相模原事件に際し訴える 障害者抹殺と戦争政策に対し労組のもとに団結して闘おう 革共同医療福祉労働者委員会

週刊『前進』04頁(2775号02面02)(2016/08/29)


相模原事件に際し訴える
 障害者抹殺と戦争政策に対し労組のもとに団結して闘おう
 革共同医療福祉労働者委員会

最大の元凶は命よりカネの新自由主義だ

 7月26日未明、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が死亡し、27人が重軽傷を負う事件が発生した。この「相模原事件」の最大の元凶は、「命よりもカネ」の医療・福祉の民営化、新自由主義による医療・福祉の根底的破壊だ。そしてその背景には、安倍政権が進める資本の生き残りのための搾取・収奪の極限化と、その行き着く先である戦争と一体の障害者政策がある。すなわち障害者を「利潤追求にとって役に立たない存在」「戦争において役に立たない存在」として抹殺する戦時型の障害者政策だ。
 この事件の容疑者とされる26歳の青年が主張する「価値のない命の抹殺」という思想は、実は資本主義社会の現実そのものが生み出すイデオロギーにほかならない。
 「ナチスのやり方に学べ」という副総理・麻生太郎は、高齢者に「いつまで生きているつもりか」と言い放っているではないか。安倍の盟友である元都知事・石原慎太郎は障害者に対して「人格あるのかね」と暴言を吐いているではないか。資本の価値増殖の役に立つかどうかで命を選別し、「価値なき命」とされた者に対して安楽死を扇動してきたのは、ほかでもない、安倍や新自由主義者たちだ。
 「津久井やまゆり園」はもともと神奈川県が運営する県立施設だった。だが11年前に指定管理者制度が導入され、民営化によって業務が丸ごと民間に委託され、その過程で労働組合が解体された。管理部門を除き、直接入所者とかかわる「生活支援員」は135人、24時間の介護が必要な重度障害者約20人を一単位とする1「ホーム」を、夜勤帯では1人で見なければならない状態にたたき込まれた。待遇は午後6時〜翌朝8時半までの勤務で時給905円。神奈川県の最低賃金で、夜間割増賃金もなかった。
 安倍は「弱者を狙った許しがたい犯行」などと言う。だが高齢者や障害者を食い物にして肥え太ってきたのはどこの誰だ!? 障害者の生活をとことん破壊し、利益最優先に走るアベノミクスこそ、「障害者は生きる価値がない」などという思想を生み出した最大の元凶だ。
 そうした「命よりカネ」の新自由主義攻撃の中で、医療・福祉職場の労働者の心身はズタズタに破壊され、労働と誇り、共同性と人間性が奪われていく。本来、人間的共同性が最高に発揮されるべき医療・福祉職場で、労働者同士も、労働者と障害者、高齢者、患者も分断されていく。その結果、障害者の生命や安全が最も許せない形で奪われた。
 われわれはこうした極限的な現実の中で苦闘する医療・福祉現場の労働者に対して、労働組合のもとに団結することによって絶望ではなく希望を、破壊ではなく創造をともに生み出していこうと訴える。障害者抹殺に行き着く安倍の戦争政策、「命よりもカネ」の新自由主義の医療・福祉政策に対して団結して闘おう。障害者も高齢者も患者も、そしてわれわれ医療・福祉労働者も、けっして死んではならない。殺しても殺されてもならない。ともに立ち上がって闘おう!

闘う労組拠点築き国際連帯の11月闘争へ

 第3次安倍再改造内閣の発足と極右・小池百合子都知事の登場は、朝鮮侵略戦争情勢を急切迫させている。北朝鮮に対する戦争挑発そのものである米韓合同軍事演習のエスカレート、在韓米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD=サード)配備、極右・稲田朋美の防衛相就任と北朝鮮による対抗的なミサイル発射、領土問題を契機とした日中の緊張の激化など、明日にでも戦争の火が噴いても不思議ではない事態だ。
 これに対して韓国・民主労総ソウル地域本部の提案のもと、日韓の闘う労働組合が全世界に向けて11・6東京・日比谷野音―11・12〜13ソウルを貫く11月労働者国際連帯大行動を呼びかける共同アピールを発した。日韓労働者の国際連帯こそ切迫する朝鮮侵略戦争を止める唯一の力であること、その最大の核心は国鉄闘争30年の勝利の地平にあることを、民主労総は重大な決断のもとに呼びかけたのだ。
 11月労働者集会は昨年までのスケールを大きく超える巨大な闘争となった。民主労総と動労千葉を先頭に、労組拠点を軸にして来るべきソビエトの樹立を展望する全戦線・全人民の総決起をかちとるのだ。だからこそ、階級的労働運動を進める本物の労働組合を全国・全産別に、何よりも自分自身の職場に築き上げていくことが死活的に求められていることをはっきりさせよう。
 11月に向かって、われわれは国鉄決戦と労働法制大改悪絶対反対の闘いを軸に、闘う労組拠点建設の前進をかけて全力で闘う。そしてその力を基礎にして朝鮮侵略戦争絶対反対の日韓労働者国際連帯の運動を地域で組織し、11・6日比谷に万の大結集を組織しよう。

共産党をのりこえて人間的共同性奪還を

 朝鮮侵略戦争急切迫の情勢下で、安倍・日帝ブルジョアジーは労働組合の絶滅・解体に一切をかけている。労働者がストライキという武器を手に労働組合のもとに団結している状態をそのままにして、戦争などやれるはずがないからだ。
 だからこそわれわれは労働組合にとことんこだわり、団結と組織を拡大しよう。とりわけわが医療・福祉産別にこそ、最も強力な労働組合を建設しよう。
 あらためて7・26相模原事件をとらえ返した時、この職場に闘う労働組合があったなら、このような惨劇はけっして起こっていなかったと確信できる。日帝の戦時型障害者抹殺政策のもとで、さらに新自由主義による医療・福祉の根底的破壊のもとでは、労働者同士、そして労働者と障害者、高齢者、患者の間の人間的共同性に裏打ちされた関係が解体され、敵対的なものすら生まれる。これをのりこえることができるのは階級的団結しかない。
 それは、医療・福祉の現場をさしあたり多数派として組織する日本共産党のもとでは絶対に実現できない。医療・福祉の労働をあたかも「聖職」であるかのように位置づけるその発想からは、労働者と障害者、高齢者、患者との共同性や団結など生まれてくることはあり得ない。どこまでいっても「聖職者」が「弱者」を守り、助け、救うという一方通行の関係でしかない。日本共産党が相模原事件についての「主張」で「なぜこれほど障害者への憎悪を膨らませ凶行にいたったのか―。詳しい経過や行政などの対応については検証が待たれます」(7月29日付『赤旗』)などと傍観者的に書かざるを得ないのは、彼らが障害者を団結する対象と見ていないからだ。
 だが、われわれが掲げる〈労働の奪還〉〈人間的共同性の奪還〉は、日本共産党傘下にあって真剣に障害者や高齢者、患者と向き合い、ともに生き抜く主体、団結する対象として位置づけようと苦闘する労働者をも必ず獲得するものとなる。
 今こそわれわれが医療・福祉産別の労働運動の主流派として登場しよう。あらゆる医療・福祉職場で、闘う労働組合を建設しよう。東京―ソウル11月国際共同行動の歴史的な成功に向かって、3カ月間の組織戦に打って出よう!
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