新しい労働者の政党を 派遣法粉砕!非正規なくせ! 座談会 7月選挙戦へ鈴木弁護士、斎藤全学連委員長、青年労働者が大いに語る

週刊『前進』02頁(2728号01面01)(2016/03/03)


新しい労働者の政党を
 派遣法粉砕!非正規なくせ!
 座談会 7月選挙戦へ鈴木弁護士、斎藤全学連委員長、青年労働者が大いに語る

鈴木たつおさん

 第二東京弁護士会所属。許すな改憲!大行動代表呼びかけ人。日放労(NHK労組)長崎分会委員長の頃、原子力空母佐世保寄港阻止闘争に組合あげて決起し、15年間の裁判闘争の末、不当解雇される。1991年弁護士に。動労千葉顧問弁護団や法大学生弾圧事件の弁護を担い、非正規労働者の解雇撤回や法大裁判での無罪判決をかちとる。2014年東京都知事選と衆院選に立候補。

斎藤いくまさん

 全日本学生自治会総連合(全学連)委員長。2007年、法政大学法学部入学。大学の民営化・商業化への反対活動に決起。法政大学文化連盟の委員長として、キャンパスでの38人逮捕に抗議し170時間のハンガーストライキ(断食)を行うなど法大闘争の先頭に立つ。10年に退学処分。11年より全学連委員長となり、全国大学での学生自治会再建に挑戦している。反戦闘争を最前線で闘う。


 7月選挙戦に向かって戦争・改憲、労働法制改悪、貧困・非正規職問題を巡り情勢は激動しています。労働者人民が「生きさせろ!」と叫び、安倍政権の危機が深まる一方、日本共産党の「国民連合政府」構想も破綻しました。安倍打倒を掲げ7月選挙戦に臨む鈴木たつお弁護士、斎藤いくま全学連委員長が青年労働者と座談会を開き、大恐慌下で新自由主義の破産にどう立ち向かうか、新しい労働者の政党とは何かをテーマに大いに語り合いました。(編集局)

出席者
鈴木たつおさん(弁護士)
斎藤いくまさん(全学連委員長)
赤堀春人(青年/派遣労働者)
堺 令奈(青年/自治体労働者)

命奪う社会の変革へ学生・青年ひとつに

新自由主義の破産

 司会 今、新自由主義の破産した現実にどう立ち向かうかが問われています。16年冒頭、軽井沢スキーバス転落事故という衝撃的な出来事が起きました。亡くなったのは65歳の非正規職の運転手をはじめ乗員2人、さらに法政大学の学生4人を含む大学生13人です。金もうけのために安全が切り捨てられ労働者・学生が殺されています。
 斎藤 法政大学の中では議論しにくい雰囲気になっています。一方で非正規雇用という労働環境が学生自身の命に直結する問題だと意識され始めている。バス労働者の労働条件はこれから社会に出る学生の労働条件の話でもあります。「社会を動かしているのは労働者なのに、これほど命が軽んじられる社会とは一体なんなのか」「新自由主義を倒さなければならない」と訴えています。
 鈴木 「希望にあふれ日本の未来を背負っていた」学生たちの命が失われたというマスコミの報道に、私は強い違和感を持ちました。現実は、学生も同世代の青年労働者も、またバス労働者も、無権利のきわみにおかれ未来を奪われている。だけど学生だけを切り離し、権力や資本が奪い去った希望や未来を今さら語っている。実に悪質で、しかし見え透いた分断キャンペーン。ここでも法政大学の加担ぶりが目立っていました。
  非正規職に突き落とされ職場でものも言えない構造が事故を生み出している。組合をつくって現場で声を上げなければ労働者は殺されてしまう状況です。
 斎藤 大学はここ十数年で変質し、就職予備校のようになっています。卒業したら数百万円もの奨学金の返済に追われ、過酷な労働現場に放り出される。それでも「がんばれば正社員、がんばらなかったら非正規職」という意識に縛られている。これをうち破るかどうかの勝負です。学生という存在も労働者階級の一員だという立場で訴えることが大事です。
  「Sアミーユ川崎幸町」の転落死事件では青年介護労働者が「殺す側」にさせられている。「保育園落ちた日本死ね!!!」とブログに掲載した女性労働者の怒りは瞬く間に広がっている。労働者の誇りが奪われる悔しい現実。この原因は国鉄分割・民営化にあります。それを言えるのは私たちだけです。韓国のセウォル号事故で、民主労総は起こることすべてに責任をとる立場で立ち上がり、全人民が民営化・非正規化は悪いという意識になった。私たちもそういう闘いに挑戦する時です。
 司会 学生も青年も労働者階級として一つになって闘うことが求められています。非正規職撤廃闘争が重要な課題ですね。
 鈴木 安倍政権は同一労働同一賃金と言いだしています。しかしそれは「同一価値労働」にすり替えられ、誰がその「価値」を決めるのかに帰着する。非正規職問題は暴動が起きて不思議でないほど深刻であることを彼らは知っています。だから、ペテン・ごまかしに必死だ。鈴コン分会の闘いが典型的なように、非正規職闘争の成否は、結局は団結の問題。どんな少数でも職場に足をおいた組合であれば、いろいろ思い切った闘いができる。激増している非正規公務員でも、不当労働行為を追及し勝利した闘いが現れています。

