豊洲移転を白紙撤回せよ 民営化と労組破壊を狙う小池 都労連労働者は11・6集会へ

週刊『前進』02頁(2786号02面02)(2016/10/06)


豊洲移転を白紙撤回せよ
 民営化と労組破壊を狙う小池
 都労連労働者は11・6集会へ

安倍と一体の小池所信表明

 9月28日の都議会開会にあたり、小池知事は所信表明で「東京大改革」を掲げた。安倍が推進しようとしている労働法制改悪の先兵の役割を東京都が果たすという宣言だ。狙いは、都の丸ごと民営化であり、都労連をはじめとした都の労働組合の解体である。その突破口が築地市場の豊洲移転なのである。
 豊洲の5施設の地下になされるはずだった汚染対策の「盛り土」がされず、空洞となっていた事態の発覚を受け、小池知事は9月10日の記者会見で「全都庁の職員を粛正したい」と発言した。所信表明では、豊洲問題で「都政は都民の信頼を失った」とし、「組織全体の体質や決定方法が問題」「大転換のチャンス」と叫んだ。豊洲問題の主犯である石原元知事や自民党について言及も追及もせずに擁護し、都の労働者を攻撃している。この手法こそ国鉄分割・民営化に始まり、小泉の郵政民営化や橋下・維新の会による労組つぶしと同じだ。
 所信表明で小池知事は「知事報酬半減」を議会に提案したと述べたが、狙いは都の労働者の賃下げだ。それは、小池知事が設置した「都政改革本部」の統括顧問に、大阪で丸ごと民営化をやろうとして現場労働者の絶対反対の闘いで破綻した上山信一を据えたことからも明らかだ。
 また、「残業ゼロを目指す」として10月中旬以降、都庁で午後8時消灯を実施しようとしている。労働者の恒常的な過重労働は人員削減と業務量の増加の結果であり、「残業ゼロ」などまやかしだ。「長時間労働の是正」を掲げ、「都庁を先行モデルに」労働時間を基準とした賃金制度を解体し、成果主義賃金を導入して総非正規化と賃下げ、労働基準法解体を実行しようとするものだ。
 その上で、こうした攻撃を推進するために国家戦略特区制度を徹底的に活用しようとしている。所信表明では、「喫緊の課題は待機児童の解消」であるとし、保育所の規制緩和を進めると述べた。公立保育所つぶしと保育の民営化・営利化、非正規職を拡大し、安全を破壊するものだ。
 また「国際金融都市・東京」の実現へ金融大資本を誘致するとした。それと一体で「羽田空港および東京港の機能強化」を押し出し、すさまじい騒音・生活破壊をもたらす都心での超低空飛行を20年までに強行しようとしている。
 さらに、小池知事は、大資本の延命と利権、国威発揚のために、オリンピックを推進すると表明した。福島の圧殺と一体で都の労働者、建設・交運、清掃労働者に被曝労働を強制し、階級闘争を圧殺する攻撃である。
 安倍と並ぶ改憲・核武装論者の極右政治家である小池知事は、米帝とともに朝鮮侵略戦争に突進する日帝・安倍政権と完全に一体だ。都労連の今秋闘は、民主労総のゼネストと連帯し安倍・小池知事を打倒する闘いの始まりである。

基準値超える汚染が検出!

 都が行った豊洲の8回目の地下水モニタリング調査で、環境基準を超えるベンゼンとヒ素が検出された。このような場所に食品を扱う市場を移転するなど論外である。問題は「盛り土」があったかなかったか、ではない。盛り土だろうがコンクリートの箱だろうが豊洲移転は白紙撤回以外にない!
 11年3月11日の東日本大震災では江東デルタ上にある豊洲の新市場用地も大規模に液状化し「噴砂」が108カ所で起きた。「盛り土の安全」などこの時点で完全に吹き飛んだ。にもかかわらず都は調査も行わず新市場建設をどんどん進めた。
 しかも盛り土の土壌自体が、戦前に毒ガス弾の製造・演習が行われていた新宿区の旧陸軍技術研究所に隣接する住宅跡地から大量に運ばれた。
 築地市場の豊洲移転によって、安全な食を提供するという市場労働者の誇りは破壊され、「せり取引」の中で培われてきた共同性、信頼関係は破壊される。その一方で仲卸が整理・淘汰(とうた)され、新市場では外資系の巨大物流資本が支配する。すでにアメリカの巨大金融資本のゴールドマン・サックスが築地の大卸の株を買いあさり大株主となっている。

問題の元凶は石原と自民党

 豊洲移転はゼネコンとつるんだ歴代都知事、自民党都議会議員などの利権あさりである。主要3棟の工事の入札価格が、談合で4割もつり上げられた。ゼネコンから自民党政治家に多額の金が流れたことは間違いない。
 「臨海副都心開発事業」とも密接にリンクしている。もともと鈴木俊一都知事時代から臨海副都心構想は始まったが、鈴木知事時代には豊洲の東京ガス工場跡地は汚染があったことから開発事業から外れていた。石原は2000年、バブルの崩壊で大破綻した臨海副都心開発事業の継続と開発地域の拡大を打ち出し、オリンピック誘致とからめて推進した。そのすべてが巨大な利権の巣である。銀座からほど近い築地は敷地面積が約7万坪(約23㌶)で最低でも1兆円の価値があると見られている。石原やゼネコンなどは都心に最後に残された一等地を更地化し、カネに換えようとたくらんで築地市場の廃止と豊洲移転を進めた。
 豊洲移転は、子や孫など何世代にもわたる食の安全はもちろん、そこで働く労働者の健康も破壊する大暴挙だ。小池知事は事態の拡大におののいて、問題の元凶である石原元都知事や自民党の責任をごまかし、収拾する方向に動き出している。労働組合が先頭に立ち、豊洲移転を撤回させ、安倍政権と小池知事を打倒しよう。すべての職場・地域から11・6労働者集会へのうねりをつくり出そう。
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