韓国 民主労総第2次ゼネスト突入 成果主義賃金導入を実力阻止 パククネ打倒の全民衆総決起へ

週刊『前進』02頁(2786号02面01)(2016/10/06)


韓国 民主労総第2次ゼネスト突入
 成果主義賃金導入を実力阻止
 パククネ打倒の全民衆総決起へ

(写真 民主労総と韓国労総の公共部門労働者6万人がゼネスト貫徹を決意【9月29日 ソウル】)

(写真 ゼネストに突入し、クンサ車両基地で出陣式を行うソウル地下鉄労組【9月27日】)

(写真 ソウルの民主労総ゼネスト大会に参加したソウル大学病院の労働者【9月28日】)


 9月27日、韓国・民主労総(全国民主労働組合総連盟)は第2次ゼネストに突入した。パククネ政権の労働改悪攻撃を粉砕するゼネストだ。パククネの攻撃は、安倍政権が日本の労働者に仕掛けている「働き方改革」とそっくり同じだ。
 9月27日から鉄道や地下鉄などを先頭に、公共運輸労組が無期限ストに突入。28日には保健医療労組や金属労組も加わり、18万人の大ストライキとなった。29日には韓国労総の公共部門もストに入り、2大労総の公共部門労働者による史上初の共同ゼネストが実現した。
 公共運輸労組の無期限ストは2日目にはさらに拡大、同労組17万人のうち6万数千人がストに入った。スト権を確立していない職場の組合員も年休をとって集会に参加し、ともに闘った。スト3日目の29日には、ソウル市ヨイド公園で同労組の総力闘争大会が5万人で開かれ、韓国労総の組合員も合流して6万人の大集会となった。

「改革」の名で人民だますな

 ゼネストの直接の要求は「成果年俸制」と「成果退出制」の粉砕だ。パククネ政権は成果主義の導入により、雇用と賃金制度を根本から変えようとしている。民主労総はこれを、全労働者を競争と分断にたたき込み、解雇の自由化と公共部門の全面民営化に道を開く攻撃だと断罪し、絶対阻止を掲げて立ち上がった。
 公共運輸労組の医療連帯本部に所属するソウル大学病院の労働者は集会で次のように発言した。「韓国の労働者のだれ一人として、成果を生まない労働をしている労働者がいるでしょうか。財閥資本の70兆㌆の利益のすべては、労働者の成果によるものだ」「当局の意のままに従っていたら労働者は殺されることを私たちは見てきた。これ以上どんな成果を強要して、私たちからもっと奪おうというのか!」
 鉄道労組のキムヨンフン委員長は、9・27スト突入時の宣言文で「改革という名で国民をあざむくな。彼らが主張する公共改革の終着駅は分割・民営化であり、安易な解雇だ」と弾劾した。そして「労働組合が滅びた廃虚の中に経済民主化の花は咲かない。独裁の亡霊がよみがえり、戦争の危機は高まった。安保危機と経済危機の震源地は民心にさからい、時代に逆行するパククネ政権だ。今、私たちが抵抗しないならそれは反逆だ」「今日の私たちの闘争は、私たちの社会を支配してきた偽りと迷信、すべての古いものとの決別だ」と宣言し、恐れることなく前進しようと訴えた。

闘えば勝てるの確信に満ち

 無期限ストの威力は直ちに発揮された。28日には五つの公立病院や大学病院の労組がストの力を背景にした交渉で当局の譲歩を引き出し、ソウル市北部病院では09年から導入されていた成果年俸制の廃止を闘いとった。スト3日目の29日には、ソウル地下鉄などの5労組がソウル市との集団交渉により、成果退出制の導入を阻止する勝利をかちとった。
 29日のヨイド公園の6万人集会でこのことが報告されるや、一斉に歓声が上がった。全労働者が絶対反対で団結して闘えば勝てる! この確信が会場にみなぎった。
 29日にはまた、国会の質疑で中央労働委員会がストの合法性を認めたことが明らかになった。政府・当局は「不法スト」を呼号し、ゼネスト突入と同時に鉄道労組や釜山地下鉄労組に大量処分を発動したが、今やそれもグラグラになっている。公共運輸労組のチョサンス委員長は、「政府が交渉に応じない限りストを続ける」と宣言した。

農民の怒りにも火がついた

 民主労総のゼネストは米価の暴落に苦しむ農民の怒りにも火をつけている。農家の平均年収1千万㌆に対し借金は3千万㌆。生きていけないとの叫びが農村を覆い、22日には農民5千人がソウルでパククネ政権糾弾のデモに立った。
 その中で9月25日、昨年の11・14民衆総決起闘争で警察による放水銃の直撃を受けて意識不明の重態が続いていた農民のペクナムギさんがついに亡くなった。権力が謝罪も弔問も拒否したばかりか、死因をごまかそうと遺体の解剖を要求してきたことに、新たな怒りが爆発している。民主労総は「遺族とともに闘い、この恨みを必ず晴らす」と宣言した。
 民主労総の闘いは全人民の力を総結集し、パククネ打倒の11月民衆総決起闘争へと上り詰めようとしている。それは同時に朝鮮半島での戦争を阻止する闘いだ。ともに闘おう。

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▼成果年俸制・成果退出制 成果年俸制は個人の人事評価を賃金決定の最大の基準とする。成果退出制は、評価の低い者は配転や解雇が自由にできるとする制度で、解雇の自由化に直結する。

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