闘いは進む 青年の職場から 交通 資本のやりたい放題と闘い安全守る組合を 東京 伊吹知弥

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週刊『前進』02頁(2740号02面04)(2016/04/14)


闘いは進む 青年の職場から
 交通 資本のやりたい放題と闘い安全守る組合を
 東京 伊吹知弥


 私は私鉄の路線バスの運転手です。今年1月の軽井沢スキーバス事故の報道で、転落直前の走行中のバスの映像が公開されています。不慣れな大型バスの運転の上に山道の下り坂、スピードが落ちない中で必死にハンドルを握りカーブを曲がろうとするドライバーの姿が目に浮かびました。そして、こんな状況を労働者に強制する新自由主義を許せないという思いが込み上げてきました。
■睡眠4時間で安全を守れるか!
 路線バスの職場でも闘わなければ安全を守れません。厚労省のバス労働者の改善基準告示には、「拘束時間について、13時間を基本とし、増務(残業)などにより16時間まで認める」「前日勤務終了から翌日勤務開始までの開放時間は、最低でも8時間取らなければならない」とあります。職場は、拘束時間については所定ダイヤで16時間近く、開放時間についても8時間ギリギリの現状です。これでは勤務を終了して家に帰り、お風呂に入って食事をすれば、睡眠時間は4時間程度になってしまいます。乗客の生命を預かっているバス運転手が、睡眠4時間でいいものでしょうか?
 また、終点到着から発車までの手待ち時間(折り待ち時間)も、4、5分しかない場所があり、渋滞や多客で遅れれば、終点に到着してすぐに発車(着発)になります。精神的にも余裕がなくなり事故を招きます。
 生命より金もうけのために、法律に抵触するかしないかのギリギリまで、あるいは抵触してまで労働者をこき使うのが資本の本質なのです。
■免許取得も規制緩和
 さらに、大型2種免許(路線バスなどの営業用の車を運転する免許)取得が運転手不足を口実に規制緩和されたことも問題です。以前は、免許試験場での一発試験でしか取得できませんでした。大型車の経験を積まないと免許を取れなかったのです。それが大型経験なしに教習所で取れるようになった。車両感覚(特に左側)もままならないため、事故が多発しています。バスの運転手不足を規制緩和で解消することなど、破綻しています。低賃金・過重労働のために職場を辞めざるを得ないのです。労働組合が賃上げという生きるための闘いをしない限り、現状は打破できません。
 また最近は、ツアーバスの車両火災が頻発していますが、これはバスの稼働率の問題です。バスにも一定程度の休息が必要です。ところが、とことんもうけるために絶えず使い続ける。路線バスでも朝の始発バスが午前4時から、夜の最終バスが午前2時まで稼働しています。故障と事故で使えなくなる車が多く、その度にギリギリの配車が余儀なくされ、まともな運行もできません。
 資本のやりたい放題を許さず、労働者と乗客の安全を守るために闘うのが労働組合です。しかし、職場の労働組合は労資一体、帝国主義労働運動です。闘う労働組合を復権したいと思います。

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