日本軍軍隊慰安婦問題 少女像の撤去許すな 戦争犯罪居直る安倍打倒を

週刊『前進』02頁(2780号02面03)(2016/09/15)


日本軍軍隊慰安婦問題
 少女像の撤去許すな 戦争犯罪居直る安倍打倒を

(写真 少女像【左】を囲む日本軍軍隊慰安婦問題解決のための水曜集会【8月17日 ソウル・日本大使館前】)

 安倍政権は8月24日、日本軍軍隊慰安婦問題における12・28「日韓合意」に基づく10億円の拠出を閣議で決定し、8月末までに韓国側に送金した。9月7日、ラオスのビエンチャンで開かれた日韓首脳会談で安倍首相はパククネ大統領に対し、10億円の受け渡しが終わったことを踏まえ、〝次は韓国政府が少女像を撤去する番だ〟と「合意の着実な実施に向けた努力」を強く求めた。同時に安倍は、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)早期締結を念頭に置いて「日韓、日米韓の防衛協力の強化が必要不可決だ」と強調した。
 昨年12月28日、日韓外相会談で発表され、直後に安倍とパククネが電話会談で確認したとされる「日韓合意」は、文書一つ存在しない極悪の政治合意だった。
 その骨子は、①安倍がまったく口先だけの「おわびと反省」を表明し、10億円を韓国政府が設立する財団に拠出する、②在韓日本大使館前の少女像を撤去する、③この合意で日本軍軍隊慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」というものだ。
 これは、日帝の国家的戦争犯罪である日本軍軍隊慰安婦制度に対する真相究明に基づいた謝罪・賠償を行うものでは断じてない。その一切を拒否した上、わずか10億円ですべてを抹殺し、「二度と問題にするな」と要求するものである。絶対に許すわけにはいかない。
 なぜ今、戦争犯罪を居直り、「最終的かつ不可逆的解決」なのか?
 日帝・安倍政権が米帝と一体となって、再び朝鮮半島への侵略戦争に打って出ようとしているからである。北朝鮮の核実験やミサイル開発をえじきとして、先制核攻撃をしかけて金正恩(キムジョンウン)政権の転覆を狙う。安倍はそこにおいて、日帝・自衛隊の朝鮮出兵をももくろんでいる。そのためにこそ、かつての侵略と戦争、植民地支配の歴史の抹殺を必要としているのだ。
 金学順(キムハクスン)さんが初めて「慰安婦」被害者として名乗り出た91年8月14日、日本ではイラク侵略戦争を契機に自衛隊の海外派兵を狙うPKO法案をめぐる攻防が続いていた。「慰安婦は業者が連れて歩いた」と報道されるテレビを見た金学順さんは「日本政府がうそを言うのが許せない。私が生き証人だ」「二度と戦争はだめだ」と、沈黙を破った。以来、アジア・太平洋―世界各地から多くの被害者が立ち上がった。

日帝の免罪図り総翼賛組織する『帝国の慰安婦』

 「日韓合意」が発表されると、一斉に抗議の声が巻き起こった韓国とは対照的に、日本ではこの「合意」を全面賛美した日本共産党をはじめ、マスコミなどに歓迎の論調が広がった。
 日帝の侵略戦争と植民地支配の歴史をどうとらえるのか、あらためて問われている。日本軍軍隊慰安婦問題は、戦争責任・戦後責任に対する態度表明を通して、安倍政権が進める改憲と戦争への選択を問う試金石なのだ。
 『帝国の慰安婦』(朴裕河〔パクユハ〕著)という本がある。「大日本帝国の臣民だった朝鮮人慰安婦」を日本軍の戦争遂行を助ける「愛国」的存在として規定し、兵士と被害者の間に「同志意識」「同志的関係」があったと描く。しかも主犯は業者だと、日本軍を免罪するのだ。
 この本を熟読した被害者9人が、14年6月に名誉毀損(きそん)による損害賠償と出版禁止などを求めて民事提訴、さらに名誉毀損罪で刑事告訴した。これを受けて検察が15年11月18日、朴裕河を在宅起訴。これに11月26日、村山富一元首相や大江健三郎氏など日米54人が抗議声明を発表した。
 文中には「何よりも、この本によって元慰安婦の方々の名誉が傷ついたとは思えず」とまで記されていた。当事者が怒りの声を上げているのに、それは本意ではなく、ハルモニたちを支援している挺対協(挺身隊問題対策協議会)がそうさせているのだと言いたいのだ。
 安倍政権のもとで国政選挙をも利用して在日朝鮮人に対するヘイトスピーチ=襲撃が凶行される中、恐るべき総翼賛化が進んでいる。
 しかし、この前に敢然と立ちはだかる者こそ、「戦争を繰り返すな!」と叫ぶ「慰安婦」被害者たちであり、それを体現する「少女像(平和の碑)」なのだ。安倍の憎悪と恐怖もそこにある。
 11月国際共同行動は世界を変える闘いだ。米日韓の労働者人民の団結した力で戦争を阻止し、安倍政権を倒そう!
 団結した力で「平和の少女像」を守ろう!
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