7・26相模原事件と労働者の立場 安倍政権と新自由主義の障害者抹殺攻撃うち破れ

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週刊『前進』04頁(2771号02面04)(2016/08/15)


7・26相模原事件と労働者の立場
 安倍政権と新自由主義の障害者抹殺攻撃うち破れ


 神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」での7・26大量殺傷事件は絶対に許すことができない。新自由主義がもたらしたのであり一切の責任は安倍政権にある。帝国主義権力者が繰り返してきた障害者抹殺の国家的扇動が引き起こしたのだ。労働と人間的共同性を破壊しつくす新自由主義的帝国主義への徹底的な怒りと打倒の闘いこそ、労働者階級の回答である。
 7月26日、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」において、入居する障害者に対する大量殺傷事件(19人死亡、27人重軽傷と発表)が元職員である26歳の青年労働者によって引き起こされてしまった。「ヒトラーが降りてきた」などと言いながら障害者抹殺に自ら手を下す絶対に許せない事件である。しかし、この事件はまさに「命よりカネ」をあおる新自由主義がもたらしたものであり、一切の責任は安倍政権にある。

ヒトラー思想の扇動と大量殺傷

 第一に、「障害者は不要である」と叫びながら行われたこの障害者抹殺は、1930年代のナチス・ヒトラー政権以来、東京都知事・石原慎太郎の障害者抹殺発言、安倍政権の麻生太郎副総理・財務相の高齢者抹殺発言など、帝国主義権力者どもが歴史的に何度も繰り返してきた国家的扇動に起因していることが本質だ。日帝・安倍の改憲・戦争と労働者民衆の生存を奪う新自由主義的階級戦争攻撃が障害者抹殺に行き着いたのである。
 1999年4月に都知事に就任した石原は「採算度外視の是正」を狙い、9月に都立府中療育センター(重度知的・身体障害者療育施設)を視察した。石原は病院丸ごと民営化への野望と一体で、「ああいう人ってのは人格あるのかね」「絶対よくならない。自分が誰だか分からない」「西洋人なんか切り捨てちゃうんじゃないか。ああいう問題って安楽死につながるんじゃないか」と発言した。石原は「文学者としての表現」とごまかしたが、民営化がヒトラーと同じ「安楽死」による障害者抹殺をもたらすことは歴然としていた。今日も府中療育センターは直営廃止=指定管理者制度への移行が狙われている。
 安倍が重用する麻生副総理も同罪だ。2013年の「ナチスの手口に学ぶ」という改憲発言を筆頭に、今年6月、北海道小樽市の自民党集会で「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている人がいる。いつまで生きてるつもりだよと思いながら見てた」と語った。「1700兆円の個人金融資産を消費へ向けるべき」と勝手な論を展開し、老老介護の破綻や家族心中の続発の中でも「高齢者は早く死ね」と暴言を吐いた。民進党代表代行の蓮舫が「言葉は乱暴だが、趣旨は共鳴」と麻生の援護者として登場したのも許しがたい。
 容疑者は衆院議長・大島理森にあてた手紙で「安倍晋三様のお耳に」と懇願し、「保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳」と描き、「障害者は人間ではなく動物として生活している」として、「世界経済の活性化」「第三次世界大戦を未然に防ぐ」ために、「保護者の同意を得て安楽死できる世界」へ「報酬5億を望み作戦実行する」と記した。まさに〝誰もが平等に競争して蹴落としあう社会〟、つまり「1億総活躍」の名による1億総非正規化を狙う安倍の憎むべき意図が表現されている。
 ナチス・ヒトラーは1933年の政権簒奪(さんだつ)と同時に、革命におびえ国家総動員体制づくりのために、遺伝病子孫予防法をはじめ民族浄化の優生学に依拠した障害者の断種を合法化し、「慈悲殺」=安楽死を望む「父親の訴え」をデッチあげ、39年9月1日のポーランド侵攻と一体で「T4計画」という27万5千人の障害者抹殺に行き着く安楽死指令を発動した。「治療不可能」と見なした障害者を「医者の判定」で六つのガス室に追い込み、ユダヤ人600万人虐殺の先鞭(せんべん)をつけた。この歴史を繰り返してはならない。

障害者も労働者もともに闘おう

 第二に、「労働と人間的共同性の破壊」をもたらしている今日の新自由主義的帝国主義への徹底的な怒りと帝国主義打倒の闘いこそ、労働者階級の回答でなければならない。障害者も労働者もともに闘おう。
 「やまゆり園」は2005年に県立から指定管理者制度に移行し、民営化された。非正規職化された労働者が多用され、夜間割り増しも付かない極限的低賃金と長時間労働のもとで、労働と労働の誇りを奪われ、労働者同士も障害者とも分断が強制されてきた。福祉職場の怒りは激しい。民営化の下手人は当時県知事で石原の盟友の松沢成文だ。容疑者は3年以上も勤務し、正規職にも登用されてはいたが、月給18〜19万円余りであり、失職と同時に生活保護でしのがざるをえなくなった矢先に事件に至ったという。
 安倍は自らの打倒と新自由主義への批判を恐れて、障害者全体への隔離・分断と「テロ対策」の名での治安弾圧攻撃をますます激化させている。政府「検証会議」をもテコとする事件もみ消し・新自由主義的圧殺を絶対に打ち破ろう。
 第三に、新自由主義の破綻と戦争・改憲への突進、障害者抹殺への扇動は全世界がゼネストと革命に向かって胎動していることを示している。この激しく厳しい闘いは、階級的団結と国際連帯を強化・拡大することにかかっている。民営化と絶対非和解で闘いぬく国鉄決戦を先頭に、全産別で階級的労働運動の実践と労働運動の拠点建設を進め、1千万人の獲得へ地域拠点建設の闘いに猛然と打って出よう。
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