにあることが明確になったということだ。
 動労千葉は、「国鉄とJRは別会社」という国鉄改革法の壁を突き崩し、あらためてJRに直接「解雇撤回・JR復帰」を要求する新たな闘いにうってでている。

既成労働運動の敗北主義を打ち破る武器

 動労千葉を先頭とする闘いは、国鉄分割・民営化に労働者の側から決着をつけて労働運動を再生する大きな展望をつかみとった。それは、労働運動に蔓延(まんえん)してきた「敗北主義」をのりこえ、「国鉄分割・民営化は打ち破れる攻撃だった」ことを証明した。
 「国家権力の全体重をかけた攻撃には勝てない」「国鉄改革法は打ち破れない」。そういった思想に陥った国労などの労働組合幹部は、「政府と話をつけて一定の決着をつけるしかない」という政治決着・和解路線へと行き着いた。闘う労働者の存在や団結、裁判闘争などすべてが和解のための手段にされた。そして2010年、謝罪も解雇撤回もないまま、政治決着のために労働組合の側が国鉄分割・民営化を「正当だった」と認めて闘いの旗を降ろしてしまった(4・9政治和解)。
 動労千葉は、たとえ困難であっても「国鉄分割・民営化は絶対にあいまいにできない」と真正面から闘い続けた。この問題を見過ごしたら、労働者の権利がどれほど破壊されてしまうのか。労働組合として闘いの社会的意味を常に訴え、それを組合員がつかんだからこそ、激しい攻撃の中でも団結を守って闘いぬくことができたのだ。そして現在、「国鉄闘争の最後的な終焉(しゅうえん)」を狙った昨年6月30日の最高裁決定をものりこえ、新たな闘いに踏み出すところまでたどり着いた。
 動労千葉の闘いとった不当労働行為の認定は、「国鉄分割・民営化は国家的不当労働行為」「1047名の解雇は不当解雇だった」ということに一つの根拠を与えた。それは、全国の労働者が職場で直面している同様の解雇や処分に対して、「不当解雇だ」という根拠と自信を与える力がある。新署名運動を、敗北主義をのりこえて職場から労働運動をよみがえらせていく武器にしよう。

戦争・改憲と労働法制改悪を粉砕しよう

 この新たな闘いは、民営化・外注化・総非正規職化という現在始まっている国鉄分割・民営化以来の社会の大転換攻撃と対決する闘いでもある。だからこそ国鉄闘争の旗をここで降ろすことは絶対にできない。
 2015年は労働者にとって時代の大きな転換点となる年になった。安保・戦争法案が強行採決される一方で、国会前は数カ月もの間、怒りの声に包囲され続けた。まさに社会の在り方を根本から変え戦争へと進もうとする攻撃に対し、これまで抑えられ続けてきた労働者の怒りや行動力がわきあがった。労働運動を変革する条件は、間違いなく生み出されている。
 しかし、その陰に隠れるように労働者派遣法の大改悪が強行された。新聞報道でも「1985年(派遣法制定)以来の転換」と報じられている。国鉄分割・民営化から社会の在り方がまったく変えられてしまったように、これまでとはまったく質の違う攻撃が始まっていると見なければならない。
 かつて日本労働運動は、国鉄分割・民営化がそれ以前とは質の違う攻撃であることを捉えることができなかった。国労幹部などはそれまでの延長線上で、「分割・民営化などできるはずがない」「嵐が通り過ぎるまで待てばいい」と考えていた。その結果、24万人の国労組織がJR発足時には4万人にまで削られてしまった。それ以降、労働運動がどれほど後退を強いられてきたのか。同じ轍(てつ)を踏んではならない。
 派遣法大改悪から始まろうとしている社会の大転換に対して、具体的な反対運動をつくりあげるためには、国鉄闘争を本格的に発展させる以外にない。この運動のもとに怒りを結集し、国鉄分割・民営化に労働者の側から決着をつける。そして労働運動の力を取り戻し、戦争・改憲と労働法制大改悪という社会の大転換攻撃と対決する。その意味において新たな署名運動は「単なる署名運動をこえた署名運動」だ。職場・地域に、「解雇撤回・JR復帰」を直接JRに求める署名を持ち込み、全国闘争としての国鉄闘争の新たな発展をかちとろう。

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