「テロ準備罪」の名で戦争前夜の治安弾圧を狙った新共謀罪 「組織的犯罪集団」規定を許すな

週刊『前進』04頁(2777号01面02)(2016/09/05)


「テロ準備罪」の名で戦争前夜の治安弾圧を狙った新共謀罪
 「組織的犯罪集団」規定を許すな


 安倍政権は9月26日からの臨時国会で、過去に労働者人民の圧倒的な反対によって3度廃案となった「共謀罪」を「テロ等組織犯罪準備罪」と名称を変えて、新法案として提出しようとしている。これは朝鮮侵略戦争の切迫、改憲攻撃と一体の、革命党や闘う労働組合の破壊を狙うとんでもない攻撃だ。絶対に粉砕しなければならない。

予防弾圧狙う「共謀」「準備」

 共謀罪は2004年の小泉政権で初めて提出されて以降、治安弾圧・団結破壊の悪法であることが徹底的に暴露され破産してきたものである。実際、05年、06年、09年の計3回にわたり廃案に追い込まれてきた。その共謀罪を、「改憲勢力3分の2」の国会と第3次安倍再改造内閣のもとで、装いを変えて復活させようとしているのだ。
 共謀罪は組織的犯罪処罰法に、実行行為がなくても2人以上が「共謀した」と見なせば犯罪が成立するという条項を加えるものである。今度の法案では罪名の変更とともに、適用対象を「団体」一般から「組織的犯罪集団」に変え、罪が成立する構成要件として、犯罪を「共謀する」だけでなく「実行のための資金または物品の取得その他の準備行為」を新たに加えるなどの変更を行う。国家権力と徹底的に闘う労働組合や労働者の政党を「組織的犯罪集団」と規定し、治安弾圧の対象とするものだ。「新共謀罪」は、「テロ対策」と称して革命党や闘う労働組合の破壊を狙う性格をいよいよ強めたものとなっている。
 構成要件についても、「資金または物品の取得その他の準備行為」など、警察権力の解釈でどこまでも拡大されることは明白である。重大なことは、今年5月に自民・公明・民進などが賛成して成立した盗聴拡大や司法取引(取り調べで仲間の罪を証言すれば減刑される)などを可能とする「新捜査手法」が、こうした「準備行為」を証明するために警察や司法権力によって徹底的に悪用され、デッチあげが乱発されることになる。
 対象となる罪は法定刑が4年以上の懲役・禁錮で、殺人・窃盗・道路交通法・公職選挙法などを含め、その数は700以上にも上る。

五輪を口実にした大反革命

 このように「新共謀罪」は許し難い重大な攻撃であるが、それが示すものは日本帝国主義・安倍政権の強さではない。日帝を突き動かしているものは、全世界で巻き起こるゼネストと革命情勢への恐怖である。
 革共同や全学連、階級的労働組合はこの間、日帝国家権力のデッチあげ弾圧のすべてを、完全黙秘・非転向の原則を貫く闘いによって粉砕し、団結を強化・拡大してきた。このことに焦りを募らせた国家権力・安倍政権は、侵略戦争のための治安弾圧法体制の柱として「新共謀罪」導入を策動しているのである。
 またこの時期に提出する重大な理由として、リオ五輪が終わり、2020年東京五輪に向けた「テロ対策」の一環であると強調することで総翼賛状況をつくり、法案を成立しやすくしようという狙いがある。民進党代表の岡田克也は「テロを考えると方向性は一定程度わかる」と述べ、反対する立場もない。
 「新共謀罪」の最大の狙いは、闘う労働組合や革命党への治安弾圧を通じて団結を破壊し、一切の労働運動・反戦運動を圧殺することである。この悪辣(あくらつ)な攻撃に対して、怒りを倍加して団結と闘いを拡大し、必ず打ち破ろう。
 あらゆる職場・大学で労働組合・学生自治会の闘いを推し進め、11月国際共同行動への闘いと一体で「新共謀罪」を絶対に阻止しよう。

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