11・18最高裁デモに立とう 大運動が呼びかけ 裁判員制度即時廃止へ

週刊『前進』04頁(2795号04面03)(2016/11/07)


11・18最高裁デモに立とう
 大運動が呼びかけ
 裁判員制度即時廃止へ

(写真 昨年の11月6日、大運動が呼びかけて「裁判員制度はいらない!」と最高裁へデモ)


 「裁判員制度はいらない!大運動」事務局から、皆さんに制度廃止を求める行動を訴えます。
 朝鮮侵略戦争の切迫を国民にひた隠す権力とマスコミが、同じように国民に隠し続けているのが裁判員制度の破綻です。制度廃止の声や反戦の叫びがこの国の屋台骨を揺るがし、そのことへの恐怖が国家権力を支配しています。

現代の国民精神総動員

 裁判員制度の狙いは、〝我が国の司法は正義の伝統を持つ〟という虚偽の歴史を前提とし、「犯罪人に対する処罰」を通して国民の思考を「国家秩序の維持」や「外敵からの防護」優先に導き、一人ひとりの国民をその決意に基づく行動に駆り立てようとするところにあります。
 日本共産党・国民救援会・全労連は裁判員制度に賛成しました。制度設計にかかわった裁判官は「国民が制度に加わることにより......裁判の正統性に対する国民の信頼を高めることを目的とし、現在の刑事裁判が基本的にきちんと機能しているという評価を前提として導入された」と解説しました(『解説裁判員法―立法の経緯と課題』池田修)。
 戦後を振り返るだけでも、この国には「黒い霧」と称されるほどえん罪事件が続き、また何人もの死刑確定囚が再審により死刑台からの生還を果たすという汚辱の権力司法史があり、今なお星野再審をはじめ多くのえん罪事件が発生し続けています。
 裁判員制度はまさに現代の国民精神総動員運動と言うべきもの。軍隊にとるのが徴兵なら、裁判所に呼び出すのは銃後を守る徴用。それは戦争法制の具体化と改憲を狙う今日を象徴する国策です。

国策が崩壊しつつある

 2009年に始まった裁判員裁判は、事件数が事前予測を大幅に下回り余裕ある運用が可能なはずだったのに、起訴から判決までの期間が実施当初の約2倍に、公判前整理手続きの期間は3倍近くに延び、取り調べた証人の数も2倍近くに増え、審理全期間は裁判官裁判時代より長くなりました。〝手早く結論を出して治安回復を急ぐ〟という、制度にかけられた期待とはおよそ正反対の結果になっています。
 それ以上に問題なのは裁判員候補者の出頭率が約40%から約23%に減ったことです。もともとの低出頭率がさらに激減して名簿登載者の4人に1人も出頭しなくなり、しかも無断欠席者が約16%から約35%と倍以上の激増ぶりです。これこそ制度にとって致命傷と言わなければなりません。
 国を挙げた大宣伝がもたらしたのは国民の猛反発でした。その勢いは制度実施後どんどん強まり、〝名簿登載通知書や呼び出し状がゴミ箱に直行しているのでは〟と、ちまたでささやかれるに至っています。最高裁自身の調査でも、「裁判員をやりたくない」と答える国民が85%を超えました。
 今や裁判所に出頭する人たちの多くは、裁判官のまねごとに興味を持つ処罰志向の強い人たちと言っても過言ではありません。無罪率が裁判官裁判時代の83%にまで下がったのも当然です。制度は八方ふさがりの状況に陥っています。

戦争阻止のうねりを!

 韓国国防省が7月、高高度迎撃ミサイルシステムTHAAD(サード)の韓国配備を発表したことで、朝鮮半島の戦争は一触即発の危機に突入しました。在韓米軍は臨戦態勢の軍事配置に再編され、米太平洋軍は戦略爆撃機B52、B1B、B2のデモ飛行などの合同軍事演習を繰り返しています。それに対して、北朝鮮は反人民的な核先制攻撃を警告しています。
 しかし韓国では、民主労総の1カ月を超えたゼネストを先頭に、パククネ政権の戦争政策・労働政策と根底から対決する労働者・労働組合が決死の闘いを挑んでいます。臨戦態勢の最前線で戦争を阻止する闘いが果敢に取り組まれています。
 裁判員制度に反対する力と、戦争を止める力はつながっています。安倍内閣の戦争法施行はこの国の政府が朝鮮半島に戦争を仕掛ける前触れです。しかしそのためにこの国の政府がなんとしても確保しておきたかった裁判員制度を、私たちは破綻に追い込みました。
 私たちは、11月18日に最高裁へ向けて裁判員制度廃止要求のデモを行います。課題が山積し多忙を極める時節ですが、改憲と戦争阻止の大きなうねりをつくり出すために、この行動へのご参加を心から呼びかけます。
  ◇  ◇
「現代の赤紙」裁判員制度即時廃止11・18最高裁デモ
 11月18日(金)正午
 日比谷公園・霞門を出発して、東京地裁〜経産省・文科省〜首相官邸下〜最高裁(三宅坂)まで
 主催/裁判員制度はいらない!大運動

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