知る・考える 用語解説 THAAD(サード)-核戦争のための米軍戦略兵器

週刊『前進』02頁(2798号02面04)(2016/11/17)


知る・考える 用語解説
 THAAD(サード)-核戦争のための米軍戦略兵器


 THAAD(サード=高高度迎撃ミサイルシステム)とは、アメリカ陸軍とロッキード・マーティン社が開発した地上配備型の弾道ミサイル迎撃システムの一種。弾道ミサイルが大気圏外から圏内に再突入する前後の段階(高度40〜150㌔メートル)でこれを捕捉・迎撃することを目的とする。迎撃ミサイルを搭載した可動式発射台と、「Xバンドレーダー」と呼ばれる高性能レーダーがセットになって迎撃システムを構築する。
 だが、そもそも音速の数倍〜数十倍で落下する弾道ミサイルを迎撃することは物理的に困難を極め、特にレーダーで探知できない潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に対しては、THAADはほぼ無力だと指摘されている。
 THAADの真の狙いは「迎撃」ではなく、Xバンドレーダーによって半径約2千㌔メートルもの遠方まで米軍の監視範囲内に置き、いつでも先制攻撃できる体制を構築することにある。核ミサイルを迎撃できないなら、核で先制攻撃を仕掛けるしかないという考えだ。
 とりわけ在韓米軍へのTHAAD配備は、北京、上海、広州など中国の主要都市を含む広範な地域がレーダー範囲内とされるため、中国やロシアは激しく反発している。他方、配備候補地とされた星州(ソンジュ)住民を始めとする韓国の労働者民衆は、東北アジアの軍事的緊張を激化させ核戦争の危機を切迫させるTHAADに断固反対し、「韓国のどこにも配備させない」と不屈に闘っている。
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