怒りの決起と団結は絶望を希望に転じる

革命への水路

 赤堀 派遣法改悪で派遣労働者は3年で首を切られる。ものすごい団結破壊です。職場で「希望は組合」と語り返ってきた言葉は「絶望しかないのか」。どうしたら絶望を希望に転じられるか。
 斎藤 私が法大闘争に立ち上がった時は、絶望から1周回って「全部ひっくり返してやる、俺が死ぬかお前(大学当局)が死ぬかだ」という感じでした。大事なことは、闘いたいと思った人がいた時にそこに僕らがいること。野党共闘は完全に崩壊し、人民自身が本物を求めている。まず闘いをちゃんと継続して貫くことです。
  この社会に対する怒りで決起して、団結が見えた時、それが展望になる。労働運動で団結を示していきたいです。
 鈴木 乱暴な言い方をすると、若者は常に絶望の中にいる。「希望に満ちた青年」などがいるとすれば、一握りのブルジョアの御曹司くらいか。1939年の独ソ不可侵条約に反対してフランス共産党を脱党したポール・ニザンは、〝20歳が一生でいちばん美しい年齢などと誰にも言わせない〟と書き残した(この語は70年闘争の合言葉の一つ)。悩みもがき、絶望と希望のはざまで苦しみ、人生の選択として革命をつかみとる。中国の魯迅(ろじん)も「絶望の虚妄なること希望と同じ」と日記に書いている。私たちも、青年のこの「絶望」を共有しつつ「希望」を体現することではないか。
 一同 なるほど。
 鈴木 2月の日弁連の会長選挙でも同じことがテーマになりました。弁護士も極度のワーキングプアで、年収70万円以下が5千人余りもいる。どうしたら弁護士の生活と未来を奪い返せるか。歴代日弁連執行部が「司法改革」に屈服しその先兵となり、弁護士の生活と権利を権力に売り渡してきたからだ、その打倒だと議論を重ねました。これは今の司法のあり方に対する「絶対反対」から導かれる具体的な行動提起です。極右・稲田朋美(自民党政調会長)に献金する企業派弁護士と、それを支持する日本共産党系弁護士派閥と闘い抜き、高山俊吉さんが5千票を獲得しました。私はこの闘いを通じて、革命への水路を見ました。
 赤堀 革命への水路をどうつくるのか。職場の人にあれこれ言うけど、最終的には「どういう社会にするんだ」と根本的な問いが返ってくる。社会を根本から変える、つまり革命という問題を本格的に提起しなければ希望を示せない。今回の選挙戦で労働者の党建設自体がものすごい展望です。
 鈴木 職場の皆は、私たち自身が人生を労働者の解放にかけているか、ずっと見ています。僕がNHK長崎分会で闘い出した時も、〝どうせ東京から来たディレクターだから俺たちを踏み台にしてまた東京に戻るんだろ〟とながめていたという。だけど、日々の職場での管理職とのどなり合いや佐世保闘争とかを懸命にやっている中で信頼関係ができてくる。もう一つ、われわれは失敗しても絶対にほかの労働者のせいにしない。自分のいたらなさとして総括する。革命家の根本的あり方でしょう。革命は皆でやるもの、そして労働者は絶対に俺といっしょに決起すると信じるからです。

戦争反対、国際連帯貫く労働者党つくる

反スターリン主義

 司会 あらためて労働者の政党とは何でしょうか。
 斎藤 まず労働者がぶち切れた時にそれが正しいと言い張る政治勢力だと思います。労働者が社会の主人公だと徹底的に訴え、体現する。
 鈴木 「政治的結集軸」、あるいは「力ある政治勢力」という言葉が非常に大事だと思います。「力ある」というのは、この社会の主人公である労働者、労働組合運動に絶対的に軸足を立てるということです。と同時に、それを中心に全人民を結集させていく、それが労働者の政党だと思います。そもそも政党とは、全人民の多くを獲得しながら国家権力に到達し、綱領に従って社会をつくり変える組織とされます。今この日本で、はたして労働者の利益を代表する党はありますか。共産党は「国民の党」、民主党は「資本家と労働貴族の党」、社民党は「市民の党」です。労働者全体の利益を代表する労働者階級の最高の団結形態・意識形態としての党を建設することが革命にとって緊急の課題になっていると考えます。
  例えば昨年11月の大阪ダブル選挙でも問われたように、橋下・維新か自民党かと支配者を選択するのではなく、新しい労働者の政党をつくることが求められていますよね。
 鈴木 そうだと思います。われわれはプロレタリア革命をめざす党だとはっきりさせていかないと。日本共産党の「国民連合政府」構想が破綻したように、戦争反対の党でもなくなってしまう。戦争か革命の時代、労働者の政党を人びとは本当に求めている。14年末の衆院選・杉並での街頭宣伝で非常に手応えがあった。徹底的に戦争反対と国際連帯を貫く党。スターリン主義の反労働者性をきちんと提起する。歴史が今、私たちに迫っている課題でしょう。
 赤堀 職場で闘っている僕らこそが、選挙で真正面から新しい労働者の政党をつくると訴え切る。
 鈴木 青年労働者が主体として圧倒的に登場すること自体が、新しい労働者の政党をつくる課題を解決していける。
 司会 ともに闘っていきましょう。ありがとうございました。

このエントリーをはてなブックマークに追加