焦点 英EU離脱で深まる大恐慌 戦後体制崩壊と世界戦争の危機へ

週刊『前進』02頁(2764号02面02)(2016/07/14)


焦点
 英EU離脱で深まる大恐慌
 戦後体制崩壊と世界戦争の危機へ


●リーマン超える巨大な激震
 イギリスのEU(欧州連合)離脱は世界大恐慌と新自由主義の破綻のもとで発生した。それはリーマンショックをも超える体制的激震であり、世界大恐慌の深化・激化をもたらす。
 6月23日の国民投票後、事態はまさにその通りに展開している。24日、世界の株価指数は一斉に急落し、1日で消失した世界の株式時価総額は約3・3兆㌦(330兆円強)に及んだ。全体の約5%に相当し、イギリスの15年の名目国内総生産(GDP)の約2兆8千億㌦を上回る規模だ。米リーマン・ブラザーズが破綻した08年9月15日の時価総額の減少は約1・7兆㌦(4%弱)だった。今回の方が減少幅・減少率ともに大きい。
 日経平均株価は一時リーマンショック時を上回る1300円超の大暴落、米ダウ平均株価は610㌦安となった。円は1㌦=99円台まで高騰し、英通貨ポンドは85年プラザ合意以来31年ぶりの安値となった。
 さらに、7月6日から金融市場の動揺の「第2波」が襲った。イギリス不動産市況の悪化とユーロ圏の主要銀行の経営危機への懸念から株が売られ、マネーは円や日米欧の国債に逃避し、長期金利の低下が止まらない。日本では10年債利回りが過去最低のマイナスとなり、20年債利回りが初のマイナスとなった。円相場は高騰し24日以来の1㌦=100円台となり、日経平均株価は一時、前日終値に比べ500円以上下落した。
 「第2波」の震源は英不動産ファンドの解約停止だ。これまで中国や中東など新興国の投資資金がイギリスの不動産に集まっていたが、EU離脱を受けて投資家が解約に殺到、複数の英ファンドが「解約に応じない」と表明した。世界金融大恐慌の発端となった07年パリバショックと同様の取り付け騒ぎだ。対象ファンドの運用資産規模は合計180億㍀(約2・3兆円)であり、イギリスの不動産ファンドの市場規模(約250億㍀)の約7割が凍結された。
●イタリアの銀行が経営危機
 いまひとつの震源は、欧州の大手銀行の経営危機だ。とりわけ、巨額の不良債権を抱えていたイタリアの銀行のデフォルト(債務不履行)の危機である。
 イタリアの銀行が抱える不良債権額は約3600億ユーロ(約40兆円)で、焦げ付くことがほぼ確実な債権だけで約2千億ユーロ(約22兆円)に達する。融資全体に占める不良債権の比率は18%で、EUの中でも突出して高い。国内第3位のモンテ・パスキ銀行は42%(15年末)にも達している。同行は4日に欧州中央銀行(ECB)から不良債権の削減を求められたと公表したが、自力ではとうてい不可能である。政府による公的資金注入が検討されているが、ドイツなどが公的資金利用に反対する可能性がある。
 しかも、イタリアの財政状況は欧州ではギリシャに次いで悪く、GDPに対する政府債務の比率は132%に上る。国債利回りの上昇から欧州債務危機(ソブリン危機)が再燃する可能性も現実味を帯びる。
 すでに銀行株の急落が始まった。6月23日から7月6日までにモンテ・パスキの株価は半分未満となり、イタリア第1位のウニクレディトは35%下落、英ロイヤルバンク・オブ・スコットランドは41%、英バークレイズは30%、ドイツ銀行は26%、仏BNPパリバは20%下落した。金融システムのメルトダウンの危機も迫る中、株下落は日米の銀行にも波及している。
 イギリスのEU離脱という政治的大衝撃がもたらすものは、リーマンを上回る世界大恐慌の激化・深化だ。しかも、リーマン後の中国による4兆元の投入や米FRB(連邦準備制度理事会)による4兆㌦の量的金融緩和(QE)のような金融・財政政策をやる余地はない。「資本主義の終焉(しゅうえん)」そのものだ。
●EU解体の過程が始まった
 イギリス=「連合王国」の分裂と解体、EU解体へのプロセスも始まった。それは戦後の帝国主義体制の軸であった米英同盟の崩壊でもあり、帝国主義同士の利害がむき出しで衝突し爆発する第3次世界大戦への道だ。同時に、ロシア革命を引き継ぐプロレタリア世界革命の時代の本格的な到来を意味する。
 EU離脱決定の階級的基底にあるのは、労働者人民の新自由主義と現体制への根底的な怒りの爆発だ。「EU離脱か残留か」という資本主義・帝国主義の延命の枠組みを越えて、労働者階級はプロレタリア世界革命に向かって決起を開始した。
 ゼネストとプロレタリア世界革命の勝利へ日本の労働者階級の巨万の決起をつくり出そう。

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