白タク合法化阻止を 特区で労働と安全が崩壊

週刊『前進』04頁(2735号02面03)(2016/03/28)


白タク合法化阻止を
 特区で労働と安全が崩壊


 3月8日、東京日比谷公会堂を埋めつくす2500人余の大結集で「安全破壊の白タク合法化阻止!ハイタク労働者総決起集会」が開催され、銀座、東京駅までデモ行進が行われた。全自交、自交総連、KPU(関東旅客自動車交通労組)、交通労連ハイタク部会、私鉄総連ハイタク協議会などタクシー関連労働8団体の集会とデモであり、画期的な産別運動の高揚を示す息吹きはテレビや新聞でも報道された。
 「白タク合法化」は、金もうけ最優先のIT産業による自家用車のライドシェア=(相乗り)導入策動であり、楽天・三木谷浩史社長を急先鋒(きゅうせんぽう)とする新自由主義の究極の規制緩和攻撃だ。欧米などでは数年前から普及する一方、アメリカで最大のタクシー会社・イエローキャブが倒産したり、自家用車運転者の乗客に対する誘拐・暴行事件、事故・補償問題などをめぐる訴訟が多発し、ドイツやインドなどでは業務提供の停止命令がなされたりしている。
 そうした中、シェアリング・エコノミー(共有型経済)の推進を成長戦略の柱の一つと位置づける安倍政権のもとで「民泊」とともに白タク合法化攻撃が急進展している。IT産業の仲介システムを通して自宅の空き部屋を旅行客らに貸し出す民泊は、国家戦略特区のもとで今年早々からすでに運用開始(東京・大田区)されている。白タク合法化も「過疎地域での主として外国人観光客ら」を自家用車で有償送迎する特区法改正案として3月11日に閣議決定され、今国会に提出されようとしている。
 当面は運送主体が特定非営利活動法人(民間会社は不可)に制限されているものの、これを水路に全国に拡大され、運送対象も運送主体もいずれ無制限にされることが狙われている。労働者の労働・生活破壊につながることは必至だ。1985年制定の労働者派遣法が「対象限定」から「原則自由」に拡大・改悪されたように、すでに用意されている道路運送法の特例案には「過疎地」の文言はなく、国家戦略特区全域(東京圏、関西圏、広島、沖縄など10区域)で「外国人観光客その他」を自家用車で有償輸送できるとなっている。
 交通運輸産業においては、こうした新自由主義の規制緩和と安全破壊は今年1月の乗員・乗客15人死亡の軽井沢バス事故のような大惨事に直結する。軽井沢バス事故や2012年4月の関越道バス事故(7人死亡)は、00年に強行された貸切りバス事業での規制緩和が引き起こしたものだ。99年当時2336社だった貸切バス会社が14年には4477社に倍増した。過当競争、ダンピング、法令違反、安全崩壊、重大事故の連鎖こそ規制緩和の当然の帰結だ。タクシー産業における白タク合法化は、こうした安全崩壊と重大事故・事件多発の連鎖をもっと激烈に引き起こすであろう。
 新自由主義と規制緩和攻撃の一切の出発点は87年の国鉄分割・民営化にあり、それがひき起こした歴史的大惨事が05年4月のJR西日本の尼崎事故(107人死亡)だった。動労千葉は「闘いなくして安全なし」を掲げ日本と世界の労働者の利害、進むべき道筋を示すものとして30年にわたり国鉄分割・民営化反対、解雇撤回、総非正規職化反対を闘い続けている。
 動労千葉の闘いに続き、闘う労働組合の復権をかけて、タクシー労働者は白タク合法化絶対阻止を自らの職場で訴えて闘おう。安倍政権による戦争・改憲攻撃の一環としてかけられる新自由主義による規制緩和・安全破壊と労働者の労働・賃金・生活破壊としてある白タク合法化攻撃に対して、ストライキを構えて闘う産別労働運動の発展をめざし、すべてのタクシー労働者は全国労働組合交流センター・民間交運部会に結集してともに立ち上がろう。
(東京 タクシー労働者・F)

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白タク 白ナンバーの自家用車を用い、二種免許を持たず無資格で営業すること。

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