「一億総活躍」「働き方改革」は正社員ゼロと総非正規化 安倍を打倒し革命の道開く選挙戦

週刊『前進』04頁(2757号02面01)(2016/06/20)


「一億総活躍」「働き方改革」は正社員ゼロと総非正規化
 安倍を打倒し革命の道開く選挙戦


 6月2日、安倍政権は「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)と「ニッポン一億総活躍プラン」「日本再興戦略2016」「規制改革実施計画」「まち・ひと・しごと創生基本方針」の五つを閣議決定した。そのすべてが、大恐慌下の経済崩壊の危機におびえ、「働き方改革」と公共部門の民営化・産業化にすがる破滅への道だ。
 安倍は、政権中枢、支配階級の分裂の危機を表面化させながら、17年4月の消費税10%化の延期を余儀なくされた。衆参同日選も断念し、「消費税増税延期と財政健全化目標の堅持」(骨太方針)という絵空事を掲げて労働者へのむき出しの戦争を打ち出した。
 その最大の柱は「働き方改革」であり、「生産性革命を実現する規制・制度改革」だ。
 総活躍プランは、「人口が減少する日本に未来はない」「少子高齢化の進行が、労働供給の減少のみならず、将来の経済規模の縮小や生活水準の低下を招き、経済の持続可能性を危うくする......将来に対する不安・悲観へとつながっている」とした。新自由主義による非正規化・貧困が加速度的な人口減を進めた。1992年の15~64歳の生産年齢人口は約8600万人だったが今年は7600万人。24年間で1千万人減った。労働者が貧困ゆえに子どもを産めない資本主義に未来はない。「経済の持続可能性を危うくする」「将来への不安・悲観」とは体制崩壊=革命の問題だ。

「正社員改革」を唱えて労働関係3法を一括改悪

 しかし総活躍プランは「少子高齢化に真正面から立ち向かう」「最大のチャレンジは働き方改革」と開き直った。「発想や制度を大きく転換し......正規か非正規かといった雇用の形態にかかわらない同一労働同一賃金の実現に向けて、ちゅうちょなく法改正の準備を進め......非正規という言葉をなくす」と強弁し、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の一括改悪を明言。「若者の雇用安定・待遇改善」の項で、18年度からの労働契約法に基づく有期雇用の無期転換を契機に「多様な正社員制度の導入など人事制度の見直しを促進する」と露骨に表明した。これが同一労働同一賃金の正体だ。
 再興戦略も、「働き方を変革していかなければ雇用機会は失われ......二極化が極端に進んでしまう」「変革を恐れず新たな成長の途(みち)を目指すのか、世界の先行企業の下請け化の途を取るのか」とわめいた。そのために国家戦略特区で「岩盤」を崩す。労働基準法改悪で「高度プロフェッショナル制」(残業代ゼロ・過労死法)や「予見可能性の高い紛争解決システム」(金銭解雇制)導入を目指すとした。「長時間労働の是正」はペテンだ。徹底的にこき使い、首を切って放り出すということだ。
 6月12日付日経新聞は「正社員改革こそ本道/一億総活躍めざすなら」と題して、〝壁になるのは正社員という雇用のあり方であり、限定正社員の普及で多様化を進め、解雇ルールを見直せ〟と主張した。「正社員ゼロ・解雇自由化」と労働組合破壊を進めて、資本だけが生き延びようとしているのだ。

公的事業・資産の民間開放めぐり自治体で激突に

 攻撃のもう一つの柱は「公的サービス・資産の民間開放」だ。
 「公的サービス」という言葉自体が、福祉や清掃、水道を始め社会を成り立たせている公的事業を売買の対象に変える新自由主義の悪質な意図に基づいて、国や資本、体制内労組によって流されてきた。骨太方針や再興戦略は、自治体が必要だから維持してきた公的事業や土地、施設などの資産を、利潤を求める資本に開放し、産業化し、貸し与え、餌食とするターゲットに位置付けた。
 骨太方針は、「公的サービスの産業化」「公的ストック(資産)の適正化」「PPP(官民連携)/PFI(民間資金活用)の推進」をうたった。その手法として「先進事例によるトップランナー方式」や「インセンティブ(報奨金)改革」を挙げた。資本の論理で「岩盤」を崩そうというのだ。窓口業務の委託や水道・下水道など公営企業の廃止・民営化などを列挙し強調した。水道・下水道をめぐる大阪市や奈良市での攻防、保育園・児童館施設をめぐる杉並区での闘いはその最先端攻撃との攻防だ。
 骨太方針は、「潜在需要の顕在化」として医療・介護の「公的保険外サービスの活用」を掲げた。再興戦略も「第4次産業革命で医療、介護の姿も一変する」とした。皆保険制度を解体し、医療・介護を資本の餌食にするということだ。
 総活躍プランは、「待機児童解消」「保育士の処遇改善」の大うそで、保育基準や保育士資格を破壊する大量の非正規・無資格の保育補助者の雇用、企業主導型事業所内保育所や小規模保育所などを列挙した。民営化・総非正規職化であり安全破壊に直結する攻撃だ。
 自治体職場がJRや郵政、学校職場とともに攻防の焦点となっている。闘う労組が地域の中軸を担い、ストで闘い抜くなら、新自由主義を倒し資本の手から労働と社会を取り戻すことができる。

ストで「財閥の倉庫を開けろ!」は革命の要求だ

 東京都知事・舛添要一は労働者の怒りで打倒された。舛添個人の問題ではない。「1%」の資本家、大銀行、政治家たちは3750兆円もの資産を租税回避地(タックスヘイブン)に隠して税金すら払わない。この連中が労働者を搾取し、福祉を奪い、増税を行い、自らの利益のための戦争を強いてきたのだ。
 何が「財政再建のための行財政改革」だ。政府はJR東海に3兆円規模のリニア新幹線向け融資を行い整備新幹線にも巨費を投入しようとしている。韓国・民主労総はパククネ政権打倒のゼネストで「財閥の倉庫を開けろ」と迫った。資本家の政府を倒し労働者権力を樹立する闘いだ。
 戦争と貧困への怒りが逆巻いている。全基地撤去へ沖縄全島ゼネスト情勢が燃え上がっている。国鉄分割・民営化以来の連合による労働者支配が崩壊しつつある。動労千葉のCTS(千葉鉄道サービス)闘争を先頭に、「働き方改革」との激闘が始まった。日帝の労働政策・統治形態の大転換との決戦として非和解の攻防に突入したのだ。
 日本共産党は野党共闘で、安保・自衛隊・天皇制容認とともに「私有財産の保障」を確認し、資本家どもの手先となることを公然化させた。
 労働者が自ら革命に立ち上がり、社会を奪い返すには、まったく新しい政党が必要だ。1千万人の怒りを結集し、参院選でつくり出そう。ゼネストで安倍を倒す革命の道を開こう。
(大迫達志)

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