焦点 アベノミクス葬り去れ! 深まる大恐慌と日帝の危機

週刊『前進』02頁(2740号02面03)(2016/04/14)


焦点
 アベノミクス葬り去れ!
 深まる大恐慌と日帝の危機


 世界大恐慌は「底なし」と言っていいほどに激化・深化している。日米欧帝国主義は利潤率の低落やマイナス金利をもたらしている過剰資本・過剰生産力の問題をどうしても解決できず、それに中国スターリン主義の巨大な過剰設備・過剰生産能力の矛盾が爆発して、世界経済は1930年代を完全に超える長期の大不況にあえいでいる。
 このことを基底に、中国やロシアを含め、帝国主義間・大国間の相互の生き残りをかけた争闘戦がいよいよ激化している。大恐慌は今や、一方で東アジア・朝鮮半島を最火点に、世界戦争へと転化しつつあり、他方では全世界的にゼネスト情勢・革命情勢を生み出している。
●米、中国、欧州の危機激化
 米帝の昨年12月の利上げは、特に新興国経済に資金流出と通貨安の大打撃を与える一方で、米国内では自動車のサブプライムローン(信用力の低い低所得者向けローン)や、ハイイールド債(高リスク・高利回りの債券)など、バブル再破綻の危機が深刻化し、ドル高が米製造業を直撃した。このため3月の追加利上げは見送られ、今後もまったく不透明な状態である。
 さらに、「世界の工場」「世界の市場」として帝国主義・新自由主義の延命を支えてきた中国スターリン主義経済は、不動産バブルと上海株バブルの崩壊で、大失速・大減速に突入している。輸出入の激減、積み上がった官民の不良債権、資本流出などの複合的な危機の根底にあるのは、鉄鋼、石炭、造船など全製造業のとてつもない過剰設備・過剰生産能力である。今やこの中国と新興諸国の危機が、帝国主義をも巻き込む大恐慌の一大震源地となっている。
 欧州・ユーロ圏もデフレが深刻化し、不良債権が大手銀行の経営を圧迫している。イタリアでは銀行の貸出残高の5分の1近くが不良債権化し、最大手のウニクレディト銀行の株価は1年間で40%以上も下落した。欧州最大手のドイツ銀行株は47%も下落した(3月下旬)。日銀に先行してECB(欧州中央銀行)が採用したマイナス金利政策も、完全に行き詰まった。
 欧州は、歴史的な製造業の衰退と崩壊、高失業率などに加えて、全般的な銀行不安・信用危機にも直撃されているのだ。
●争闘戦で没落を深める日帝
 自動車や電機などの輸出・投資とその収益に依存する日帝経済も、危機は深刻だ。4月1日発表の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)によれば、景気の先行きが「悪化する」と予測する企業が増えている。
 資源価格の下落で三菱商事は4100億円、三井物産は2300億円の損失を出し、3月期決算が赤字となった。両社の赤字転落は戦後初の事態だ。シャープは台湾企業に買収され、東芝は資産を切り売りするなど、大手電機企業の争闘戦での敗退と没落は日帝危機の象徴だ。
 昨年10〜12月期のGDP(国内総生産)は実質で前期比1・4%減(年率)のマイナス成長となった。16年1〜3月期もマイナスが不可避である。1995年をピークに生産年齢人口(労働力人口)が減り続け、労働者階級の賃金も1997年と比較して15年には13%程度も減少している中で、個人消費やGDPが上向くはずがないのだ。
●日銀が国債を全部引き受け
 「アベノミクス」はとっくに破綻し崩壊している。非正規労働者の比率は4割に達し、多くの青年労働者が、低賃金で結婚できず子どもを生み育てることもできない状況だ。ところが資本はさらに総非正規職化を狙っているのだ。「保育園落ちた日本死ね!」「生きさせろ!」の怒りが全国に満ちている。
 黒田日銀のマイナス金利は「アベノミクス」崩壊の象徴であり、財政出動、ゼロ金利、金融緩和(量的緩和)や、「成長戦略」などの大恐慌対策が、すべて破産した結果である。資本主義・帝国主義の断末魔のあがきそのものだ。しかも円高が進行し、株価は激しく下落している。株取引の7割を占める海外マネーが売り越しているのだ。
 追い詰められた安倍政権は「財政再建」などそっちのけで、ますます国債発行に依存を強めている。国債などの国の借金は1000兆円を超える。そのうち日銀の持つ国債残高は約353兆円で、安倍政権の3年間で3倍化した。すでに日銀は国債発行のほぼ全部を金融機関から買い取っており、どんどんお札を印刷して財政の穴埋めをし、それを中央銀行が全部引き受けるという、財政破綻・国家破滅の道にのめり込んでいる。
 外注化・総非正規化、戦争・改憲、労働法制大改悪に突き進む安倍を、国鉄決戦を基軸に7月選挙決戦で打倒しよう。

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