安倍の核武装宣言を許すな 〝憲法は核保有・使用禁止せず〟閣議決定 反核・反原発―朝鮮戦争阻止へ

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週刊『前進』02頁(2742号02面01)(2016/04/21)


安倍の核武装宣言を許すな
 〝憲法は核保有・使用禁止せず〟閣議決定
 反核・反原発―朝鮮戦争阻止へ


 安倍政権は3月29日の安保・戦争法施行の直後、4月1日に「憲法第9条は、一切の核兵器の保有及び使用をおよそ禁止しているわけではない」という答弁書を閣議決定し、国会に提出した。一方、熊本地震で再び原発大事故が起きかねないのに、再稼働している川内原発を安倍政権も九州電力も止めようとしない。この暴挙に怒りをたたきつけよう。再稼働阻止・全原発廃炉の闘いと、核戦争を絶対に許さず戦争・改憲を阻止する闘いを一体で闘おう。

安倍は米韓と一体で朝鮮侵略戦争・核武装を狙う

 昨年から、中谷防衛相の「核兵器は武器でなく弾薬だから、提供・輸送はできる」「核ミサイルや核爆弾を積んだ戦闘機や爆撃機に給油できる」という発言、さらに横畠法制局長官の集団的自衛権の行使、核兵器の保有・使用の合憲の発言などが相次いだ。「戦争と武力の行使の永久放棄」「陸海空軍その他の戦力の不保持」という現行憲法9条のどこから核兵器の保有、運搬そして使用の容認が出てくるというのか。
 この安倍政権のでたらめきわまる一連の言動とその集約としての閣議決定こそ、一触即発の朝鮮半島に自衛隊を出動させ、米韓の軍隊と一体で侵略戦争・核戦争を強行しようとする宣戦布告にほかならない。
 労働者人民にとって核兵器は、どんな規模であろうと史上最凶悪の大量無差別破壊殺傷兵器であり、放射能の甚大な被曝をもたらす絶対に相いれない存在だ。その使用とは、ヒロシマ・ナガサキ、フクシマを繰り返すこと以外のなにものでもない。米日帝は今、核兵器使用の照準を朝鮮の労働者人民に向けている。これに対し、民主労総を先頭にした韓国の労働者人民は「戦争絶対反対」と民衆の生存権を掲げて決起している。戦争前夜は革命の前夜だ。労働者の国際的団結の力で、朝鮮侵略戦争・核戦争を絶対に阻止しよう。

原発と核燃サイクル計画は核兵器材料製造が目的

 4・1閣議決定答弁書は、日帝の核武装宣言そのものである。答弁書は、自衛のためなら核兵器の保有・使用は合憲と言い放つ。すべての帝国主義戦争・侵略戦争は自衛の名で行われたことをわれわれは知っている。原子力基本法には2012年、「我が国の安全保障に資する」との目的が挿入された。宇宙基本法でも同様の文言が記載されている。日米安全保障条約を見るまでもなく、「安全保障に資する」とはまぎれもない戦争・軍事を本質とした言葉だ。帝国主義者が口にする「平和」「非核」などの言辞は一切が戦争・核戦争と核武装のためのペテンにほかならない。
 日帝権力中枢は、これまで「当面核保有しない政策を採るが、核製造の経済的・技術的潜在能力は常に保持する」(1969年「我が国の外交政策大綱」)という極秘の核軍事方針のもと、原子力と宇宙の「平和利用」とうそぶきながら、核兵器(核弾道ミサイルなど)の製造技術体系をつくりあげてきた。
 核爆弾材料のプルトニウムを生産するのが核燃料サイクルにほかならない。原発の使用済み核燃料に含まれるプルトニウム(純度が低くそのままでは核兵器に不適)を再処理工場で取り出し、それを高速増殖炉の燃料にして核兵器級のプルトニウムを獲得する──この核燃サイクル計画を日帝は兆単位の膨大な費用をかけて推進してきた。
 しかし、3・11原発大事故で核燃サイクルは破綻した。にもかかわらず、世界大恐慌の深化と世界戦争の危機のなかで、安倍政権は戦争・改憲攻撃と一体で日帝の延命の最大国策として核武装を暴力的に狙っている。そのためにどんなに破綻的であっても核燃サイクルにしがみつこうとしているのだ。それをなによりも示しているのが、核燃組織の新法人化政策である。

「もんじゅ」新法人設立でプルトニウム生産を策す

 安倍政権は2月5日「再処理等拠出金法案」を閣議決定し、今国会に提出した。核燃の主環である六ケ所再処理工場は、これまで電事連(電力大資本の連合組織)出資の日本原燃が運営してきた。同法案の狙いは、「使用済燃料再処理機構」という認可法人を新設し、再処理運営に日帝国家が直接的・全面的にのりだすというものだ。この新組織に、再処理費用をはじめプルサーマル対象原発のMOX燃料加工工場と使用済み核燃料中間貯蔵施設の関連費用まで電力会社に拠出させようとしている。再処理体制を何がなんでも継続させようというこの日帝の意思こそ、再処理が軍事目的であることを如実に示している。
 一方、高速増殖炉「もんじゅ」についても、安倍政権は文科省の「『もんじゅ』の在り方に関する検討会」(座長は元文相・科学技術庁長官の有馬朗人)で新法人設立を勧告させようとしている。有馬は、エネルギー・原子力政策懇談会の会長として2013年に安倍政権に、「福島の帰還強制と原発再稼働・原発輸出」を緊急提言した首謀者だ。
 安倍・有馬は、「もんじゅ」の運営主体を日本原子力研究開発機構から「もんじゅ」に特化した新設国家組織に変更し、軍用プルトニウム生産炉の「もんじゅ」を維持・稼働させようとしているのだ。
 2018年の日米原子力協定の期限切れを目前に、プルトニウム生産・保有の原発・核燃サイクル体系の存続に日帝は死活をかけている。この日帝の核武装策動は、日米同盟のかつてない強化と矛盾、「緊急事態条項」新設を最優先課題にした改憲への動きの加速化、朝鮮侵略戦争参戦の実践的準備と連動していく。
 日帝・安倍政権は、昨年の巨万人民の安保・戦争法案絶対阻止闘争の高揚、そして核廃絶までやむことのない反原発闘争の持続的発展の中に革命を見て恐怖している。
 労働者人民の生きる道は、プロレタリア革命だ。階級的労働運動と国際連帯の力で朝鮮侵略戦争と日帝の核武装を阻止しよう。非正規職撤廃・被曝労働拒否の動労千葉・動労水戸の闘いを柱とする国鉄決戦を基軸に、7月選挙決戦に進もう。
(河東耕二)

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