常磐線運行再開反対! 動労総連合が各地で決起

週刊『前進』04頁(2765号02面01)(2016/07/18)


常磐線運行再開反対!
 動労総連合が各地で決起


 JR常磐線の原ノ町―小高間の運行再開に対し、動労総連合はいわき、原ノ町、小高、新宿の4カ所で統一行動に立った。各地の闘いは、全線開通絶対阻止の固い決意のもとに闘われた。

動労水戸 総反撃のスト貫徹
 いわきで抗議行動に立つ

(写真 ストライキに立った動労水戸は支援とともにいわき運輸区前に結集し石井委員長が労働者に被曝を強いるJRを弾劾した【7月12日】)

 いわきでは、動労水戸を先頭にいわき運輸区前といわき駅前で抗議行動が行われた。動労千葉、動労福島、動労東京と支援の仲間も合わせて60人が結集した。
 動労水戸は正午から17人が運行再開反対のストライキに決起した。避難指示が解除される南相馬市と、運行再開される区間の放射線量はまだまだ高く、しかも道路、畑、森林などの除染は終わらずその効果もない。
 午後3時、いわき運輸区前に集まり、まず動労水戸の石井真一委員長が「福島では173人の子どもに甲状腺がんが出ている。福島第一原発事故はまったく収束していない。なのに運転を再開し住民に帰還を強制することは、被曝を強制することと同じだ。保線区、運輸区の仲間を被曝させるな」とJRを弾劾した。
 続いて国分勝之副委員長が「常磐線の全線開通は運転士と車掌が反対すれば止められる。止める力は、われわれが持っている」と運輸区の中の労働者に向かって訴え、照沼靖功組合員は「この会社は労働者の安全、健康のことをまったく考えていない。この現状を変えよう」と呼びかけた。
 動労福島の倉岡雅美さんと動労千葉の木科雄作執行委員が国とJRを弾劾し、全員で運輸区に対してシュプレヒコールをたたきつけた。
 そのまま参加者はいわき駅前に移動して街頭宣伝を行った。駆けつけた3・11反原発福島行動実行委員会の椎名千恵子さんと動労東京の組合員、茨城県の労働組合が闘いへの支持を訴えた。
 最後に辻川慎一副委員長が「福島第一原発では今もいつ爆発が起こるか分からない。それを原発労働者が必死で止めている」「帰還の強制もオリンピックも徹底して私利私欲のためだ」「動労水戸は何度でもストライキに立って、とことん国と闘い、全線開通を絶対に阻止します。動労水戸結成からの30年の団結は絶対に打ち壊されません」と語気を強め、参加者全員が全線開通阻止の決意を新たにした。

動労福島 原ノ町駅前で集会
 地域住民から感謝の声が

(写真 原ノ町運輸区前で動労福島の橋本光一委員長が抗議申し入れ書を読み上げた【7月12日】)

 動労福島は12日正午からJR原ノ町駅前で、原ノ町―小高間の運行再開に反対する抗議集会を行った。福島県内と宮城、秋田、新潟、群馬の各県から45人が集まった。
 初めに動労福島の橋本光一委員長が発言した。「避難指示解除は年間20㍉シーベルトで地域住民に帰還と被曝を強制するもの。JRの乗務員、除染労働者、復旧工事に関わる労働者、車両の検修を行う私たち郡山総合車両センターの労働者も被曝させられている。5月4日の常磐自動車道の衝突事故で、重体だった小学校1年生の女の子は70㌔も離れた福島市の病院に搬送されて亡くなった。常磐線で事故が起きたら同じことが起きる。労働者や住民の命も健康も顧みないJRによる常磐線延伸に絶対反対。動労水戸、動労東京とともに動労福島は全線開通阻止へ全力で闘う」
 次に浪江町の希望の牧場代表・吉沢正巳さんが発言した。「小高区の仮置き場にはフレコンバッグが山のように積まれ、劣化して破れるのは時間の問題。僕は牛300頭とともに5年間生きてきた。この牛を生かすことは国への抵抗だ。戦争準備と憲法改悪に走る安倍政権を許さず、原発さよならの時代へ残り人生をかけて実力で闘おう」
 動労福島の組合員、ふくしま共同診療所の須田儀一郎事務長、動労総連合・新潟の星野文男委員長と八代和幸組合員、動労水戸支援共闘呼びかけ人代表の小玉忠憲さんが発言。同日朝8時から仙台駅前で宣伝活動を行った宮城労組交流センター、高崎救現堂(くげんどう)の秋山太一さん、群馬合同労組の清水彰二書記長、全金本山の鈴木義和委員長が続いた。
 橋本委員長の音頭で力強くシュプレヒコールを行って集会を終え、JR原ノ町運輸区に移動して申し入れ行動を行い、JR労働者に「ともに闘おう」と呼びかけた。
 その後、南相馬市鹿島区に移動。小高区住民が多く暮らす計3千棟もの巨大な仮設住宅群で、動労福島の声明とふくしま共同診療所のアピールをポスティングした。
 集会後、地元の住民から「集会の声はよく聞こえました。声を上げたくても上げられない人たちにとって、ありがたい行動です」という声が寄せられた。地域の労働者や住民の思いを体現した動労福島への共感は強い。

