韓国に最新ミサイル配備 朝鮮侵略戦争の切迫と闘おう

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週刊『前進』02頁(2764号02面03)(2016/07/14)


韓国に最新ミサイル配備
 朝鮮侵略戦争の切迫と闘おう

(写真 移動式ランチャーから発射されるサードミサイル )

 米帝は朝鮮侵略戦争の発動に向かっていま一歩攻撃を進めた。韓国国防省と在韓米軍は8日、「北朝鮮の脅威に対抗するため」として「最終段階高高度防衛(THAAD=サード)ミサイル」を17年末までに韓国に配備すると発表した。安倍政権はただちに「地域の平和と安定に資するものであり、決定を支持する」と表明した。
 THAADは、自衛隊に配備されているパトリオット(PAC3)よりも高い地点(高度約150㌔メートル)でミサイルを撃ち落とす最新鋭のミサイル防衛(MD)システムである。
 THAAD配備は、米日韓が一体となって朝鮮侵略戦争を本気で準備していることを示すものである。「守り」と「攻め」は一体であり、THAADに使うレーダーもミサイルも、いくらでも攻撃用に使える。また、本気で戦争を考えているからこそ「守り」を固めようとしているのだ。

民主労総が配備阻止声明

 韓国・民主労総はただちに配備計画弾劾・配備阻止の声明を発表した。声明は、パククネ政権の対北朝鮮政策を弾劾し、「それによって苦痛を受ける人びとは、労働者、農民、貧民など絶対多数の国民である」「配備を糾弾し阻止するために、地域社会を始めとする全国の平和愛好陣営と連帯して闘争する」と述べている。
 また、配備地域の候補地に挙げられている慶尚北道(キョンサンプクド)漆谷(チルゴク)郡では、住民3千人が反対集会を開催し、計画の撤回を要求した。
 米帝は7月6日に北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長らを「人権侵害に関わっている」として金融制裁の対象に指定した。米帝はこれまでも核・ミサイル開発で北朝鮮幹部を金融制裁の対象にしてきたが、今回は人権問題を口実に、しかも初めてキムジョンウンを制裁対象にした。米帝が03年にイラクのフセイン大統領を「残虐な独裁者」とキャンペーンしてイラク侵略戦争を始めたことを想起させる。
 米軍はすでに北朝鮮への戦争計画「5015」を策定し、それに基づく訓練を実施している。作戦の柱は、北朝鮮の核・ミサイル基地への先制攻撃と、キムジョンウン暗殺作戦である。
 このために「北の脅威」をキャンペーンし、またキムジョンウン政権の反人民的な軍事的対抗策動を挑発的に引き出して、「戦争もやむを得ない」という世論をつくり出そうとしている。

国際連帯こそ戦争なくす力

 北朝鮮は9日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行った。THAADはSLBMに対しても迎撃できると発表されているが、実際に海中からの発射を探知することは極めて難しい。そこで北朝鮮はSLBMの開発に全力を挙げている。
 またTHAADの運用で使われる「Xバンドレーダー」は、1000㌔先まで監視可能で、ソウル南方の平沢(ピョンテク)米軍基地に配備した場合、北京を含む中国東部の広範囲を監視できる。このため中国は配備に強く反対してきたが、米帝は中国の反対を押し切って配備を決定した。
 米帝は対中対決の点でも、戦争策動を強めている。米軍は7月上旬、原子力空母ロナルド・レーガン(横須賀が母港)など第7艦隊による警戒監視行動を南中国海で実施していると発表した。6月には、フィリピン東沖でロナルド・レーガンと原子力空母ジョン・C・ステニスの二つの空母打撃群が合同で訓練を行った。中国に対する重大な軍事的威嚇だ。これに中国軍が対抗し、7月5日から南中国海の西沙(パラセル)諸島周辺で軍事演習を開始した。
 欧州では8〜9日にポーランドのワルシャワで北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が開かれ、ロシアに対抗して4千人の多国籍部隊(米英独加が主導)をポーランドとバルト3国に17年前半をめどに配置することに合意した。ポーランドには米軍の戦車部隊の司令部が置かれる。
 このように全世界で軍拡競争が激化し、戦争・核戦争の危機が高まっている。大恐慌と英のEU離脱に示される戦後体制の崩壊が、世界戦争に転化しつつあるのだ。
 安倍政権が進める戦争法・集団的自衛権行使は「国民の平和と安全を守る」どころか、戦争に労働者人民を動員し、その犠牲にするものだ。絶対に許してはならない。
 階級的労働運動とゼネスト、国際連帯こそ戦争を阻止する力である。民主労総と固く連帯し、米日帝国主義の朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
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