動労東京 JR東本社を弾劾
 結成後第1波の闘い貫く

(写真 JR東日本本社に向けて「被曝労働を強制するな!」とシュプレヒコール【7月12日】)

 動労東京が呼びかけたJR東日本本社抗議行動は、午後6時から新宿駅南口で行われた。
 動労総連合の川崎昌浩書記長(動労千葉)が、常磐線再開についてJRに新たな申し入れをしたと報告し、「『常磐線再開は鉄道会社の使命』とJRは言うが、乗員と乗客に被曝を強いることのどこが使命か。徹底追及する」と宣言。労働者に高線量地帯での乗務を強いるJR総連・東労組を弾劾し、「労働組合は資本と闘う存在だ。闘う労働組合をよみがえらせよう」と訴えた。また、この日に強行されたユニオン習志野への弾圧とDC会館への不当捜索に怒りをたぎらせた。
 動労東京の吉野元久委員長は、東北新幹線・新白河駅のホーム上屋に16~29万ベクレルもの高線量の堆積物がたまっているが、JRはその事実をひた隠しにしていることを暴いた。また、下請け労働者を電離放射線障害防止規則も無視して働かせるJRを弾劾した。
 動労神奈川の中村幸夫委員長は、非正規職に被曝を強いて使い捨てるJRに対し、「労働者は絶対に負けない。世界の労働者と団結し闘う」と不屈の決意を示した。
 NAZEN東京代表で江戸川区職の佐藤賢一さんは、「東京オリンピックを絶対許さない」と表明し、福島からの避難者に「公営住宅から出て行け」と迫る攻撃を自治体労働者に担わせる安倍に対し、労働者の誇りをかけて闘うと表明した。
 合同・一般労組全国協の小泉義秀事務局長は、参院選で鈴木たつお弁護士に投じられた1万6187票を土台に全国協をさらに拡大すると宣言。
 全学連の石田真弓君(東北大学)は、津波で被災した宮城県内の線区は切り捨てる一方、常磐線を再開するJRを弾劾し、「社会を変える力は労働者・学生自身の中にある」と力説した。
 行動参加者はJR東日本に対し怒りのこぶしを一斉に突き上げた。

小高駅前 一番列車を直撃
 希望の牧場・吉沢さんと共に

(写真 運行再開の一番列車の到着を迎え撃ち小高駅前での抗議に立つ【7月12日】)

 12日、JR常磐線原ノ町駅―小高駅の一番列車は朝7時15分に原ノ町駅を出発した。南相馬市の桜井勝延市長や政府の原子力災害現地対策本部の本部長・高木陽介(経済産業副大臣)らが乗り込み、「復興」ムードを盛り上げようと懸命だ。
 これを直撃して7時30分、浪江町の希望の牧場代表・吉沢正巳さんと動労福島の組合員らが、小高駅前に陣取って抗議行動に立った。
 一番列車が小高駅に着くと、駅前広場に市職員らを集めて式典が始まった。その真正面で吉沢さんと動労福島は「JR常磐線全線開通絶対反対!/被曝と帰還の強制許さない」と大書した横断幕を掲げた。
 式典が終わると、ただちに吉沢さんが大音量の宣伝カーで演説を始めた。「地震と津波で爆発する原発なんてもうたくさんだ! 来年4月には小・中・高校の授業再開。幼い子どもを放射能まみれの土地に連れてくるのか。小高区で試験栽培した米が100ベクレルの基準値を超えたことを、国は10カ月間も隠した。JRを走らせても線路の脇は放射能まみれだ。僕たちはいつまでもフレコンバッグと放射能とともに生きていくしかない。小高のみなさん、一緒に考えよう」。熱い訴えに住民も市職員も大注目だ。
 一連の行動に対して、式典参加者の女性が小声で「頑張ってね」と声をかけてきた。避難指示が解除されても、地元住民は現実をシビアに見据えているのだ。地域の労働者・住民と深くつながって闘いを広げよう。

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